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49 存在するだけで国益を損ねる王
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呆然と座り込んでいたエルファードは腹が鳴るまで座り込んでいて、事後処理にてんてこ舞いになっていたオルフェウスが声をかけられて飛び上がる。
「おい、オルフ。飯はまだか?」
「あ、あにうえ、一体、何を、仰って、いるんです……か?」
食事など取っている暇はない。アイリーンが追い出された事で、滞る仕事の精査に追われていたら、この阿呆は建国祭をめちゃくちゃにした。
アイリーンがほぼ準備を終わらせていたし、毎年の事だから大丈夫だろうと油断したのが間違いだった。
この阿呆ガエルは本当に何も出来なかったのだ。お前の後片付けだ、馬鹿な事を言うんじゃない!と実の兄であり国王である男を怒鳴りつけようと思ったがやめた。こいつに使う元気があるなら、別に使うべきだ。
「部屋でお待ち下さい。誰かに持っていかせましょう」
「うむ。頼んだぞ」
そして少しだけ残ったメイドに食べ物を持って行くように指示し、兵士の一人には
「部屋から出ようとしたら何とか押し留めるように」
と、いいつけておく。この忙しい時に阿呆にウロウロされると邪魔なのだ。ものすごく迷惑なのだ。
「くそっ……存在するだけで国益を損なう王など……仕方がない、他国にこれ以上借りは作りたくないが一刻の恥は捨てよう。これ以上被害を出さぬ為にも!」
オルフェウスは急いで手配をする……自ら赴いて頭を下げねばならない。オルフェウスの妻のイヴォンヌ、宰相府で働いていたイヴォンヌの弟、そして数人残ったこの国を憂いてくれる者達と相談しその日のうちにオルフェウスは行動を起こした。
「兄上、兄上はアイリーン様に謝罪をするべきです」
「オルフェウス、お前まで何を言う!」
「兄上だって気が付いているでしょう?アイリーン様がいない建国祭がどうなったか」
三日間続く建国祭は一日目の午前中で都合により中止となった。開国以来、前代未聞の不祥事である。
「そ、それはお前が何もしなかったから……」
この期に及んで次は私が悪いと言い出すエルファード。
「国王の采配に王弟が口を出す事はありません。それこそ国家騒乱の種です。兄上、アイリーン様に許しを請い、戻ってきてもらうべきです。さすれば元の様に戻るでしょう」
「元の様に……そう、だな。アイリーンさえれば問題ない!きっとあの醜い女の事だ!今頃マルグ国でも持て余されているだろう!私が一声かければ……」
「ですから兄上自らが迎えに行かれれば、素直に戻ってくると言うものですよ」
「そうだ、そうだな!間違いない!」
自信満々に立ち上がる兄に更に質問を重ねる。
「兄上、魔道トンネルはお使いになりますか?」
「そんな金のかかる物を使う理由があの女にある訳がない!普通に馬車で行く、支度をしろ。オルフェウス」
「分かりました」
もし、この男が。多少の、ほんの少しでもアイリーン元義姉上に罪悪感や、感謝の気持ち、労いの気持ちなどそう言うものを持ち合わせていたならば、私の気持ちも少し融和しただろう。しかし、そんなものは一欠片もないと確信してしまった。
「では、隣国を通り、そこからマルグ国へ行く事に致しましょう。一国の王が出向くのです、各地で歓迎があるかもしれませんね」
「おお!そうかそれは楽しみだ……!」
何故この状況ではしゃいでいられるのか分からない。しかし私はこの馬鹿な男を送り出した。
これで、邪魔者はいない。
「おい、オルフ。飯はまだか?」
「あ、あにうえ、一体、何を、仰って、いるんです……か?」
食事など取っている暇はない。アイリーンが追い出された事で、滞る仕事の精査に追われていたら、この阿呆は建国祭をめちゃくちゃにした。
アイリーンがほぼ準備を終わらせていたし、毎年の事だから大丈夫だろうと油断したのが間違いだった。
この阿呆ガエルは本当に何も出来なかったのだ。お前の後片付けだ、馬鹿な事を言うんじゃない!と実の兄であり国王である男を怒鳴りつけようと思ったがやめた。こいつに使う元気があるなら、別に使うべきだ。
「部屋でお待ち下さい。誰かに持っていかせましょう」
「うむ。頼んだぞ」
そして少しだけ残ったメイドに食べ物を持って行くように指示し、兵士の一人には
「部屋から出ようとしたら何とか押し留めるように」
と、いいつけておく。この忙しい時に阿呆にウロウロされると邪魔なのだ。ものすごく迷惑なのだ。
「くそっ……存在するだけで国益を損なう王など……仕方がない、他国にこれ以上借りは作りたくないが一刻の恥は捨てよう。これ以上被害を出さぬ為にも!」
オルフェウスは急いで手配をする……自ら赴いて頭を下げねばならない。オルフェウスの妻のイヴォンヌ、宰相府で働いていたイヴォンヌの弟、そして数人残ったこの国を憂いてくれる者達と相談しその日のうちにオルフェウスは行動を起こした。
「兄上、兄上はアイリーン様に謝罪をするべきです」
「オルフェウス、お前まで何を言う!」
「兄上だって気が付いているでしょう?アイリーン様がいない建国祭がどうなったか」
三日間続く建国祭は一日目の午前中で都合により中止となった。開国以来、前代未聞の不祥事である。
「そ、それはお前が何もしなかったから……」
この期に及んで次は私が悪いと言い出すエルファード。
「国王の采配に王弟が口を出す事はありません。それこそ国家騒乱の種です。兄上、アイリーン様に許しを請い、戻ってきてもらうべきです。さすれば元の様に戻るでしょう」
「元の様に……そう、だな。アイリーンさえれば問題ない!きっとあの醜い女の事だ!今頃マルグ国でも持て余されているだろう!私が一声かければ……」
「ですから兄上自らが迎えに行かれれば、素直に戻ってくると言うものですよ」
「そうだ、そうだな!間違いない!」
自信満々に立ち上がる兄に更に質問を重ねる。
「兄上、魔道トンネルはお使いになりますか?」
「そんな金のかかる物を使う理由があの女にある訳がない!普通に馬車で行く、支度をしろ。オルフェウス」
「分かりました」
もし、この男が。多少の、ほんの少しでもアイリーン元義姉上に罪悪感や、感謝の気持ち、労いの気持ちなどそう言うものを持ち合わせていたならば、私の気持ちも少し融和しただろう。しかし、そんなものは一欠片もないと確信してしまった。
「では、隣国を通り、そこからマルグ国へ行く事に致しましょう。一国の王が出向くのです、各地で歓迎があるかもしれませんね」
「おお!そうかそれは楽しみだ……!」
何故この状況ではしゃいでいられるのか分からない。しかし私はこの馬鹿な男を送り出した。
これで、邪魔者はいない。
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