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第12話

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二海に押し付けられた保冷剤をつねられて赤くなった頬に当てながら、帰り支度を整える。



今日は1日最悪だったな。



そんなことを考えながら荷物を持って教室をあとにする。



廊下を歩いていると、後ろからバタバタと足音が聞こえてくる。



「ま、茉弘ちゃんっ!待って!!」



「え、茂木先輩?」
 


後ろから聞こえた足音はジャージに着替えた茂木先輩のものだったらしい。



息を上げながら私の元まで走ってきたようだ。



「ハァっ・・・ハァっ・・・、良かったっ・・・まだっ、帰ってなかった・・・!」



膝に手をついて息を整える茂木先輩。



「何か用事ですか?そんなに急いで・・・」
 


「あぁ、うんっ・・・!さっき言いそびれちゃったから、茉弘ちゃんが帰る前にって、思って・・・!」



いまだに息が上がって苦しそうなそうな茂木先輩は、途絶え途絶えに言葉を紡ぐ。



そう言えば、ロングホームルーム前に会った時、私に何か話そうとしてたな・・・。



「あのねっ・・・マネージャーの仕事っ、手伝って欲しいんだけど・・・!」



「──はい?」



茂木先輩の発した言葉が唐突すぎて、なかなか言葉の意味ををのみこめない。



私が、マネージャーの手伝い!?



確かに、バスケ部のマネージャーの1人が倒れたって話はしてたけど・・・なんで私!?



「あの、なんで私・・・?」



「茉弘ちゃん、元バスケ部だから練習内容とかスコアの付け方とか把握してるじゃん?だから、由紀ちゃんに色々教えて欲しいんだ。・・・ほら、中島さん。今あんな感じだし、治療に専念して欲しいんだよね」



あぁ、そういう事か。



確かに私はバスケ経験者だからスコアの付け方とかは把握はしてるけど・・・。



「ね、お願い!」



頭を下げつつ両手を合わせてお願いをしてくる茂木先輩。



茂木先輩がここまでするのは珍しいな。



「まぁ、今日は何も用事ないんで・・・。いいですよ、私でよければ」



「本当!?ありがとう、茉弘ちゃん!──よし、そうと決まったら体育館に行こ!」



OKを出した途端に目に見えて嬉しそうな顔になる茂木先輩は、私の手首を掴んで走り出す。



「わっ・・・!?ちょっと・・・・・・!!」



茂木先輩に手を引かれるように走るが、先輩の走るスピードが早すぎて、引っ張られるような形で走らざるを得ない。



手ブラな茂木先輩に対して私はカバンを持っている上にスカートを履いているわけで──



スカートのヒラヒラが足にまとわりついてきて走りづらいんですけど!?


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