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第43話
しおりを挟むあの後、着替えを済ませて体育館へと向かう。
私たちが向かった時にはもう既にほとんどの人が集まっていたらしくすぐに部活が始まった。
「由紀ちゃーん、茉弘ちゃーん。ドリンクおねがーい!」
ストレッチを始めている茂木先輩が私達に声をかける。
来た、鬼門であるドリンク・・・!
「はーい!・・・茉弘、作りに行こ」
「う、うん・・・」
由紀に促されてドリンクを作りに体育館の外へと出る。
空のボトルを置き、ひとつずつ作っていく。
半分ほど作り終えた頃、ガラッと体育館の扉が開いた。
「なぁ、ボトルまだ?」
ほらきた、二海のボトル催促。
ストレッチとランニングが終わると必ず来るんだから。
「今作ってんの見えない?」
粉を入れたあと、水を入れて蓋を締めながら答える。
すると、二海は私の正面に立ってタオルで顔を拭き取りながら私の手元を見る。
どうやら、私の作るのを待っているのだろう。
作り終わったの持ってけばいいのに。
「二海くん、作ったのあるしそれ持っていけば?」
私の考えを読んだかのように、作り終えたボトルを取って二海に差し出す由紀。
だけど、二海はそれを受け取らなかった。
「コイツがバカ面しながら作ってんの見たいからいいや」
「はぁ!?誰がバカ面よ!!」
私を指差しながらひょうひょうと言い放つ二海に、ボトルを強く振って抗議する。
「そう?」
由紀は行き場をなくしたボトルをカゴに戻しボトルを作り直す。
まだ?って催促するぐらいなら受け取ればいいのに。
「もう十分混ざっただろ。貰ってくな」
「あ、ちょっと!」
ブンブン振っていたボトルを奪うようにして私の手から取る二海。
どうせまた“マズい”っていわれるのわかってて渡したくなんてないんですけど!?
「あほ面さらしてボトル作り頑張れよ、雑食ゴリラ──うわマズ」
「うるさい!性悪男!!マズいなら飲むな!」
ボトルを飲みながら体育館の中へと戻っていく二海にべーっと舌を出しながら言葉を吐き捨てる。
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