24 / 24
リチャードとジェーン
しおりを挟む
「いやぁ、危なかった。ジャックは、ナタリーとクレアの事となるとおかしくなるから・・・・なんとかなってよかった」
「それにしても・・・・何故あのような間違いが起きたのでしょうね」
「運命だよ。君とクレアは出会えた」と言いながらリチャードは自分が詩的大飛躍をした気分だった。顔に血が上った。
「そうですね。僕たちは出会うべくして、出会ったんですよ」とエドワードは恥ずかしげもなく言うと、皿のお菓子を口に入れた。
「これ美味しいですね」
「だろ」
二人は真面目な顔で一枚食べると、顔を見合わせて微笑みあった。
遠くでクレアとジャックの笑い声が聞こえた。
その夜、泊まるようすすめられたのを断ってジャックとリチャードは、暇を告げた。
リチャードが家に戻るとおどおどしたジェーンが出迎えた。
妻として不満がある相手ではない、心から反省しているとは思えない。だが、二度とやらないとは思う。
「ただいま、連絡しないで遅くなって悪かった。クレアの所の行っていたんだ」
「クレアさんはお元気ですか?赤ちゃんができたとか」
「それは誰に聞いたのか?」
「みんな言ってますよ」
「うわさ話に興ずるのはよくない、今後はやめなさい。特に一族のうちわの話は・・・・お前のしたことはうわさになっていないだろ。クレアが黙っているからだ。下手すれば面白おかしくうわさされる事だぞ。クレアを見習え」
「かしこまりました。旦那様」
「わかればいい・・・・夕食はローストチキンだったのか?惜しかったな。明日の昼、サンドイッチにしてくれ。お前の得意なマスタードソースで」と微笑みながら言えば
はっとしたジェーンは
「おまかせを。チキンスープも作りますね」と答えた。
リチャードは、こういった、打てば響く所が昔から好きだった。一緒に暮らすにはいい相手だ。
翌日、一人サンドイッチをつまみながら、クレアの事を考えた。
確かに子供の頃は、ナタリーそのままの子供、怖いものなしの暴君だった。それがいつのまにか聞き分けのいい子になっていた。
悪意など知らぬに育った子供の柔らかい精神には、親を殺したという言葉が致命傷だっただろう。だからあのルビーごときにいいようにされた・・・・・
ルビー、子供の頃から小賢しいとは思っていたが、まぁリズがうまくやるだろう。プリングルの名を汚す事はリズも許さないだろうからな。
それからジェーンを呼び出したリチャードは、ジャックを歓迎する食事会を開くことを告げた。
「ジャックが戻っているから食事会を開く、昼餐で行こう。できるだけ早めに、それから新しいドレスを作ると良い。久しぶりに女主人が戻って来たことを知らしめよう。
招待客は二人で決めよう」
リチャードたそういうとジェーンは少し目を潤ませながら
「はい、すぐに献立を考えましょう。デザートはレモンパイにしましょう」と答えた。それから黙って深く頭を下げると部屋を出た。
黙って見送ったリチャードは閉まったドアを見ていたが、その目は潤んでいた。
「ナタリーがレモンパイに目がなかったことを知っていたんだな」
そういうとハンカチを目に当てた。
「それにしても・・・・何故あのような間違いが起きたのでしょうね」
「運命だよ。君とクレアは出会えた」と言いながらリチャードは自分が詩的大飛躍をした気分だった。顔に血が上った。
「そうですね。僕たちは出会うべくして、出会ったんですよ」とエドワードは恥ずかしげもなく言うと、皿のお菓子を口に入れた。
「これ美味しいですね」
「だろ」
二人は真面目な顔で一枚食べると、顔を見合わせて微笑みあった。
遠くでクレアとジャックの笑い声が聞こえた。
その夜、泊まるようすすめられたのを断ってジャックとリチャードは、暇を告げた。
リチャードが家に戻るとおどおどしたジェーンが出迎えた。
妻として不満がある相手ではない、心から反省しているとは思えない。だが、二度とやらないとは思う。
「ただいま、連絡しないで遅くなって悪かった。クレアの所の行っていたんだ」
