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夜会のドレス
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バロス工房はバンドリン侯爵夫人が贔屓にしているドレスメーカーだ。
パッと目立つドレスが得意だ。
得意客のシャーロットが王太子の婚約者になることが決まり、祝いの夜会のドレスを作ることになった。
ここで目立つものを作って高位貴族を顧客にするぞ、そう思って主任デザイナーのダニエルは次々とデザイン画を描いていった。
そんなある日、ここで働きたいとある娘がやって来た。
服装をみると地味な安物を着ているが色の組み合わせが洒落ている。自分で縫ったというがなかなかの技術だ。
デザイン帳も差し出してきたが、素晴らしかった。
ダニエルは彼女を採用した。普段からとげとげした工房だ。新入りはいじめられる。
食事も休みもない彼女はやつれていった。
その上、今季の既製服に彼女のデザインが盗用されていた。抗議した彼女をダニエルは一蹴した。
「たまたま似たデザインだ。発表したのは俺だ」
彼女は工房をやめた。
工房の主、バロスはダニエルを連れて侯爵家に行った。
「王太子の婚約者ともなれば今までとは違うのよ、わかっているかしら」
侯爵夫人がふんぞりかえって言うと
「もちろん、心得ております。より豪華なものを作ります。ご覧になって下さい」
デザイン画を見せていくと、あの娘のデザインをみてシャーロットが
「これがいいわ、こんなのは王妃だって着てないわ。あの人やたら若作りにするから、負けないように気合をいれて作りたいのよ」
「それでしたら、このデザインを元にして豪華にアレンジしましょう。必ずご満足いただけますよ」
そして侯爵夫人が選んだのもあの娘のデザインだった。
◇◇◇
「あれ?あなたどうしたの?」
「お嬢様、大きな声で・・・あ・・・」
「この娘が倒れてて」
「人を呼んでなかに運びましょう」
ここは新興貴族と言うか成金貴族のポッター子爵の屋敷。
散歩にでようとしたマチルダお嬢さんが門の前に倒れていた少女を見つけた所だ。
家から出てきた執事が少女を抱き上げて家に運ぶ。
お嬢さんは少女が大事にかかえていた、スケッチブックを持ってあとに続いた。
やがて気がついた少女はキャロルと名乗った。
マチルダは切り出した。
「あの、キャロルごめんだけど、スケッチブックを勝手に見ちゃって、その素晴らしいと思って」
「え?・・・」
「ううん、素敵よ。わたしドレスのこと全然わからないけど、どれも着てみたい思って・・・・でねよかったらドレスを作りたいの・・・キャロルは縫うのはできる?」
「できますが・・・あたし・・いえわたしのデザインでですか?」
「うん、素敵よ・・・じつはかあ様、いえ母上にもみせて許可がでてるの・・・縫うのはわたしも、母上も侍女も手伝えるのよ・・・・じつはこんど王宮で夜会があってね、そこでドレスを着るんだけど・・・成金だからってお店に相手にしてもらえなくて・・そしてわたし、すこしポチャだから既製服が・・・・だから・・・お願い」
続けて話そうとしたマチルダはキャロルが泣き出したのをみて
「ごめん、無理強いするつもりはないの・・・泣くほどいやなこと言ってごめん・・」
「いえ、違うんです・・・うれしくて・・・デザインを気に入ってもらえるってうれしくて・・・・作ります・・・作ります・・・うれしい・・・」
それから、ポッター家の客間は縫製室となった。ドレスはキャロルがマチルダと生地を見てデザインしたものだ。
マチルダの婚約者は時折差し入れを持って訪ねてきたが、決してドレスをみせて貰えずちょっと寂しそうだった。
そんなある日、マチルダの友人のジョシーが突撃してきた。
「ねぇ忙しいってなに?一緒に服屋を回ろうと思っていたのに」と大声でいいながら廊下を歩いて来る。
「それね、わたしのサイズだと無理かなって断ったでしょ?」
「うん、だけど無理言えばなんとかなるかなって・・・・だってお金はあるんだもの」
「違いない・・・だけど・・・来て、解決したのよ」
「なにこれ?・・・素敵・・・ひとりでこんな楽しい事してるなんて」
「いいでしょ・・・」
「混ぜなさいよ」
「だって、ジョシーは普通に買えるでしょ」
「ううん、それはそれ、これはこれ・・・・ねぇ同じの作りたいって言ったら怒る?」
「同じもの?」
「うん、だってこれ素敵・・・・色は変えるから・・・・」
「それっていいかも・・・・キャロルに聞かないと・・・この二日寝ずに頑張ってたから・・・今、ベッドに寝るように言ってるの・・・・」
「キャロル?」
「うん、頼りになる、天才デザイナーよ」
マチルダはキャロルを門前で見つけた時から今までを、ざっと説明した。ジョシーはうなづきながら、話を聞くと
「起きてくるまで待ってていい?縫うのはうちの侍女も乳母も動員するわ」と早速、自分の屋敷に使いをだした。
このあとジョシーのドレスもここで縫うとこになり、仲良しは大満足した。
二人の婚約者は振り回されたが、こちら二人も仲がよく、楽しく準備をした。
最後に本番のようにドレスアップした四人をみたキャロルは男性の服に少し手を加えた。
