一年で死ぬなら

朝山みどり

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クレアの生活

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クレアとルビーは全寮制の女子学院に通っている。

一族の女は全員がここを卒業、在学、進学予定だ。末端の者も同様だ。

「じゃあ、これをお願いね」ルビーが去っていった。クレアは渡された生徒会の会計報告書をみてため息をついた。

誰も聞いている者がいないので、もう一度ため息をついた。

ある事件以来、クレアはルビーに逆らえない。あの言葉を聞くとダメなのだ。


生徒会の書類、授業のレポート、さぼってばかりのルビーの為に授業内容をわかりやすくまとめたノート、要求されるままに作っている。その上、テストでは間違ってくれたらいいなって明るく言われている。

二人の関係がおかしいと言う者はいる。だが、二人は従姉妹同士。余計な口出しをする者はいない。

そしてある日、クレアは倒れた。教室を移動しようと立ち上がりそのまま倒れた。

保健室に運ばれ診察を受けたが、保険医は首をかしげ病院に運んだ。

クレアはそこで検査を受けた。詳しく調べるために一泊した。一週間後結果を聞きにクレアは一人で病院に行った。



クレア・メイジェニー・ホワイト様と呼ばれ立ち上がった。『メイジェーンよ。名前もちゃんと発音してもらえないのね』と思いながら病室に入り、医師の前に座った時、あわただしく看護師がはいってくると医師に耳打ちした。

医師は叫び声をあげるとそのまま飛び出して行った。

看護師はクレアに謝罪し、そのまま待つように言った。程なく別の医師がはいってくるとカルテを見ながら

「この封筒に結果が入っています。ホワイト様ですね」と言いながら診断書の入った封筒を手渡してきた。

「ありがとうございます」

「お大事に、心穏やかに過ごして下さい」という医師に見送られながら、部屋を出た。



寮に戻り、封筒から診断書を出してさっと読んだ。理解できずにもう一度読んだ。

診断書と封筒が床にパラリと落ちた。


クレア・メイジェニー・ホワイト様

心臓が弱っていて治療は出来ません。余命は一年程ですが、過ごし方で伸ばせます。

好きなことをして過ごして下さい。それが一番の治療です。

苦しい時は休んでください。無理はいけません。

痛みに我慢できないときは来院して下さい。



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