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第65話

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茂木side


由紀ちゃんと茉弘ちゃんの戻りが遅いと思ったら、ナンパされてましたって渋い顔をして報告してきた二海。



二海に様子を見てきてもらって正解だったな、そう思っていると、二海は腹立たしそうに舌打ちをする。



俺が見た感じ、二海は茉弘ちゃんのことを憎からず想ってるはずだ。



というか、多分相当好いてる。



じゃなきゃ、練習を切り上げてまで様子を見に行きます、なんて発言してこない。



「茂木さん・・・俺、アイツら気に入らねぇっす。・・・叩き潰しましょう、ボコボコになるまで」



二海の言葉に、俺は強く頷く。



可愛いマネージャーに手を出そうとしたんだ、報いは受けてもらう。



そんなことより、気になってることを聞くことにした。



「二海さ」



「なんすか?」



「茉弘ちゃんの事好きでしょ」



「!?」



俺が口を開いた途端、目を見開いて固まる二海。



その反応、やっぱりな。



「は、はぁ!?誰がっ・・・あんなゴリラ女のことっ・・・!」



「真っ赤な顔で否定されても説得力ないよ」 



「っ~~!!」



俺の言葉に顔を手で覆い、面白いぐらい表情に出てる二海。



いつもは飄々ひょうひょうとしてる二海があたふたしてる。



そんな二海がちょっと可愛く思えた。



「二海って、意外とわかりやすいな。茉弘ちゃんがナンパされたからぶっ潰す~とか言ってるんでしょ」



「うるさいっす」



「ふふっ、ごめんごめん。でも、俺も好きな人いるからお前の気持ちはわかるよ。好きな人がナンパされたら、気分悪いもんな」



実際、報告を受けた俺も良い気持ちではないし。



俺としてはその子に対して動くつもりは無いけど・・・でも、それは別の話だ。



「このこと知ってるの俺だけだし、なんかあったら相談乗るよ。その調子だと、意識してもらえるかも分からないからね」



「・・・あざっす」



「さ、試合するぞ。報告ありがとな」



そう言って、二海の背中を押しながら室内へと戻る。



二海でもあんな表情するんだなって、ちょっと意外だったけど・・・それだけ、好いてるってことだもんな。



そのあとの試合は、すごく気合いが入った。



相手を寄せつけないほど、圧倒的にまで勝った。



試合が終わったあと、茉弘ちゃんが気合いが入ってることに気付いていたようだ。



俺も二海も気合いが入っていたことを伝えると少し意外な表情をしていた。



思わず二海が君のことを好いてるんだよ、といったニュアンスのことを言おうとした時、二海が現れる。



タオルがないからって近くにいるであろう由紀ちゃんじゃなく、茉弘ちゃんに話しかける時点でお察しだ。



だけど、茉弘ちゃんはそんなことも知らずに二海と言い合いをしている。



こんな態度でも、ナンパしてきた人に対してあんな風に敵対心燃やしてやる気出すんだもんな。



なんて考えてたら、不思議と笑みがこぼれる。



よく分からない、と言わんばかりの2人の背を押し、体育館の中に入る。


この2人がこの先どうなるのか、ちょっと楽しみだ。





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