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それからの俺たち

102 犬とバラ

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 季節はあわただしく過ぎ、俺は三年生になる。護衛隊は引き継ぎがあり、ファンクラブは会員を制限しているらしい。

「全く!ウォルフはワンワン、ワンワン鳴いて!」

「だって、ロザリーがぁ」

「だまらっしゃい!」

 結局ロザリー様とウォルフ様は婚約した。卒業近くなっても婚約者が決まらずワンワン鳴いていたのを見ていられなくなったらしい。

「しょうがなく、よ!」

 なんて言っているけれど、良家の女子であるロザリー様がたくさんの婚約申し込みを蹴って、蹴って、蹴りまくっていたのは最初からウォルフさんの事が好きだったからじゃないかって、俺とカレンはヒソヒソ話をしている。

 狼獣人のウォルフさんなんだけど、恋愛面にはどうも気が弱いらしくて俺もカレンもどきまぎして最後にはあのフサフサ尻尾の生えたお尻を蹴飛ばしてしまった。

「ロザリー姉様は赤いバラが好きなの!これ!買ってきたから!」

 ぎゅっと大きなバラの花束をウォルフさんに押し付ける。

「今ならテラスでお茶を飲んでいるから!行って!レナさんとハイジさんが足止めしてる!」

「いやしかし、リト、カレン……俺なんかがロザリーに……」

「「ロザリー様を取られていいの!?」」

「わ、ワン……」

「いい?今まで奇跡的にロザリー様には婚約者がいないのよ!?奇跡よ!奇跡!奇跡は2度起こらないから奇跡なのよ!それを、無駄にするの!?どうなのっ!ダメに決まってるでしょう!もう今を逃したらダメなの!」

 特にカレンの剣幕は凄かった。多分だけど、ロザリー様から何か聞いてるんだろうな。

『私の気になる人?そんな人いませんわよ!……気になると言えば……いいえ、なんでもありませんわ』

とか

『全くあの駄目狼はっ!人の気持ちに鈍感すぎますわっ。あそこまで行くともうっもうっ!!』

とかだと思う。

 だからもう、学園の放課後のカフェテラスにロザリー様を呼び出して、公開処刑、違った公開告白をさせてしまったのだ。


「ろ・ろ・ろ・ろ・ろじゃりーーーーー!お、俺と結婚してくださいいいいいいいいい!」

 真っ赤なバラを差し出されたロザリー様は、かしょん、とスプーンを取り落としてしまった。それから2.3呼吸して、ゆっくりと。

「お、おバカではな、ないかしら?け、け、結婚は、こ、婚約の、後に、決まってるのを、ご、ご存じ、なくて?」

 こちらもバラに負けないほど真っ赤になりながら、しどろもどろに言いながら……真っ赤なバラの花束を受け取った。

「あ、ありがとう……」

 こうして二人は晴れて婚約者になり、良い時期を見計らって結婚式を挙げることになっている。ロザリー様の結婚式と披露宴のお飾りは全部俺が作ることになってるんだ!ロザリー様バラの姫にふさわしいように、モチーフは全部バラで、行くつもり!作ってても凄く楽しい!

「護衛隊に入ると必ず婚約者ができる」

は、かなり伝説になりつつあるんだって……。なんだかなー!

「ファンクラブに入ると婚約者ができる」

も、伝説になりつつあるけれど、相性とか本人の努力もあるから絶対じゃないのを忘れないでほしいよね!

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