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勇者たちは、その日、王宮に泊まった。

翌日、司祭と若い神官の二人がやって来て、先ず国王と話をした。ついで勇者が呼ばれ司祭からの説明を受けた。

「魔王を封印する為にあなた方は、捧げ物をしました。その時から、魔王は封印を解く為に、あなたがたの負の思いを集めます。ただ、あなた方はあまり、負の思いがなかった。

なにも感じなかったとは思いませんが、その・・・・普通に日常に戻った。それぞれご家族と葛藤があったことは察しております。
ただ、悩みはしても恨みはなかったのでは、ないかと思います。それが良かった。いや魔王には悪かった?えーと魔王は恨みが足らずに封印から逃れられなかった。時間が経つに連れて、魔王は弱り、封印は強くなり、あなたがたが捧げたものも不要になったようです」


「まぁ、何故、自分が勇者なのかと恨みはありましたが・・・・」とパーシーが静かに言うと、

「そうだな」とアレクも言った。


「そこで、結婚の時に話していた、結婚式とパレードをやろうと思っている。準備はすでに出来ている。予定では一年後だったからな」と国王が言うと

「今からですか?」とロバートが言った。

「君たちが見事、そのなんと言うか、呪いに打ち勝ったというか、奇跡が起きて元に戻った事を周知させたいのだ」

国王の言葉に、渋い顔をしながら全員がうなづいた。

「結婚式の衣装を作るのにひと月いるらしくて、出来上がったら、執り行う。それでいいかな?」と今度は夫人たちの方を見て国王が言った。

アーデリアはアレクと顔を見合わせ、うなづいた。

「「「「かしこまりました」」」」の返事はきれいに揃っていた。



式とパレードに先立って、勇者たちを招待した園遊会が開かれた。貴族に勇者の姿を見せておくためだ。



その日勇者たちは、揃いの水色の上着を身につけて会場に現れた。貴族たちは先を争って挨拶をした。

その勇者を遠くから見つめる二人の女性がいた。

「お姉様、あれがアーデリアですわね」

「えぇ、一目見てわかりますね」

「ほんとうに・・・」

「あの子は幸せになりましたね」


しばらく、見ていた二人はどちらともなく、出口に向かった。

『あなたには黙っていたけど、わたくし行けない所にお願いしちゃったのよ。我慢できなくて・・・・ごめんね』と一人は思っていた。

『お姉様、わたくしね。あの人を巻き込んだの。後悔してないのよ。酷いと思うよね』

「「あれ?なにかあった?」」とお互いが口に出し、吹き出した。

「「ほんとにおなじことを」」と言うと

「お姉様の番」と一人が言うと、

「もう、この国に気にかかるものがなくなったなって思ったの」と答え、

「わたくしもそう、思ってた」ともう一人が受けると、

「「すっきりした」」

そして、吹き出した。






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