「クレアさんはお元気ですか?赤ちゃんができたとか」
「それは誰に聞いたのか?」
「みんな言ってますよ」
「うわさ話に興ずるのはよくない、今後はやめなさい。特に一族のうちわの話は・・・・お前のしたことはうわさになっていないだろ。クレアが黙っているからだ。下手すれば面白おかしくうわさされる事だぞ。クレアを見習え」
「かしこまりました。旦那様」
「わかればいい・・・・夕食はローストチキンだったのか?惜しかったな。明日の昼、サンドイッチにしてくれ。お前の得意なマスタードソースで」と微笑みながら言えば
はっとしたジェーンは
「おまかせを。チキンスープも作りますね」と答えた。
リチャードは、こういった、打てば響く所が昔から好きだった。一緒に暮らすにはいい相手だ。
翌日、一人サンドイッチをつまみながら、クレアの事を考えた。
確かに子供の頃は、ナタリーそのままの子供、怖いものなしの暴君だった。それがいつのまにか聞き分けのいい子になっていた。
悪意など知らぬに育った子供の柔らかい精神には、親を殺したという言葉が致命傷だっただろう。だからあのルビーごときにいいようにされた・・・・・
ルビー、子供の頃から小賢しいとは思っていたが、まぁリズがうまくやるだろう。プリングルの名を汚す事はリズも許さないだろうからな。
それからジェーンを呼び出したリチャードは、ジャックを歓迎する食事会を開くことを告げた。
「ジャックが戻っているから食事会を開く、昼餐で行こう。できるだけ早めに、それから新しいドレスを作ると良い。久しぶりに女主人が戻って来たことを知らしめよう。
招待客は二人で決めよう」
リチャードたそういうとジェーンは少し目を潤ませながら
「はい、すぐに献立を考えましょう。デザートはレモンパイにしましょう」と答えた。それから黙って深く頭を下げると部屋を出た。
黙って見送ったリチャードは閉まったドアを見ていたが、その目は潤んでいた。
「ナタリーがレモンパイに目がなかったことを知っていたんだな」
そういうとハンカチを目に当てた。
82
お気に入りに追加
380
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
さみだれの初恋が晴れるまで
める太
BL
出会う前に戻りたい。出会わなければ、こんな苦しさも切なさも味わうことはなかった。恋なんて、知らずにいられたのに。
幼馴染を庇護する美貌のアルファ×ベータ体質の健気なオメガ
浅葱伊織はオメガだが、生まれつきフェロモンが弱い体質である。そのお陰で、伊織は限りなくベータに近い生活を送ることができている。しかし、高校二年生の春、早月環という美貌の同級生と出会う。環は伊織がオメガであると初めて"嗅ぎ分けた"アルファであった。
伊織はいつしか環に恋心を寄せるようになるが、環には可憐なオメガの幼馴染がいた。幾度も傷付きながらも、伊織は想いを諦めきることができないまま、長雨のような恋をしている。
互いに惹かれ合いつつもすれ違う二人が、結ばれるまでのお話。
4/20 後日談として「さみだれの初恋が晴れるまで-AFTER-」を投稿しました
※一言でも感想等頂ければ嬉しいです、励みになります
※タイトル表記にて、R-15表現は「*」R-18表現は「※」
※オメガバースには独自解釈による設定あり
※高校生編、大学生編、社会人編の三部構成になります
※表紙はオンライン画像出力サービス「同人誌表紙メーカー」https://dojin-support.net/ で作成しております
※別サイトでも連載中の作品になります
愛された事のない男は異世界で溺愛される~嫌われからの愛され生活は想像以上に激甘でした~
宮沢ましゅまろ
BL
異世界ミスリルメイズ。
魔物とヒトの戦いが激化して、300年。
この世界では、無理矢理に召喚された異世界人が、まるで使い捨てのように駒として使われている。
