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35 俺の趣味です

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「はぁーーー……」

 次の日、俺はとりあえず目を覚まして、食堂に行った。ギアナ様には会いたくないなぁ……。
 食堂には、ギアナ様の姿はなくてほっとした。ここはお屋敷で働いている人達がご飯を食べに来る食堂だ。俺も朝ご飯を貰ってくる。今朝は芋のシチューに固いパン。
 ちょうどトレイを机に置いた所で声をかけられる。

「リトさーーーん!!」

「うわ!ミミー!危ない」

 後ろから飛びつかれて、危なく壁に激突する所だった。そういう所がミミーの悪い所だ。

「リトさん!リトさん!」

「ミミー、そういう所!怒られたんじゃないの?」

 そうでした!と姿勢を正してミミーはペコリとお辞儀をした。

「リトさんのおかげでミミーは命拾いしました!」

 もう!言う事が物騒だよ!

「本当にありがとうございます!」

「良いんだよ。俺の趣味が役に立って良かったよ」

 俺はテーブルについて、ご飯を食べ始める。美味しい!料理長最高です!横でミミーは不思議そうに聞いてくる。ミミーはカレンより少し小さくて、妹のような気がするんだよなー!

「趣味?」

「そう、趣味なの。硝子作り。いいでしょ」

 ミミーは目を輝かせている。分かる、分かるよー!女の子、好きだもんね!キラキラしたもの。俺、知ってる!

「リトしゃん……」

「タダじゃあないよ!」

 ふふ!さあどうでる?!ミミー!

「お、おやつのクッキーを差し上げます!」

「えー!」

 おやつのクッキーは俺も貰えるからなぁ!2人分はいらないよ?

「では!リトしゃんの部屋の窓拭きを1週間替わります!!」

「のった!」

 手が痛いので拭き掃除は苦手なんだ!助かるー!さて?俺はアイテムボックスをゴソゴソ漁る。前に作った何かがあるはず。

「これでどう?」

 少しだけ複雑にカットしたペンダントヘッドだ。親指と人差し指で丸を作ったらその中にぴったりはまるくらいの大きさなんだけど。

「ふわ……何これ……きれい……」

「可愛いでしょ」

 作った当時凝っていたグラデーション。上から水色で下からピンクに徐々に変わって行く。
 色合いから、カレンもお気に入りだった。元気かなぁ?いや!元気のはずだ!

「上の穴に紐でも通して使って?」

「うん!ありがとう、リトしゃん!」

「ミミー、しゃんになってる」

「あわっ!」

 言葉遣いもきちんとするように、と先輩メイドさんからいつも言われてるの聞いてるんだぞ!

「あ!り、リトしゃん……!」

「だからしゃんじゃなくて……うわっ!」

 俺は後ろから足音もなく近寄って来たギアナ様に抱き上げられ、連行されて行った……。靴を履いてるのに足音しないなんてらどうなってるのーーー!!
 担ぎ上げられたまま、ギアナ様の仕事部屋に連れてこられた。来客用のソファに下されて、真向かいにギアナ様が座る。

「リト」

「ひゃい!」

 ミミーに偉そうな事を言っていた俺はどこへ行ってしまったのか。どこだろう、行方不明なんだな。蛇に睨まれたカエルみたいにぴしっと俺は固まった。

「まず、アイテムボックスが使えるのはかなり目立つし、犯罪に巻き込まれやすい。フリでもいいから、何か鞄から出したように見せかけなさい。あと鞄に普通に入らない物を出すときは隠れて出すように!」

「ひゃい!!!」

 ううっ怒られてしまった……。ごめんなさい!

「あと、さっきのミミーに渡していた宝石はなんだ?」

「え?宝石じゃないですよ。硝子ですもん」

 全然違うよ!言わば偽物だもの!

「しかし……あの透明度と言い輝きといい……色といい……」

「ですから硝子ですってば、えーと」

 アイテムボックスをガサゴソ……。ガラゴロとさっきと同じような色の硝子を5.6個取り出した。

「たくさんありますよ?」

「……嘘だろ」

 手に取ってマジマジとみるギアナ様。うん、硝子って珍しかったんだ。やっちゃった……?

「リト。リトがこれを作れるのを知っているのは家族の他にいるのか?」

「ウィシュバーグの王子様がしってます。たくさん持って帰られましたし。あとお爺ちゃま…ルシリア伯爵も知ってます」

「たくさん?!持って帰った?!まさかタダで?!?!」

「え、あ、はい。材料は川で取れるので……」

「川?!?!?リトは錬金術か何かか?!」

「きこりの息子ですってば……」

 何度目の訂正か忘れちゃったよ!

 ギアナ様には言われて以前に作っていた作品を出してみる。

「リト!売ってくれ!言い値で買おう!」

「ひょっ?!」

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