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第38話
しおりを挟むやっとの思いでたどり着いた学校──だけど、最難関が待っていた。
そう、体育だ。
今日ほど体育がなくなって欲しいと思ったことは無い。
机に突っ伏しながらお腹を押さえて唸り声をあげる。
正直、立ってるのもやっとな状態で体育なんてできるはずがない。
「ねぇ、茉弘・・・大丈夫?次体育だよ?」
由紀が心配そうに私を見ながら声をかける。
だけど、体を起こす気力は私にはなかった。
「薬飲んで落ち着いてはいるんだけどね・・・しんどいかも~・・・」
「体育、休む?」
「嫌、単位落としたくないもん」
休むのはいいけど、その分単位は落ちる。
それだけは避けたかった。
「うーん・・・じゃあ、無理しない程度にやりなよ?」
「わかった~」
由紀に返事をしたあと、ゆっくりと立ち上がる。
それだけでも少しだけフラフラする感覚があった。
とりあえず着替えてみるか・・・と、体操着を持って更衣室へと向かう。
その隣で由紀は心配そうに私についてきてくれた。
着替え終わってから体育館に向かい、授業が始まる。
私のクラスは男子が多いせいで男女に別れて体育はしない──つまり、男女混合。
正直体力が追いつかない。
いつもなら男子顔負けな動きができるけど・・・今は無理。
「おい、辻本手ぇ抜いてんのか~!?今日動き悪いぞ~!」
「いつもの動きはどーした~!?」
私の動きがいつもと違うことに気付いたであろう男子が、私に声をかけてくる。
いや、今は無理だから。
そんなことも言えずに休憩が終わる。
仕方ない・・・と、私も立ち上がった時、視界が暗転した。
バタン──
「──おい・・・!!」
遠くから聞こえる物音と誰かの声・・・だけど、目を開けることが出来ない。
「・・・せん・・・ほけ・・・し・・・つ・・・きま・・・」
肩と膝の裏に暖かいのが触れたと思ったら、突然浮遊感が私の体を襲う。
あ・・・暖かい・・・。
そんな事を考えながら、意識を手放した。
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