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21.お義母さま流、別れの挨拶
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「あなた、やっと出ていくのね!」
荷造りの途中でお義母さまが部屋にやってきた。
腕を組んで威圧的なのはいつもと同じだが、今までに見たことが無い
ほどの笑顔をしている。
「ええ。アリ……旦那様に離婚を切り出されましたので、実家に帰らせて
いただきます」
「まあ、いずれそうなるとは思っていたわ。ふふふ。これで邪魔者が
居なくなってパメラさんもこの家に来やすくなるわね!」
敵意丸出しの言葉も今日で最後。
私は手を休めることなく、荷物をまとめていく。
「お別れのご挨拶なら後で伺いますから、席を外していただけます?
邪魔なんで」
「な、なんて言い方なの! 挨拶なら結構よ!」
お義母さまはぷりぷりと怒りながら、なぜか私と侍女のレミーがまとめ
ようとしている荷物に近づいてきたかと思うと、1つずつ手に取って検分
している。
「な、何をなさるんですか?」
「あなたがどさくさに紛れて、この屋敷の物を持ち出さないかチェックを
しているのよ! 決まっているでしょう?」
お義母さまの必死の形相と言葉が通常運転過ぎて、一瞬沈黙した後、
私は思わず声に出して笑ってしまった。
「……何がおかしのよ?」
予想外の私の反応に、お義母さまがたじろいでいる。
その様子までもがツボに入って、私はひとしきり笑った後、真剣な顔に
戻るとお義母さまに言った。
「……ずっと冷遇されてきたこのお屋敷の物なんて、頼まれても要りませんわ!」
「な、なんて恩知らずな嫁なの……!」
「あら、私を嫁とお認めにならなかったのでは?」
お義母さまの顔色がどんどん赤くなっていく。
「……やっぱりそれが本性だったのね。さすがファストラル家の人間だわ」
――まただ。
お義母さまが、ことあるごとに口にするファストラル家を貶める言葉。
今まで流してきたけれど……もう二度と会わないつもりだし、この際ダメ元で
聞いてみるか。
「随分ファストラル家を憎んでおられるようですが、何か理由があるのですか?」
「まあ、白々しい! 私から、娘も財産も……何もかも奪っておいて!
ファストラル家の一員である以上、知らぬ存ぜぬは通用しないわよ!」
うっ、やっぱり地雷だったか……。
しかし私の知っている限り、ファストラル家は誰かを傷つけたり、騙したり
するような事業はしていないはず。やはり何か誤解されているとしか思えない。
「本当に……結婚相手がファストラル家の人間と知らされたのが、結婚が成立
した後だったから反対できなかったけれど……。そうでなかったら当然反対して
いたわ!」
――それが本当なら。
「……それなら、お義母さまもアリウスに騙されていたってことですわね」
荷造りの途中でお義母さまが部屋にやってきた。
腕を組んで威圧的なのはいつもと同じだが、今までに見たことが無い
ほどの笑顔をしている。
「ええ。アリ……旦那様に離婚を切り出されましたので、実家に帰らせて
いただきます」
「まあ、いずれそうなるとは思っていたわ。ふふふ。これで邪魔者が
居なくなってパメラさんもこの家に来やすくなるわね!」
敵意丸出しの言葉も今日で最後。
私は手を休めることなく、荷物をまとめていく。
「お別れのご挨拶なら後で伺いますから、席を外していただけます?
邪魔なんで」
「な、なんて言い方なの! 挨拶なら結構よ!」
お義母さまはぷりぷりと怒りながら、なぜか私と侍女のレミーがまとめ
ようとしている荷物に近づいてきたかと思うと、1つずつ手に取って検分
している。
「な、何をなさるんですか?」
「あなたがどさくさに紛れて、この屋敷の物を持ち出さないかチェックを
しているのよ! 決まっているでしょう?」
お義母さまの必死の形相と言葉が通常運転過ぎて、一瞬沈黙した後、
私は思わず声に出して笑ってしまった。
「……何がおかしのよ?」
予想外の私の反応に、お義母さまがたじろいでいる。
その様子までもがツボに入って、私はひとしきり笑った後、真剣な顔に
戻るとお義母さまに言った。
「……ずっと冷遇されてきたこのお屋敷の物なんて、頼まれても要りませんわ!」
「な、なんて恩知らずな嫁なの……!」
「あら、私を嫁とお認めにならなかったのでは?」
お義母さまの顔色がどんどん赤くなっていく。
「……やっぱりそれが本性だったのね。さすがファストラル家の人間だわ」
――まただ。
お義母さまが、ことあるごとに口にするファストラル家を貶める言葉。
今まで流してきたけれど……もう二度と会わないつもりだし、この際ダメ元で
聞いてみるか。
「随分ファストラル家を憎んでおられるようですが、何か理由があるのですか?」
「まあ、白々しい! 私から、娘も財産も……何もかも奪っておいて!
ファストラル家の一員である以上、知らぬ存ぜぬは通用しないわよ!」
うっ、やっぱり地雷だったか……。
しかし私の知っている限り、ファストラル家は誰かを傷つけたり、騙したり
するような事業はしていないはず。やはり何か誤解されているとしか思えない。
「本当に……結婚相手がファストラル家の人間と知らされたのが、結婚が成立
した後だったから反対できなかったけれど……。そうでなかったら当然反対して
いたわ!」
――それが本当なら。
「……それなら、お義母さまもアリウスに騙されていたってことですわね」
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