一年で死ぬなら

朝山みどり

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リチャードとジェーン

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「いやぁ、危なかった。ジャックは、ナタリーとクレアの事となるとおかしくなるから・・・・なんとかなってよかった」

「それにしても・・・・何故あのような間違いが起きたのでしょうね」

「運命だよ。君とクレアは出会えた」と言いながらリチャードは自分が詩的大飛躍をした気分だった。顔に血が上った。

「そうですね。僕たちは出会うべくして、出会ったんですよ」とエドワードは恥ずかしげもなく言うと、皿のお菓子を口に入れた。

「これ美味しいですね」

「だろ」

二人は真面目な顔で一枚食べると、顔を見合わせて微笑みあった。


遠くでクレアとジャックの笑い声が聞こえた。



その夜、泊まるようすすめられたのを断ってジャックとリチャードは、暇を告げた。


リチャードが家に戻るとおどおどしたジェーンが出迎えた。

妻として不満がある相手ではない、心から反省しているとは思えない。だが、二度とやらないとは思う。

「ただいま、連絡しないで遅くなって悪かった。クレアの所の行っていたんだ」

「クレアさんはお元気ですか?赤ちゃんができたとか」

「それは誰に聞いたのか?」

「みんな言ってますよ」

「うわさ話に興ずるのはよくない、今後はやめなさい。特に一族のうちわの話は・・・・お前のしたことはうわさになっていないだろ。クレアが黙っているからだ。下手すれば面白おかしくうわさされる事だぞ。クレアを見習え」

「かしこまりました。旦那様」

「わかればいい・・・・夕食はローストチキンだったのか?惜しかったな。明日の昼、サンドイッチにしてくれ。お前の得意なマスタードソースで」と微笑みながら言えば

はっとしたジェーンは

「おまかせを。チキンスープも作りますね」と答えた。

リチャードは、こういった、打てば響く所が昔から好きだった。一緒に暮らすにはいい相手だ。


翌日、一人サンドイッチをつまみながら、クレアの事を考えた。

確かに子供の頃は、ナタリーそのままの子供、怖いものなしの暴君だった。それがいつのまにか聞き分けのいい子になっていた。

悪意など知らぬに育った子供の柔らかい精神には、親を殺したという言葉が致命傷だっただろう。だからあのルビーごときにいいようにされた・・・・・


ルビー、子供の頃から小賢しいとは思っていたが、まぁリズがうまくやるだろう。プリングルの名を汚す事はリズも許さないだろうからな。



それからジェーンを呼び出したリチャードは、ジャックを歓迎する食事会を開くことを告げた。

「ジャックが戻っているから食事会を開く、昼餐で行こう。できるだけ早めに、それから新しいドレスを作ると良い。久しぶりに女主人が戻って来たことを知らしめよう。

招待客は二人で決めよう」

リチャードたそういうとジェーンは少し目を潤ませながら

「はい、すぐに献立を考えましょう。デザートはレモンパイにしましょう」と答えた。それから黙って深く頭を下げると部屋を出た。

黙って見送ったリチャードは閉まったドアを見ていたが、その目は潤んでいた。


「ナタリーがレモンパイに目がなかったことを知っていたんだな」

そういうとハンカチを目に当てた。





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みんなの感想(1件)

hiyo
2024.09.10 hiyo

途中までのお話でしたが、とても楽しく読ませて頂きました。
あと少しでハッピーエンドになりそうですね。
ただ間違えて他の人に「余命一年」なんて言ってしまったら、すごく問題になりそうです……

読ませて頂いて有難うございました。

解除

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