ある王国の王室の物語

朝山みどり

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この国の真実

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「この国がどうやってなりたっているかシャーロットは知っているな」


「もちろんです。王家を中心に、王家を盛り立てるように貴族が動いています」


「そうです、だからエリザ・・・いやリンバロスト子爵はシャーロットの実家の侯爵家の危機を喜んで救わねばならないのです。それを・・・こいつは・・・」


王太子殿下の言葉の最後の部分を聞いて国王陛下は頭をかかえた。


「いや、いい。続けよう」


「そうだな、他国からはこう言われているな。忠実な四公爵家が英明な王室を支えていると」

「そうです」と王太子がわたしを見た。


「英明な王室・・・・・」と国王は呟くとうなだれた。


「立国以来、王室は途切れることなく続いている。我ら王室の先祖が立国の英雄、ギルベルド・ワイストーヌで連綿と血を受け継いでいる。そう思われているが違うんだ。わたしの祖父は四公爵家のどこかから、王家に養子に入っている。そして王太子になり、父が生まれた。同じようなことが何度かこの王室に起こっている。

養子の件は秘密でもなんでもないぞ。公式に発表されたし記録も残っている。

おまえは廃嫡され、四公爵のどこかから養子をとりそれが王家を継ぐ」


「なぜですか?わたしがなぜ廃嫡?」

「シャーロットは王太子妃としてふさわしいか?実家は?それに夫人の連れ子だ。血は引いているかも知れない、だが生まれたとき夫人は結婚していない」


「それは・・・・努力で・・・・」


「おまえは愚かだった。そちらのリンバロスト子爵は公爵家の血筋、能力も傑出していた。それを侯爵家というより侯爵夫人の実家が貶めた。それと侯爵夫人の泥棒行為。詐欺師の執事におまえが保証をしてしまった」


「それは・・・・」


「金で済むならいくらでも払う。だがな名誉は回復しない。もともと侯爵夫人は社交界のおもちゃ扱いと言うか・・・・・だが、リンバロスト子爵と血が繋がっていないから関係なかったが・・・・あの母親をお茶会に呼ぶ目的は道化として楽しむ事だったからな」


「なんですってお母様をそんな扱いしていたとは・・・」


「シャーロット、気がつかない君も・・・」


「シャーロットとの婚約を祝う夜会を覚えているかい・・・あの時点でわたしは覚悟をした・・・・」


「どうして、さきに教えてくれなかったのですか?」



「気付いた時は手遅れだった。リンバロスト子爵に執務の大半を任せた王太子と王妃、宰相はわたしに警告をしてきたけど・・・・・わたしは甘く見ていたんだ。王太子妃が無能でも文官が補うからな、王妃の仕事はほとんど文官がやっている。だが、名誉はそうはいかない。王妃の実家に難はない。だが、シャーロットの実家は侯爵も夫人も・・・・夫人はあの緑の石の件がある・・・・侯爵夫人の実家は目も当てられない状態だ。デザインを盗むとは・・・・侯爵があとを継いだのもね」


「お父様がなにを・・・」とシャーロットが気色ばめば


「侯爵はスペアとしても教育も受けてない、正直優秀な養子が継ぐと安心しているときに君のお父さんが放浪から戻って後継に収まってな・・・・けっこう周囲はがっかりしたんだよ・・・・まぁ君のうちのことはどうでもいい・・・・公爵閣下あとの算段はついているんだよな」


「もちろんだ」


話が終わるとわたしたちは王宮を辞したが、不思議と帰りは誰にも会わなかった。

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