30歳になる、御厨斗真(トーマ)は、22歳の頃に異世界へと召喚されたものの、異世界人が有する特殊な力がとても弱かった事。色々あり、ローレンス辺境伯の召使として他の異世界人たちと共に召し抱えられてることになったトーマは時間をかけてゆっくりと異世界に馴染んでいった。
しかし、ローレンスが寿命で亡くなったことで、長年トーマを狙っていた孫のリードから危害を加えられ、リードから逃げる事を決意。リードの妻の助けもあって、皆で逃げ出すことに成功する。
トーマの唯一の望みは「一度で良いから誰かの一番になってみたい」という事。
天涯孤独であり、過去の恋人にも騙されていただけで本当の愛を知らないトーマにとっては、その愛がたとえ一瞬の過ぎたる望みだったとしても、どうしても欲しかった。
「お前みたいな地味な男、抱けるわけがないだろう」
逃げだした先。初対面でそう言い切った美丈夫は、トーマの容姿をそう落とした。
好きになれるわけがない相手――本当ならそう思ってもおかしくないのに。
トーマはその美丈夫を愛しく思った。
どこかやさぐれた雰囲気の美丈夫の名前は、フリードリヒという。
この出会いが、誰にも愛されなかったトーマの人生を変える事になるとは、この時はまだ知らなかった。
辺境の国の王太子×内気平凡異世界人
※二章から二人の恋愛に入ります。一章最後当て馬(?)がちらりと出るあたりでちょっとムカつくかもしれませんので、気になる方は二章始まるまで待機をお勧めします。◆平日は1回更新、休日は2回更新を目指しています。
イラスト:モルト様
迅英の後悔ルート
いちみやりょう
BL
こちらの小説は「僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた」の迅英の後悔ルートです。
この話だけでは多分よく分からないと思います。
【R18完結】愛された執事
石塚環
BL
伝統に縛られていた青年執事が、初めて愛され自分の道を歩き出す短編小説。
西川朔哉(にしかわさくや)は、執事の家に生まれた。西川家には、当主に抱かれるという伝統があった。しかし儀式当日に、朔哉は当主の緒方暁宏(おがたあきひろ)に拒まれる。
この館で、普通の執事として一生を過ごす。
そう思っていたある日。館に暁宏の友人である佐伯秀一郎(さえきしゅういちろう)が訪れた。秀一郎は朔哉に、夜中に部屋に来るよう伝える。
秀一郎は知っていた。
西川家のもうひとつの仕事……夜、館に宿泊する男たちに躯でもてなしていることを。朔哉は亡き父、雪弥の言葉を守り、秀一郎に抱かれることを決意する。
「わたくしの躯には、主の癖が刻み込まれておりません。通じ合うことを教えるように抱いても、ひと夜の相手だと乱暴に抱いても、どちらでも良いのです。わたくしは、男がどれだけ優しいかも荒々しいかも知りません。思うままに、わたくしの躯を扱いください」
『愛されることを恐れないで』がテーマの小説です。
※作品説明のセリフは、掲載のセリフを省略、若干変更しています。
嫌われ変異番の俺が幸せになるまで
深凪雪花
BL
候爵令息フィルリート・ザエノスは、王太子から婚約破棄されたことをきっかけに前世(お花屋で働いていた椿山香介)としての記憶を思い出す。そしてそれが原因なのか、義兄ユージスの『運命の番』に変異してしまった。
即結婚することになるが、記憶を取り戻す前のフィルリートはユージスのことを散々見下していたため、ユージスからの好感度はマイナススタート。冷たくされるが、子どもが欲しいだけのフィルリートは気にせず自由気ままに過ごす。
しかし人格の代わったフィルリートをユージスは次第に溺愛するようになり……?
※★は性描写ありです。
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
途中までのお話でしたが、とても楽しく読ませて頂きました。
あと少しでハッピーエンドになりそうですね。
ただ間違えて他の人に「余命一年」なんて言ってしまったら、すごく問題になりそうです……
読ませて頂いて有難うございました。