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47 ないですよね?秘密の約束

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「ある訳ないだろう、そんな約束」
「そうよ、アリシアちゃん。エヴァンも知っているはずだわ」
「ええ、そうでしょうけれど、確認は大切かと思いまして」

「安心しなさい。アリシアを王家に嫁がせるなどという約束は公式、非公式問わずあり得ない」

 ないだろうと思ってはいたけれど、お父様に言い切って貰えて私はほっと安堵のため息をついた。となると王太子殿下はなぜあんなことを口走ったのだろうか……?

「ここのところ王太子殿下が私に声をかけてくることが多くなっていたのです……」
「それは例年のアレだろう、陛下の誕生会の事だろう」
「もうそんな時期でしたか」

 国王陛下の誕生会、毎年豪華に開かれるお誕生会は、貴族ならばほぼ全員参加する大規模な舞踏会なのだけれど、今年我が家は出席しないことにして、その旨の届けも出している。今まではお兄様と誰か一人以上無理を押して出ていたけれど、今年はお兄様も欠席した。
 もちろんこの前のブチ切れ事件のせい。フェンルース家は現国王一家と距離を置くことに決めたんだ。そしてブランシェ様のルストバーン家もこれに同調して、欠席を表明したし、ファルク様の家まで欠席になっている。この三家がいっぺんに欠席する事なんて今までなかったから、王家も慌てたのかもしれないし……実はその前日にファルク様の家で小規模なパーティを開こうか?なんて当てつけ夜会みたいなことを計画していたりして……それが漏れたのかもしれない。

「欠席と公式に返事を出したのに、毎日書状が届いて送り返しているところなんだ」
「必死過ぎて恐ろしいの。きっと隙が多そうなアリシアちゃんから言質を取ろうとしていたんだと思うわ」
「私ははっきりと拒否しましたしね」

 なるほど……確かに私からなら言質を取りやすいと思われても不思議ではないわ。でも王太子殿下はまるで私と殿下が婚約する約束をしていたような口ぶりだった。

「お父様、お母様……殿下は何か確信があるような口ぶりでした。本当に何もないのでしょうか?」
「ないわ……ないはずよ」
「アリシアが産まれてからずっと王家から婚約打診の手紙は来ていたが、すべて突き返している。最初のうちは内容を読んで断りの手紙を書いていたが、5.6年前から読まずに持って帰らせている。だから絶対にない」
「そうなんですね」

 確かにそれは大丈夫そうだ。それにお兄様と婚約をしたとき、書類を神殿に提出したけれど、何事もなく受理されている。もし、私と王太子殿下の婚約があるのならば、神殿から何か言われるはずだもの。

「抗議の手紙をまた書かなくてはな。このままではアリシアが勉学に励むことができないものな」
「そ、それは困ります。私、休んでばかりでそうでなくても勉強が遅れ気味ですのに」

 流石に学園を落第するのは嫌だわ……!

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