四人が並ぶとお互い同士が引き立て合い、それなりの服地しか使えなかったドレスが高級なものに見えた。
パッと目立つドレスが得意だ。
得意客のシャーロットが王太子の婚約者になることが決まり、祝いの夜会のドレスを作ることになった。
ここで目立つものを作って高位貴族を顧客にするぞ、そう思って主任デザイナーのダニエルは次々とデザイン画を描いていった。
そんなある日、ここで働きたいとある娘がやって来た。
服装をみると地味な安物を着ているが色の組み合わせが洒落ている。自分で縫ったというがなかなかの技術だ。
デザイン帳も差し出してきたが、素晴らしかった。
ダニエルは彼女を採用した。普段からとげとげした工房だ。新入りはいじめられる。
食事も休みもない彼女はやつれていった。
その上、今季の既製服に彼女のデザインが盗用されていた。抗議した彼女をダニエルは一蹴した。
「たまたま似たデザインだ。発表したのは俺だ」
彼女は工房をやめた。
工房の主、バロスはダニエルを連れて侯爵家に行った。
「王太子の婚約者ともなれば今までとは違うのよ、わかっているかしら」
侯爵夫人がふんぞりかえって言うと
「もちろん、心得ております。より豪華なものを作ります。ご覧になって下さい」
デザイン画を見せていくと、あの娘のデザインをみてシャーロットが
「これがいいわ、こんなのは王妃だって着てないわ。あの人やたら若作りにするから、負けないように気合をいれて作りたいのよ」
「それでしたら、このデザインを元にして豪華にアレンジしましょう。必ずご満足いただけますよ」
そして侯爵夫人が選んだのもあの娘のデザインだった。
◇◇◇
「あれ?あなたどうしたの?」
「お嬢様、大きな声で・・・あ・・・」
「この娘が倒れてて」
「人を呼んでなかに運びましょう」
ここは新興貴族と言うか成金貴族のポッター子爵の屋敷。
散歩にでようとしたマチルダお嬢さんが門の前に倒れていた少女を見つけた所だ。
家から出てきた執事が少女を抱き上げて家に運ぶ。
お嬢さんは少女が大事にかかえていた、スケッチブックを持ってあとに続いた。
やがて気がついた少女はキャロルと名乗った。
マチルダは切り出した。
「あの、キャロルごめんだけど、スケッチブックを勝手に見ちゃって、その素晴らしいと思って」
「え?・・・」
「ううん、素敵よ。わたしドレスのこと全然わからないけど、どれも着てみたい思って・・・・でねよかったらドレスを作りたいの・・・キャロルは縫うのはできる?」
「できますが・・・あたし・・いえわたしのデザインでですか?」
「うん、素敵よ・・・じつはかあ様、いえ母上にもみせて許可がでてるの・・・縫うのはわたしも、母上も侍女も手伝えるのよ・・・・じつはこんど王宮で夜会があってね、そこでドレスを着るんだけど・・・成金だからってお店に相手にしてもらえなくて・・そしてわたし、すこしポチャだから既製服が・・・・だから・・・お願い」
続けて話そうとしたマチルダはキャロルが泣き出したのをみて
「ごめん、無理強いするつもりはないの・・・泣くほどいやなこと言ってごめん・・」
「いえ、違うんです・・・うれしくて・・・デザインを気に入ってもらえるってうれしくて・・・・作ります・・・作ります・・・うれしい・・・」
それから、ポッター家の客間は縫製室となった。ドレスはキャロルがマチルダと生地を見てデザインしたものだ。
マチルダの婚約者は時折差し入れを持って訪ねてきたが、決してドレスをみせて貰えずちょっと寂しそうだった。
そんなある日、マチルダの友人のジョシーが突撃してきた。
「ねぇ忙しいってなに?一緒に服屋を回ろうと思っていたのに」と大声でいいながら廊下を歩いて来る。
「それね、わたしのサイズだと無理かなって断ったでしょ?」
「うん、だけど無理言えばなんとかなるかなって・・・・だってお金はあるんだもの」
「違いない・・・だけど・・・来て、解決したのよ」
「なにこれ?・・・素敵・・・ひとりでこんな楽しい事してるなんて」
「いいでしょ・・・」
「混ぜなさいよ」
「だって、ジョシーは普通に買えるでしょ」
「ううん、それはそれ、これはこれ・・・・ねぇ同じの作りたいって言ったら怒る?」
「同じもの?」
「うん、だってこれ素敵・・・・色は変えるから・・・・」
「それっていいかも・・・・キャロルに聞かないと・・・この二日寝ずに頑張ってたから・・・今、ベッドに寝るように言ってるの・・・・」
「キャロル?」
「うん、頼りになる、天才デザイナーよ」
マチルダはキャロルを門前で見つけた時から今までを、ざっと説明した。ジョシーはうなづきながら、話を聞くと
「起きてくるまで待ってていい?縫うのはうちの侍女も乳母も動員するわ」と早速、自分の屋敷に使いをだした。
このあとジョシーのドレスもここで縫うとこになり、仲良しは大満足した。
二人の婚約者は振り回されたが、こちら二人も仲がよく、楽しく準備をした。
最後に本番のようにドレスアップした四人をみたキャロルは男性の服に少し手を加えた。
四人が並ぶとお互い同士が引き立て合い、それなりの服地しか使えなかったドレスが高級なものに見えた。
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