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第53話
しおりを挟むあの後、すぐにウォーミングアップは終わり、練習試合が始まった。
私は、由紀の隣で試合を見ながら由紀のつけるスコアを見ていた。
向こうのチームが1点リードしている試合展開で、こちらも点を離されないようにと食らいついている。
「茂木さん!!」
ここで、二海が茂木先輩からのパスを要求する。
だけど、タイムアップまでの時間は残り少ない。
それでも二海は茂木先輩からのパスを受け、ドリブルをしてゴールへと急ぐ。
だけど、終了を知らせるブザーが鳴り響いた。
それと同時に二海はボールをゴールへと放り投げる。
とてもじゃないけど届きそうもない位置からのシュート。
そのボールは吸い込まれるようにリングの中に吸い込まれていった。
いわゆる、ブザービートだ。
私、ブザービートに良い思い出ないんだよなぁ~・・・。
中学の大会もブザービートで逆点されたし、去年の球技大会もブザービートで逆転されて優勝逃したし。
「うしっ!!」
苦々しい思い出を噛み締めてる私の事なんてつゆ知らず、嬉しそうにガッツポーズをとる二海。
それを押し潰す勢いで周囲に人が集まってくる。
“まぁな、時期エース候補だし”
朝に言っていたことを思い出しながら、もみくちゃにされてる二海をみる。
聞いた時はずいぶん大口叩いてるなと思ってたけど・・・大口叩いてたわけじゃないのね。
「ねぇ、茉弘。一応書いたんだけど、確認してくれる?」
二海を眺めていると、隣から由紀が綺麗に書かれたスコア表を差し出して来る。
スコア表を受け取り、綺麗に書かれたスコア表を上から下まで隅々見てみたけど、間違えているところは無さそうだ。
「・・・うん、OKだよ」
由紀に差し出しながら親指を立てる。
試合中、ほとんど指摘もなく書けてたし・・・問題無さそうだ。
「ありがとう」
スコア表を受け取りながら、嬉しそうにしている由紀。
これなら私がお手伝いしなくても平気そうだ。
「これなら私居なくても平気そうだね」
「えっ!?で、でも、まだわかんない事だらけだから!しばらくは教えてね」
私がそう伝えると、不安そうにしている由紀。
そんなに不安がらなくてもできてるから全然平気なのに。
そんなことを思いながら帰ってくる選手にタオルとドリンクを配った。
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