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45 はあ?なにそれ!(ルゼン国王女スカーレット
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「もう我慢ならない!ルゼンに帰るわっ!」
「そういう訳には行かないのです。向こうから返事がない限り、スカーレット王女だけお帰りになる訳には行きません……」
「なんでよ! 」
「書面にそのように……」
私はあの時よく読まずにサインした書類を引っ張り出す。しわくちゃになっていたけれど、広げてみれば確かに双方の合意があった時にそれぞれの国へ帰ることとする、としっかり書いてあった。
「じゃあルゼンに行った王子に帰るように言ってよ! 」
「そ、それが……何度手紙や使者を送りましても何の返答もなく」
私は今、フィフナーの宰相を呼び出して文句を言ってやっている。久しぶりにみたこの宰相、随分と顔色も悪いし痩せこけてるけれど、私の知ったことではないわ。
「嫌よ、私は帰る!約束が違うじゃない。ここで贅沢させてくれるし王太子の側妃にもしてくれるって約束したらここにいてやってるのに、この扱いは一体なんなの!? 最初は買い物も自由だったし、食事も美味しかった。でも今はなに?ルゼンにいた時より不味い食事。買い物もできないし、侍女だっていないじゃない! 」
「王太子の側妃にする約束などしておりません……状況が変わったのです。それに侍女がいないのは貴女のせいでしょう、貴女の横暴さはこの城の誰もが知る所ですよ。誰一人として貴女の世話をしたいものなどいない!今つけている侍女とて高い給料を払ってなんとか続けて貰っているのに……こんなわがまま放題ならこの国に迎えねば良かった!」
「は!? なんですって!? 」
そっちが是非にと頼むからいてやってるっていうのに、何なのこの言い草は!!あったまきた!
「帰るったら帰るわ!馬車を用意おし!!誰か、私の荷物を馬車に積んで頂戴!」
立ち上がってそう言い放った私に返事をする人は誰もいなかった。唯一残っているあの使えない侍女も無表情で返事をしない。
「この愚図ッ!早くなさいよ!! 」
私が命令しても表情一つ変えない、なんて子なの!?イラつくわ!!
「宰相様、いかが致しましょうか」
「特別室があっただろう、あそこに入れておけ。勝手にどこかへ行かれても契約不履行は困る」
宰相は大きくため息をつくと、後ろから騎士達が二人やってくる。何?何なの!?騎士は私の腕を両側から掴み上げた。
「い、痛いっ!放しなさいよ、無礼者ッ!!」
「怪我をさせぬように連れていけ。多少乱暴にしても構わん……」
「はっ」
騎士達は私のいうことを一つも聞きやしない!放しなさいっ!!
「わ、私を誰だと思っているの!?私は王女なのよ、無礼は許しません!」
「王女なら王女らしくしたらどうです?本当に口も悪ければ態度も悪い。これが本当に王女なんてルゼンはどうなっているんでしょうね」
「うるさいっ!お黙り!!」
何を言ってもこの国の人間は私のいうことを聞きやしない。私は無理やり歩かされ、今までいた部屋よりもっと質素な部屋に入れられた。
「な、なんなの!?ここ!」
私を突き飛ばすように部屋へ押し込むと騎士達は扉を閉める。そしてガシャンと、鍵がかかるような音がする。え?一体この部屋は……なに!?扉は硬く閉ざされているし、見れば窓には格子が嵌っている!?
