40 / 68
第40話 さっそくの・・・
しおりを挟む
メアリーの部屋に運ばれた夕食は質素ながら、二人分あった。
食事を受け取りながらライラは侍女の部屋はどうなっているか尋ねたが、よく知らないから、明日改めて聞いてくれと言われた。
「殿下、わたくしの部屋の準備が間に合っていないようです」とライラが告げると
「まぁ困ったわね・・・あら、ライラ。船のようにソファに寝れると思ってるんじゃない?冗談じゃないわ。外の廊下で寝てちょうだい。それより荷物はどうなっているの?」
「なにもわかりませんでした」とライラは能面のような顔で答えた。
「そう、仕方ないわね。着替えるわ」とメアリーはライラに背を向けてボタンをまかせた。
着替え終わって食事を始めたが、お盆を見て少し顔をしかめたメアリーは
「お肉が少ないわ。そちらのお皿も寄越しなさい」と言った。
「はい、殿下」と小さな声で答えたライラはお皿をテーブルに置いた。
メアリーが食事をすませた後、ライラは立ったまま食事をするとメアリーの寝支度をした。
「下がっていいわ」と言われて黙って頭を下げると廊下に出た。
膝を抱えて座ると涙が出た。覚悟はしていた・・・ここの状態。メアリーの仕打ち。
だが、覚悟が足りなかった。
「君、こんなところでなにしてるの?」と話しかけられて目が覚めた。
「うん? えっと・・・ニール様」とライラが言うと
「なぜ、廊下に?」と聞きながらニールは自分が間抜けだと思った。わかりきったことだ。あのメアリーって女は根性が悪そうだ。あの主人から追い出されたのだ。
ニールは頭を働かせたが、なにも思いつかなかった。せめて毛布を持ってこよう。
「毛布を持って来るから」と去って行くニールをライラは廊下に座ったまま見送った。
毛布を受け取ったライラは座ったままうつらうつらしていたが、ついに横になってしまった。
離れた所から見守っていたニールは
「はぁ無理もないな」とつぶやいた。
朝になるとライラは目を覚ました。毛布をたたむと、どうしようかな?とあたりを見てニールを見つけると立ち上がるとそばにやって来た。
「ありがとうございます。ニール様、わたしはライラと申します」
「おはよう、ライラだね。これから大変だけど、ここの侍女には侍女のやり方があるからね。教えて貰うといい。船が来るまでの我慢だ」と言うと毛布を受け取って去っていった。
ライラはメアリーの部屋に入ってメアリーを起こした。
ドレスがないことで文句を言いまくるメアリーに謝りながらなんとかメアリーの身支度がすんだ。
「わたくし、朝食を見て参ります」と部屋を出たライラは、人の気配のする方へ歩いた。
案内された食堂に入ると、王子らしき三人とおば様たちとちいおじ様たちと席についていた。
パールと見覚えのある女性が立って控えていた。
「あら、侍女を寄越すなんて」とその女性が言った。
「こちらは第三王子のおそばにいるティナさんです」とパールが教えてくれた。
「はじめましてライラと申します。王女殿下にお仕えしております」
「よろしくはできないけど・・・おはよう」とティナが言うとパールも
「おはよう」と言った。
「おはようございます」とライラは二人に挨拶をして
「あの、こちらの方たちに挨拶してもよろしいのでしょうか?」とパールに聞いた。
「どうぞ、さすがは王家の侍女様ね。お堅いこと」とパールが返事するとティナも馬鹿にしたように笑った。
ライラは王子三人の前に立つと
「メアリー様の侍女でライラと申します」とだけ挨拶をして、下がった。
「メアリー様を呼んで参ります」と部屋を出たライラは、急いでメアリーの部屋へ向かったが、急ぎたいけど到着しなければいいのにと思った。
そしてメアリーを食堂に案内したが、これからのことを考えると回れ右してどこかへ逃げたかった。
食堂に入ると席についている者も壁際に立っているパールとティナも無表情でこちらを見た。
「遅くなりました。夕べ泊まった部屋が整っていませんで、あまり眠れませんでしたので・・・」とメアリーが言うと
「お前の事情はどうでもいい。さぁ食事だ」王子の一人が言った。するとドアが開いて食べ物を乗せたワゴンが運び込まれた。
メアリーは席につこうとしていたが、ライラが介添えしようとしないのを怪訝そうに見て怒鳴ろうとした所で固まった。
ティナとパールが動いてお盆にスープを乗せると目の上に捧げ持ってテーブルに向かったからだ。
ライラはメアリーをすぐにワゴンの所に連れて行き小声で話をした。そして不満そうに口を曲げたメアリーはパンを乗せたお盆をなんとか目の高さで持つとテーブルに向かった。
ライラはメアリーに付き添いお盆からパンを取ってテーブルに置いた。
その間にテーブルが整った。食事はとても美味しそうで量もたっぷりだった。
パールとティナが壁際に下がった。メアリーはライラに引っ張られて壁際に下がった。
「遅くなりましたがいただきましょう」の声で食事が始まった。
「今日から、二人は大変だと思うけどよろしくね」の声にティナとパールは
「「お任せ下さい」」と答えた。
「侍女は侍女の仲間と過ごせばいいわ。あなたはよく躾けられているわね」とおば様がライラを見て言った。
「メアリーのお世話はわたくしたちがやります。心配しないで」とパールがライラに言った。
アッシュは
「メアリーだったね。よく励んで欲しい。パールを頼って」と言うと席を立った。
「わたしたちの食事は?」とメアリーが言うとティナがテーブルを顎で指した。
「なんですって?」とメアリーが言うと
