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「リキュシュ様かマシェッツ様に御目通り願いたいのだが」
「うーん、最近お姿を見てないんだよー。お前達契約商会の奴等だもんな、どうする?」
フィフナー王宮の門番に言われ、二人の商人は顔を見合わせてから答えを出した。
「ではコレを、お二人のどちらかに確認を取ってから城の財政管理部へお願いします」
そう衛兵に頼んだのはオルドラ商会副頭取。
「うーん、お二人のうちどちらかに直接渡すように厳命されてるからまた来ます。お手数お掛けしました」
そう一礼し、去って行ったのはワール商会、金融部長。不味い不味い携帯食料の大取引先の二つの商会は、ここで大きく運命を変える事になった。
「リュキとマシェがいない?!」
「イエリア様、一体……あの役立たずの双子がいないからと言って大声をだすことでは」
聡明で美しい藤色の髪を持つフィフナー王国王太子イオリアが書類を決算しながらその事実に気がついたのは双子がいなくなってから一か月以上経ってからだった。
「リュキもマシェの人前に出たからないし、私も忙しくて会いに行けなかったが、どう言う事だ!宰相っ!!」
「お、お二人はあの交換留学のように……」
「あの引きこもりが外になど出たがるわけがない!出たがったとしても出さないのが貴方の役目だろう!何故、この国から出したのだ!!早く連れ戻せ!」
イオリアは荒々しく執務机を殴りつけた。ダァン!と大きな音がして、近くにいた人間はびくりと身をすくませた。王太子がそれ程までに激昂することなど初めてだ。
「な、イオリア様……良いではありませんか、あんな双子。我が国には必要ない」
「お前は馬鹿か!!」
火を吐く勢いでイオリアは宰相を怒鳴りつけた。縮み上がる宰相にイエリアの怒りは止まらない。
「あの二人が目立ちたくない、このままで良いと言うから放置していたが、お前達はリュキとマシェの力を知らなすぎる!このフィフナーが盛り返したのはあの二人のおかげなんだぞ!」
「お、王太子殿下……一体、何のことで」
宰相はあまりの剣幕に言葉が詰まった。リキュシュとマシェッツの力?そんなものは何一つ知らない。ただ、あの双子は女神から愛された髪の色をしているだけで、人とまともに喋ることもできない絵にかいたような無能者だ。それ以上のものではないはずだから、双子について詮索したことなど一度もなかった。双子の実の母親である側妃様ももう何年もあの二人の顔すら見ていないはずだ。それほどまでに疎まれている存在だったはずだ。それなのになぜ?
「あの二人は阿呆でも何でもない!むしろ我々より遥かに高次元の考えを持っている……!取引先にあの二人がいないことがバレる前に呼び戻すんだ、急げ!」
「え……どういう……」
イオリアから子細を聞き、宰相は青くなる。まさか、そんなと。急いでルゼン国へ手紙を書き、使者を立てる支度をするが、この先どうなるかは双子の気分次第だった。
「うーん、最近お姿を見てないんだよー。お前達契約商会の奴等だもんな、どうする?」
フィフナー王宮の門番に言われ、二人の商人は顔を見合わせてから答えを出した。
「ではコレを、お二人のどちらかに確認を取ってから城の財政管理部へお願いします」
そう衛兵に頼んだのはオルドラ商会副頭取。
「うーん、お二人のうちどちらかに直接渡すように厳命されてるからまた来ます。お手数お掛けしました」
そう一礼し、去って行ったのはワール商会、金融部長。不味い不味い携帯食料の大取引先の二つの商会は、ここで大きく運命を変える事になった。
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「イエリア様、一体……あの役立たずの双子がいないからと言って大声をだすことでは」
聡明で美しい藤色の髪を持つフィフナー王国王太子イオリアが書類を決算しながらその事実に気がついたのは双子がいなくなってから一か月以上経ってからだった。
「リュキもマシェの人前に出たからないし、私も忙しくて会いに行けなかったが、どう言う事だ!宰相っ!!」
「お、お二人はあの交換留学のように……」
「あの引きこもりが外になど出たがるわけがない!出たがったとしても出さないのが貴方の役目だろう!何故、この国から出したのだ!!早く連れ戻せ!」
イオリアは荒々しく執務机を殴りつけた。ダァン!と大きな音がして、近くにいた人間はびくりと身をすくませた。王太子がそれ程までに激昂することなど初めてだ。
「な、イオリア様……良いではありませんか、あんな双子。我が国には必要ない」
「お前は馬鹿か!!」
火を吐く勢いでイオリアは宰相を怒鳴りつけた。縮み上がる宰相にイエリアの怒りは止まらない。
「あの二人が目立ちたくない、このままで良いと言うから放置していたが、お前達はリュキとマシェの力を知らなすぎる!このフィフナーが盛り返したのはあの二人のおかげなんだぞ!」
「お、王太子殿下……一体、何のことで」
宰相はあまりの剣幕に言葉が詰まった。リキュシュとマシェッツの力?そんなものは何一つ知らない。ただ、あの双子は女神から愛された髪の色をしているだけで、人とまともに喋ることもできない絵にかいたような無能者だ。それ以上のものではないはずだから、双子について詮索したことなど一度もなかった。双子の実の母親である側妃様ももう何年もあの二人の顔すら見ていないはずだ。それほどまでに疎まれている存在だったはずだ。それなのになぜ?
「あの二人は阿呆でも何でもない!むしろ我々より遥かに高次元の考えを持っている……!取引先にあの二人がいないことがバレる前に呼び戻すんだ、急げ!」
「え……どういう……」
イオリアから子細を聞き、宰相は青くなる。まさか、そんなと。急いでルゼン国へ手紙を書き、使者を立てる支度をするが、この先どうなるかは双子の気分次第だった。
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