一年で死ぬなら

朝山みどり

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エドワード

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あれから一年になる。幸いクレアは元気だ。でもいつ儚くなってもおかしくない。だから一秒でも目を離したくない。

それなのに・・・・・クレアの幸せが一番だ。わかっている。懐妊しているだと・・・・愛した男が・・・・そいつのそばに行かせてやらないといけないのはわかっている。わかっているが・・・・・


そこにある男が訪ねて来た。ジャック・ルベール。

俺は立ち尽くした。動けなかったのだ。視界をすべて塞がれてじっと見透かされた。

「お前がクレアの」と聞こえた。

場違いに小さな、場違いに上流の言葉だった。

相変わらず俺は動けなかった。

「お前か?クレアを身ごもらせたのは」

小さく首を振った。俺は彼女にふれてない。

「違うのか?」

「クレアに不満があるのか?クレアじゃ足りないのか?」

「不満など・・・・」

「身ごもらせたのは誰だ?」

必死で首を振った。

ジャック・ルベールは一歩なかに入るとドアを閉めた。

俺はよろよろと客間に案内した。

彼はどっかと椅子に座ると

「つまり、クレアは身ごもっているが、相手はおまえじゃない。おまえは結婚しているなクレアと」

「おまえがろくでなしだから、クレアは他の男の子を身ごもったってことだな」

確かにおれはろくでなしだが・・・・

「さっさと消えな。クレアが幸せになれない」

「あの・・・わたしはクレアを愛しています」

「愛しているだと!じゃあ、何故クレアは他の男の子を身ごもっているんだ。ろくでなしの分際でクレアの名を呼ぶな」

「は・はい」

「いいか、さっさと出て行って二度とクレアに会うな」

「い・い・いえ」

「さっさと言え」

「クレアを愛しています」必死で俺がそう言うと

「お前ごときが名前を呼ぶな」と言いながら俺の胸ぐらをつかんで思い切り揺すぶった。

「ぐぅ、ぐぇ、ぐぅ」

息が出来ない・・・・

「ジャック、いるんだろ。ジャック」

「エド、エド、生きてる?エド。お父様。お父様」

胸ぐらを掴んでいた手を離すと、戸口に行きドアを開けると

「クレアかい、おいで。待ってよく見せて。クレア。可愛いクレア」とジャックはクレアを抱きしめていた

「リチャード、へんなやつがクレアに付いたじゃないか。ちゃんとしてくれよ。始末してるとこだったけどな」


「お父様、エドは変じゃありません」

「ジャック、ちゃんと話そう」

「そうだな、クレア。ここはよくない。別の所へ」

「いえ、お父様。ここで」

「エド、そんなところに座ってないでここに来て座れ」とリチャード伯父さんが

「エド、大丈夫。お父様は直情的だから」

「クレア、誤解を招く言い方はよくないな」とジャックが涼しい顔で言っている。実に優雅だ・・・・

「わたしがお茶を入れます、クレアも座って」と言うと

「お菓子を包んでもらった」とリチャード伯父さんが包みを出すので皿を渡した。



お茶を配って席に付くとリチャード伯父さんが

「いろいろ誤解があるようだから、わたしが話す。その説明する。順を追って話すから聞いてくれ。ジャックは静かにしろ。二人の問題は解決している」



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