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一話

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「お嬢様!」
私のもとに駆けつけたエマが悲鳴を上げます。床に座り込んで震えている私を抱き締めるようにしてくれました。彼女の体は温かくて柔らかかったです。
そんなエマを抱き締めた私の瞳から涙が溢れました。
「どうなされました?大丈夫ですか?」

泣き出した私の顔を覗き込みながら彼女が言いました。私はただ首を横に振ることしか出来ませんでした。彼女はそんな私の背中を優しく撫でてくれました。
「お嬢様......................」
彼女は、しばらく背中を撫でてくれたあと、静かに部屋から出て行きました。そして、すぐに何かを手にして戻ってきました。
「失礼します」そう言って、私の左手を取ると、手にした小瓶の中身を数滴垂らしました。その瞬間、ひんやりとした感触が手に広がりました。私が泣いていたことは忘れて彼女の顔を見詰めますと、彼女はにっこりと微笑みました。
「こちらをどうぞ」
私はその小瓶を受け取りました。中には白い錠剤が数粒入っていました。
「これは...................?」
私が問うと、エマは「痛み止めでございます」と答えてくれました。
「お嬢様は、ここ数日あまり眠れていないご様子でしたので..................」
「ありがとう....................」私はそう言いながらその小瓶を握り締めました。
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