「パンはたくさんあるでしょ?残り物も食べていいのよ」とティナが答えたが
「脅かさないの。半分冗談よ。さすがにね。厨房にあるから行きましょう。ライラさんはパンを持って。こっちよ」とパールが先に立った。
スープとパンを前に
「たくさん食べてね」とティナが含みのある声で言った。
メアリーは立ち上がると
「なんてとこなの。わたしは帰ります。こんなところにいられない」と言った。
「そうでしょうね。これから正式の顔合わせがあるから、そこで話をして」とパールが言った。
「わかったわ。ほんとに馬鹿にして、一国の王女が来てやったと言うを理解らせてやるわ」とメアリーが言うのを聞いて、ティナとパールは目配せした。
食事を受け取りながらライラは侍女の部屋はどうなっているか尋ねたが、よく知らないから、明日改めて聞いてくれと言われた。
「殿下、わたくしの部屋の準備が間に合っていないようです」とライラが告げると
「まぁ困ったわね・・・あら、ライラ。船のようにソファに寝れると思ってるんじゃない?冗談じゃないわ。外の廊下で寝てちょうだい。それより荷物はどうなっているの?」
「なにもわかりませんでした」とライラは能面のような顔で答えた。
「そう、仕方ないわね。着替えるわ」とメアリーはライラに背を向けてボタンをまかせた。
着替え終わって食事を始めたが、お盆を見て少し顔をしかめたメアリーは
「お肉が少ないわ。そちらのお皿も寄越しなさい」と言った。
「はい、殿下」と小さな声で答えたライラはお皿をテーブルに置いた。
メアリーが食事をすませた後、ライラは立ったまま食事をするとメアリーの寝支度をした。
「下がっていいわ」と言われて黙って頭を下げると廊下に出た。
膝を抱えて座ると涙が出た。覚悟はしていた・・・ここの状態。メアリーの仕打ち。
だが、覚悟が足りなかった。
「君、こんなところでなにしてるの?」と話しかけられて目が覚めた。
「うん? えっと・・・ニール様」とライラが言うと
「なぜ、廊下に?」と聞きながらニールは自分が間抜けだと思った。わかりきったことだ。あのメアリーって女は根性が悪そうだ。あの主人から追い出されたのだ。
ニールは頭を働かせたが、なにも思いつかなかった。せめて毛布を持ってこよう。
「毛布を持って来るから」と去って行くニールをライラは廊下に座ったまま見送った。
毛布を受け取ったライラは座ったままうつらうつらしていたが、ついに横になってしまった。
離れた所から見守っていたニールは
「はぁ無理もないな」とつぶやいた。
朝になるとライラは目を覚ました。毛布をたたむと、どうしようかな?とあたりを見てニールを見つけると立ち上がるとそばにやって来た。
「ありがとうございます。ニール様、わたしはライラと申します」
「おはよう、ライラだね。これから大変だけど、ここの侍女には侍女のやり方があるからね。教えて貰うといい。船が来るまでの我慢だ」と言うと毛布を受け取って去っていった。
ライラはメアリーの部屋に入ってメアリーを起こした。
ドレスがないことで文句を言いまくるメアリーに謝りながらなんとかメアリーの身支度がすんだ。
「わたくし、朝食を見て参ります」と部屋を出たライラは、人の気配のする方へ歩いた。
案内された食堂に入ると、王子らしき三人とおば様たちとちいおじ様たちと席についていた。
パールと見覚えのある女性が立って控えていた。
「あら、侍女を寄越すなんて」とその女性が言った。
「こちらは第三王子のおそばにいるティナさんです」とパールが教えてくれた。
「はじめましてライラと申します。王女殿下にお仕えしております」
「よろしくはできないけど・・・おはよう」とティナが言うとパールも
「おはよう」と言った。
「おはようございます」とライラは二人に挨拶をして
「あの、こちらの方たちに挨拶してもよろしいのでしょうか?」とパールに聞いた。
「どうぞ、さすがは王家の侍女様ね。お堅いこと」とパールが返事するとティナも馬鹿にしたように笑った。
ライラは王子三人の前に立つと
「メアリー様の侍女でライラと申します」とだけ挨拶をして、下がった。
「メアリー様を呼んで参ります」と部屋を出たライラは、急いでメアリーの部屋へ向かったが、急ぎたいけど到着しなければいいのにと思った。
そしてメアリーを食堂に案内したが、これからのことを考えると回れ右してどこかへ逃げたかった。
食堂に入ると席についている者も壁際に立っているパールとティナも無表情でこちらを見た。
「遅くなりました。夕べ泊まった部屋が整っていませんで、あまり眠れませんでしたので・・・」とメアリーが言うと
「お前の事情はどうでもいい。さぁ食事だ」王子の一人が言った。するとドアが開いて食べ物を乗せたワゴンが運び込まれた。
メアリーは席につこうとしていたが、ライラが介添えしようとしないのを怪訝そうに見て怒鳴ろうとした所で固まった。
ティナとパールが動いてお盆にスープを乗せると目の上に捧げ持ってテーブルに向かったからだ。
ライラはメアリーをすぐにワゴンの所に連れて行き小声で話をした。そして不満そうに口を曲げたメアリーはパンを乗せたお盆をなんとか目の高さで持つとテーブルに向かった。
ライラはメアリーに付き添いお盆からパンを取ってテーブルに置いた。
その間にテーブルが整った。食事はとても美味しそうで量もたっぷりだった。
パールとティナが壁際に下がった。メアリーはライラに引っ張られて壁際に下がった。
「遅くなりましたがいただきましょう」の声で食事が始まった。
