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学院生活

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教室に着いた時、一時間目は当然、始まっていた。いつもの事だ。

「遅れました。すみません」と口のなかでつぶやき、俯いたまま自分の席に向かった。

教師はアリスの存在を無視しているというか、目に入れてない。級友はクスクス笑う者と、静かに笑う者、無視する者で分かれている。たしかにこんな辛気臭い女にかかわりたくないだろう。



なるほど、アリス情報通りだ。机に落書きと椅子が・・・・・本当に三本足の椅子だ。四本のうちの一本がなくて、三本足なのだ。

これに座っていたアリスはある意味鍛え方が違うのでは?わたしも座ってみたが、なかなかいい訓練になる。

授業はとっくに知っているものだから、聞く必要はない。わたしは級友の観察で今日は過ごすつもりだ。


さて、お昼の時間だ。わたしは食堂に向かった。

アリスは、ここに来ないでパンをかじってすませていたようだが、わたしはここはいつものアリスと違う行動を取る。

お昼くらい、食べたい。アリスがいくじなしの無能は、空腹もあったと思う。だからわたしは食堂に来た。


わたしも列に並んだ。張り出してあるメニューを見て、チキンカツ定食を注文した。


お盆を受け取って、席に向かうと、いきなり足を引っ掛けて来ようとした者がいた。

そいつの足の魔法で床に押し付けて、自分の足の重量をあげると踏んづけた。

「ぎゃあーーーー」とそいつが大声を出した。アリスらしくわたしはごもごも言うと、俯いたまま歩き続けた。

「なにするんだーーーー」とそいつは通路に足を出したままわめいていたが、別にどうでもいいし、わたしは空いた席に座ると、ゆっくりと食事をした。

コースでなくお盆に乗った食事というのはなかなか便利だし、なんというか単純な味付けが実に美味しくて、下位の者の暮らしはなかなか良いものだ。


わたしが食事をする間にも、あの男は

「邪魔だよ。なに通路に足を出してるんだ」とか、

「どけろよ」

「踏んでくれって言うのか?」などと言われながら、足を踏まれたり、しまいには頭を小突かれたりしていた。

わたしは食堂を出るときにあの男にかけた魔法を解いた。


あの男は同じクラスのようで、午後の授業が始まる前にそばにやって来て

「なんでお前が食堂に来るんだ。飯がまずくなるだろう。いつものように外でパンをかじってろよ」と喚いた。

いつものアリスのようにじっと下を向いて黙っていると他にも言っていたが、教師が部屋に入って来ると席に戻って行った。

午後の授業も人間観察していたら、終わった。



帰りは当然、歩いて帰る。靴が壊れないように気をつけて歩くのは時間がかかるし、なんだか疲れる。それで少し自分を浮かせられないかと、試しながら歩いた。家の門が見える頃、やっと安定して少し浮いた状態で移動できるようになった。

こういうのは、こういう貧乏な生活をしていてこそ思いつく事だ、やっぱ庶民はいいぁと思っていると家に着いた。

一応、アリス情報通りにただいま帰りましたと挨拶するが、ごもごも話すので聞こえていても聞こえない振りをされる。

そして、階段を登っていると

「お嬢様、こそどろのように帰ってくるのはやめて下さい」

「ほんと、なってないよね。いっそ帰ってこなくていいのに」と声をかけられた。

アリス情報によると他には、

「あらいやだ、帰って来たんだ。ずうずうしい」「あの姿をみると空気がずんと重くなるのよね」「早く消えてよ」

などがある。

アリスらしくごもごもとお詫びの言葉を発しながら、階段を登って屋根裏の部屋に入った。


部屋に入ると朝の小鳥が窓辺にやって来たので、窓を開けてなかに入れた。

小鳥から今日の伝達事項が映像として、流れ込んで来た。


「ありがとね」とわたしは朝のパンを少し食べさせた。

それから小鳥の願いを聞いて残りのパンをちぎってばら撒いた。すると小鳥がたくさんやって来ると賑やかに食べ始めた。


それをぼんやりとみながら、来週の行事の事や、わたくしがルイーズとして生きていた時代や国が記録されているかどうか調べるなら、図書館かなとか、アリスを馬鹿にしたり、虐めたりしたやつらにどうやって復讐するのが面白いかなとか、考えてすごした。




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