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高いドレス

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「レースを効果的に使いたいわ。背中にスリットをいれてレースを挟むのはどうかしら?」

わたしの言葉に店長が反応した。

「どう思う?」

と聞いた時には彼女の手が動いていた。

「テオ食事は立食?それともテーブル?」

「えーーとまだ決まってない」

「そう、今の提案は立食の時に後ろから見られるからって考えたけど、テーブルならレースは胸元に使いたいわ」

「そうか、ドレスってそんなに面倒なの?」

「これは当たり前の事よ」と答えると

「だったら立食でいくかな。たくさん招待するつもりだから」

「まぁそうだわね。一応確認だけはね」と鷹揚に言うとデザイン画を見て

「いいわね。だけど折角だから、スカートにプリーツを使って。技術を見せたいの。動くと綺麗なドレスを」と言うと

「そう言って下さると」と店長が答えた時

「ほんとにダサいわね」とマリアンヌの声が割り込んだ。

「いい、この店は王都でもないくらい店よ。豪華な衣装で有名なの。そこでそんな貧弱なものを作るなんて恥ずかしいわよ」

「あら、マリアンヌは豪華なものが価値あるものを思ってるの?」と馬鹿にして言うと

「当たり前でしょ。田舎者はそんなこともわからないの」と言い返してきたので

「価値をお金でしか計れないとはねーーー」とため息混じりに言ってやった。

「なにか助言できるかしら、デザイン画を描いてもらえば」と言うと、え?とうろたえた。

「ほら、カタログ通りって事はないでしょ。当然。袖のデザインを変えるのだって描いて貰って確認しなくては腕を華奢に見せるカットがわからないでしょ?勿論仮縫いの時に充分確認するけど・・・・あなたの魅力を最大に引き出すのは、裾に散りばめたダイヤじゃないわよ。そんな常識もわからないでここに来るなんて」

「うるさい、うるさい。馬鹿にするな」

「そんな人を馬鹿にしてないわ。無知を指摘しただけだわ。まぁ最初に戻ってなにを着たいか、言ってみたら、言うだけならできるでしょ?スカートを膨らましてとか、そんなのかな?大丈夫、似合わなくても、笑うのはわたしだけだから」

そう言ってふわーーと笑うと

「テオ、この店だめよ。帰る」と言いながら足を踏み鳴らした。

「送ってあげたら?」とテオに言うと

「やれやれ、学ぼうとしないんじゃ仕方ないね」とテオは立ち上がり

「待ってて、送ったらすぐに戻るから」とマリアンヌに手を差し出した。


「え?テオ・・・それって」

「マリアンヌ、アリスがドレスを作るところを見て学ぶんだよ。ちょっとだけ我慢して残ってみたら」

マリアンヌはわたしをじっと見て、もう一度座った。

「見せて貰うわ」と威張って言った。わたしはそれを聞いて優しげにうなづいた。

ピキっとなってたけど知らんわ。





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