「今日から、二人は大変だと思うけどよろしくね」の声にティナとパールは
「「お任せ下さい」」と答えた。
「侍女は侍女の仲間と過ごせばいいわ。あなたはよく躾けられているわね」とおば様がライラを見て言った。
「メアリーのお世話はわたくしたちがやります。心配しないで」とパールがライラに言った。
アッシュは
「メアリーだったね。よく励んで欲しい。パールを頼って」と言うと席を立った。
「わたしたちの食事は?」とメアリーが言うとティナがテーブルを顎で指した。
「なんですって?」とメアリーが言うと
「パンはたくさんあるでしょ?残り物も食べていいのよ」とティナが答えたが
「脅かさないの。半分冗談よ。さすがにね。厨房にあるから行きましょう。ライラさんはパンを持って。こっちよ」とパールが先に立った。
スープとパンを前に
「たくさん食べてね」とティナが含みのある声で言った。
メアリーは立ち上がると
「なんてとこなの。わたしは帰ります。こんなところにいられない」と言った。
「そうでしょうね。これから正式の顔合わせがあるから、そこで話をして」とパールが言った。
「わかったわ。ほんとに馬鹿にして、一国の王女が来てやったと言うを理解らせてやるわ」とメアリーが言うのを聞いて、ティナとパールは目配せした。
2,856
お気に入りに追加
4,886
あなたにおすすめの小説
言い訳は結構ですよ? 全て見ていましたから。
紗綺
恋愛
私の婚約者は別の女性を好いている。
学園内のこととはいえ、複数の男性を侍らす女性の取り巻きになるなんて名が泣いているわよ?
婚約は破棄します。これは両家でもう決まったことですから。
邪魔な婚約者をサクッと婚約破棄して、かねてから用意していた相手と婚約を結びます。
新しい婚約者は私にとって理想の相手。
私の邪魔をしないという点が素晴らしい。
でもべた惚れしてたとか聞いてないわ。
都合の良い相手でいいなんて……、おかしな人ね。
◆本編 5話
◆番外編 2話
番外編1話はちょっと暗めのお話です。
入学初日の婚約破棄~の原型はこんな感じでした。
もったいないのでこちらも投稿してしまいます。
また少し違う男装(?)令嬢を楽しんでもらえたら嬉しいです。
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!
たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」
「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」
「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」
「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」
なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ?
この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて
「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。
頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。
★軽い感じのお話です
そして、殿下がひたすら残念です
広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います
私を棄てて選んだその妹ですが、継母の私生児なので持参金ないんです。今更ぐだぐだ言われても、私、他人なので。
百谷シカ
恋愛
「やったわ! 私がお姉様に勝てるなんて奇跡よ!!」
妹のパンジーに悪気はない。この子は継母の連れ子。父親が誰かはわからない。
でも、父はそれでいいと思っていた。
母は早くに病死してしまったし、今ここに愛があれば、パンジーの出自は問わないと。
同等の教育、平等の愛。私たちは、血は繋がらずとも、まあ悪くない姉妹だった。
この日までは。
「すまないね、ラモーナ。僕はパンジーを愛してしまったんだ」
婚約者ジェフリーに棄てられた。
父はパンジーの結婚を許した。但し、心を凍らせて。
「どういう事だい!? なぜ持参金が出ないんだよ!!」
「その子はお父様の実子ではないと、あなたも承知の上でしょう?」
「なんて無礼なんだ! 君たち親子は破滅だ!!」
2ヶ月後、私は王立図書館でひとりの男性と出会った。
王様より科学の研究を任された侯爵令息シオドリック・ダッシュウッド博士。
「ラモーナ・スコールズ。私の妻になってほしい」
運命の恋だった。
=================================
(他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
【完結】さよならのかわりに
たろ
恋愛
大好きな婚約者に最後のプレゼントを用意した。それは婚約解消すること。
だからわたしは悪女になります。
彼を自由にさせてあげたかった。
彼には愛する人と幸せになって欲しかった。
わたくしのことなど忘れて欲しかった。
だってわたくしはもうすぐ死ぬのだから。
さよならのかわりに……
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる