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76 秘密の美のカリスマ?

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 そういえば乙女ゲームらしさがなくなってしまってその辺りは少しがっかりしていたのに、なんとミオさんが逆ハーエンドに向かって一直線になっている。

「あなた達!もっと気合入れてアリシア様のために働きなさいっ」
「し、しかし聖女ミオ……我々はあなたが国中を浄化して回る為の護衛……」
「うるさいわねっ!アリシア様が健やかに暮らすイコール私のやる気がグングン上がるイコール国の浄化がバンバン進むなのっ分かったらクレス様を見習って!」
「おっ、俺褒められた~へへへ」
「うんうん、グッボーイ!枝取ってこーい」
「わんわん!」

 逆ハーというより……ミオとゆかいな仲間達というか、ミオ・ブートキャンプというか……。ヴィクター元王太子殿下とエヴァンお兄様を抜いた残りの攻略対象者を引き連れて、ミオさんは国中を奔走している。

「さっさと浄化を終わらせてアリシア様の美と健康を守る崇高な仕事ごほうびタイムに戻るのよ」

 よくわからないけれど、ミオさんのお陰で寝込むことも風邪をひく事もかなり減っている。とてもありがたいことだわ。そして私達の年代は美は健康が基礎である、みたいな標語ができるほど、健康を意識した女性達が多くなった。
 適度な睡眠をとることや、脂っこいものばかり食べないとか、野菜や果物を多く取るとか簡単なものからお風呂に入って体を暖めることなんかも実践してる人が多くて、お肌が艶々して美人が多い年代だといわれるようになった。

「えーとほら、真似したら少しは近づけるかなって……」

 主に学園の下級生達がそんなことを言っているみたいだけど、何の真似なのかな?そんな美のカリスマみたいな人いたかしら?私はというと何とか規則正しい生活を送って、着実に倒れる回数が減っている……気がする。でも顔はまだまだ青白いし、校外学習はお休みだ。一度職業見学会があって、物凄く楽しみにしてたら前夜の夜に知恵熱を出して、結局参加できなかったり……情けない。

「はあ……あの方は今日もお美しいですわね」
「本当に。神秘的で妖精のよう」

 少しでも健康的に見えるように昼休みに日向ぼっこをしていると、気持ち良くてぼーっとしてしまう。下級生のご令嬢が何か喋っていたみたいだけど、耳に入ってこなかったわ。
 さて、午後からの授業も頑張りましょう。侯爵令嬢のテストの点数が悪いなんて格好つかないですものね。

「今日もエヴァンお兄様に勉強を教えて貰わないと……」

 徹夜で詰め込もうとすると、テストの日に倒れて受けられないという本末転倒になってしまうから、日々の勉強は欠かせないのよね。

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