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興業延長

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思ったより人気が出て、大きな劇場でやってはどうかと話しが来たらしいが、わたしはやりたくない。

移動をしたい。安全に旅するのに利用しているのだから、旅の一座らしくして欲しい。

それにわたしたちの芸は大きな劇場向きとは言えないと思う。

座長は悩んだようだが、一週間休んで、もう一度二週間の興業をやって移動することになった。

休みの間は、自分で自分を紹介するのは恥ずかしいから、ぬいぐるみにさせようと思いついて、うさぎを動かして

「ようこそ、いらっしゃいました・・・」とか言わせる練習をした。それに自分を宙に浮かせるのを応用してこのうさぎを移動させるように練習している。

うさぎはゆっくり歩き、頭を下げる。早く動かしたいけど、うまく動いてくれない。練習が大事だ。


そして、風のナイフでじゃがいもの皮を剥くのも、出来るようになった。微妙な魔力の調整という事に気づいたし、なにごとも勉強に通じると思う。

攻撃魔法を学院で個人的に教えて貰えた事は運が良かった。それは本当だし感謝してる。一応出来ると思うけど・・・・フンガーと力一杯魔力を出すしかできないだろう。


使う時など永久にない事を祈っている。


さて、今日はデメテルの買い物にマールとわたしが、荷物持ちとしてついて来た。

一座の人数だと野菜も肉も、大荷物になる。トマトが安いからと大量に買った。これと鶏肉を煮込むらしい。

聞くだけで美味しそうだ。トマトの皮は剥かないそうだ。上手な所をみせられない。それで、じゃがいもも入れようよとねだった。

すると偶然だけど、今日は玉ねぎが、高くてあまり買えないから、じゃがいもを入れましょうと決めてくれた。

デメテルは玉ねぎが多い方が好きらしい。わたしは食べた事がないからどっちが好きかわからない。だけどじゃがいもの皮を剥けるからうれしい。

マールと美味しそうな材料を見たり、次はあれを使ったのを食べたいねとか、お菓子をみたりちょっと小物を見て、次はゆっくり見に行こうとか、二人共荷物を持っているのに、元気にしゃべって一座に戻った。

わたしはすぐにじゃがいもを剥いた。そしてデメテルが料理をするところを見ながら、木の板に「赤いリボン、ざくろ、レモンパイ、髪飾り」とナイフで書いて、マールにわたした。

わたしたちは、デメテルが鍋をかき混ぜている後ろで、それぞれ好きな事をして過ごした。



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