「高貴な罪人を閉じ込めておく部屋ですよ、我が儘王女様。少しは反省した方がよいのではないですか?」
「なっ……!」
信じられない騎士の言葉に私は強く扉を叩いた。
「罪人!?私は罪人なんかじゃないわ!出しなさい命令よ、ここから出しなさいッ!!」
でも扉は開くことはなく、廊下からは遠ざかる騎士の足音しか聞こえなかった。
「出しなさいーー!!」
私の命令を誰も聞いてくれず、私は一人辛気臭い場所に閉じ込められてしまったのだった。
「そういう訳には行かないのです。向こうから返事がない限り、スカーレット王女だけお帰りになる訳には行きません……」
「なんでよ! 」
「書面にそのように……」
私はあの時よく読まずにサインした書類を引っ張り出す。しわくちゃになっていたけれど、広げてみれば確かに双方の合意があった時にそれぞれの国へ帰ることとする、としっかり書いてあった。
「じゃあルゼンに行った王子に帰るように言ってよ! 」
「そ、それが……何度手紙や使者を送りましても何の返答もなく」
私は今、フィフナーの宰相を呼び出して文句を言ってやっている。久しぶりにみたこの宰相、随分と顔色も悪いし痩せこけてるけれど、私の知ったことではないわ。
「嫌よ、私は帰る!約束が違うじゃない。ここで贅沢させてくれるし王太子の側妃にもしてくれるって約束したらここにいてやってるのに、この扱いは一体なんなの!? 最初は買い物も自由だったし、食事も美味しかった。でも今はなに?ルゼンにいた時より不味い食事。買い物もできないし、侍女だっていないじゃない! 」
「王太子の側妃にする約束などしておりません……状況が変わったのです。それに侍女がいないのは貴女のせいでしょう、貴女の横暴さはこの城の誰もが知る所ですよ。誰一人として貴女の世話をしたいものなどいない!今つけている侍女とて高い給料を払ってなんとか続けて貰っているのに……こんなわがまま放題ならこの国に迎えねば良かった!」
「は!? なんですって!? 」
そっちが是非にと頼むからいてやってるっていうのに、何なのこの言い草は!!あったまきた!
「帰るったら帰るわ!馬車を用意おし!!誰か、私の荷物を馬車に積んで頂戴!」
立ち上がってそう言い放った私に返事をする人は誰もいなかった。唯一残っているあの使えない侍女も無表情で返事をしない。
「この愚図ッ!早くなさいよ!! 」
私が命令しても表情一つ変えない、なんて子なの!?イラつくわ!!
「宰相様、いかが致しましょうか」
「特別室があっただろう、あそこに入れておけ。勝手にどこかへ行かれても契約不履行は困る」
宰相は大きくため息をつくと、後ろから騎士達が二人やってくる。何?何なの!?騎士は私の腕を両側から掴み上げた。
「い、痛いっ!放しなさいよ、無礼者ッ!!」
「怪我をさせぬように連れていけ。多少乱暴にしても構わん……」
「はっ」
騎士達は私のいうことを一つも聞きやしない!放しなさいっ!!
「わ、私を誰だと思っているの!?私は王女なのよ、無礼は許しません!」
「王女なら王女らしくしたらどうです?本当に口も悪ければ態度も悪い。これが本当に王女なんてルゼンはどうなっているんでしょうね」
「うるさいっ!お黙り!!」
何を言ってもこの国の人間は私のいうことを聞きやしない。私は無理やり歩かされ、今までいた部屋よりもっと質素な部屋に入れられた。
「な、なんなの!?ここ!」
私を突き飛ばすように部屋へ押し込むと騎士達は扉を閉める。そしてガシャンと、鍵がかかるような音がする。え?一体この部屋は……なに!?扉は硬く閉ざされているし、見れば窓には格子が嵌っている!?
「高貴な罪人を閉じ込めておく部屋ですよ、我が儘王女様。少しは反省した方がよいのではないですか?」
「なっ……!」
信じられない騎士の言葉に私は強く扉を叩いた。
「罪人!?私は罪人なんかじゃないわ!出しなさい命令よ、ここから出しなさいッ!!」
でも扉は開くことはなく、廊下からは遠ざかる騎士の足音しか聞こえなかった。
「出しなさいーー!!」
私の命令を誰も聞いてくれず、私は一人辛気臭い場所に閉じ込められてしまったのだった。
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