45 / 48
40 効率的に
しおりを挟む
「 その・・・わたしは、あの時皆に着いて行っただけで・・・・」と彼は弱々しく呟いた。
彼の呟きは功を成さずに、翌日彼は王宮に送り込まれた。
他に何人か送り込まれた、お仲間と一緒に文官について回って書類をあちらに届け、こちらに取りに行きと忙しく歩き回った。
「次からは一人でお願い出来ますね。なんでも余計な口出しをした連中がいて、ギルバード様がお仕事を控えられたので、すごく忙しくなってるんですよ。ほんと迷惑ですよね」とさりげなく文官から伝えられた事は、彼の胸を抉った。
彼は、それを聞いてより一層重くなった足を懸命に動かし続けた。
一方、カザリンのお茶会は、国の為に尽くしているエリザベート様の幸せが、大きな話題だった。
姉妹を妻としたのは、あくまでのその能力の為だと言うのは明白で、なぜ宰相としてエリザベートを迎えなかったのか、疑問を持たれたのだが、カザリンが声を潜めて、
「わたくしも実は、そこが疑問だったのです。だってエリザベート様が婿をとって継ぐのが普通ですよね」
カザリン本人から言われて安心した、面々はうなづいた。
「本当なら、わたくし共がここを継ぐことなどなかったのですよ」とカザリンは言葉と切って、反応をうかがった。
「でもわたくしはここに、こうしております。それは、ロザモンド様がほんとうにおっとりしすぎているのです」
『おっとりとはいい表現ね』と一同は思ったが、うなづかずに頑張った。
「それで、ロザモンド様の代理がすぐに出来るようにそばに置きたかったのだと思います」とカザリンが言うと、
「それだと、まるっきり道具ではないですか」と一人が憤慨して言うと、あっと口を押さえた。
「いえ、わたくしは、その・・・」と小声で言うのに合わせて、優しい声でカザリンが、
「恐れ多くも義妹であるエリザベート様によりそって頂いてありがとうございます」と言った。
一同は、なんとなくしんみりして、黙ってお茶を飲んだ。すると一人の若い令嬢が意を決したように、こう言った。
「なにか街中では、人々がギルバード様とエリザベート様が結婚なされば良いと、言い合っていると聞いております。彼らは王位がどうのこうのではなく、お二人がお似合いだとか、幸せな人を見たいとかそんな気持ちのようですが・・・」
「わたくしも聞きました。単純に幸せになって欲しいと思っているようですね」
「エリザベート様には、感謝しております。義母の面倒はわたくしが看るのがほんとうですのに、引き取って下さいました・・・・いたらないわたくしを義姉として扱って下さってます・・・・その・・・」と言った先を泣いてしまったカザリンは続ける事ができなかった。
しばらくして一人の令嬢が、
「わたくしたち、応援してもいいのでは、ないでしょうか?」と小さな声で言った。声は小さかったが、皆それを聞いた。
「そうですわね」と呟いた声は一つではなかった。
少しずつ、ギルバードとエリザベートに国の舵取りをして貰いたいと言う声が大きくなって来た。
最初、反対していた貴族は多かったが、いつのまにか賛成に回っていた。
「だって、妻にも娘にも無視されるのは・・・・応えるんだよ」そう呟いたのは、どこの誰だったのか?
彼の呟きは功を成さずに、翌日彼は王宮に送り込まれた。
他に何人か送り込まれた、お仲間と一緒に文官について回って書類をあちらに届け、こちらに取りに行きと忙しく歩き回った。
「次からは一人でお願い出来ますね。なんでも余計な口出しをした連中がいて、ギルバード様がお仕事を控えられたので、すごく忙しくなってるんですよ。ほんと迷惑ですよね」とさりげなく文官から伝えられた事は、彼の胸を抉った。
彼は、それを聞いてより一層重くなった足を懸命に動かし続けた。
一方、カザリンのお茶会は、国の為に尽くしているエリザベート様の幸せが、大きな話題だった。
姉妹を妻としたのは、あくまでのその能力の為だと言うのは明白で、なぜ宰相としてエリザベートを迎えなかったのか、疑問を持たれたのだが、カザリンが声を潜めて、
「わたくしも実は、そこが疑問だったのです。だってエリザベート様が婿をとって継ぐのが普通ですよね」
カザリン本人から言われて安心した、面々はうなづいた。
「本当なら、わたくし共がここを継ぐことなどなかったのですよ」とカザリンは言葉と切って、反応をうかがった。
「でもわたくしはここに、こうしております。それは、ロザモンド様がほんとうにおっとりしすぎているのです」
『おっとりとはいい表現ね』と一同は思ったが、うなづかずに頑張った。
「それで、ロザモンド様の代理がすぐに出来るようにそばに置きたかったのだと思います」とカザリンが言うと、
「それだと、まるっきり道具ではないですか」と一人が憤慨して言うと、あっと口を押さえた。
「いえ、わたくしは、その・・・」と小声で言うのに合わせて、優しい声でカザリンが、
「恐れ多くも義妹であるエリザベート様によりそって頂いてありがとうございます」と言った。
一同は、なんとなくしんみりして、黙ってお茶を飲んだ。すると一人の若い令嬢が意を決したように、こう言った。
「なにか街中では、人々がギルバード様とエリザベート様が結婚なされば良いと、言い合っていると聞いております。彼らは王位がどうのこうのではなく、お二人がお似合いだとか、幸せな人を見たいとかそんな気持ちのようですが・・・」
「わたくしも聞きました。単純に幸せになって欲しいと思っているようですね」
「エリザベート様には、感謝しております。義母の面倒はわたくしが看るのがほんとうですのに、引き取って下さいました・・・・いたらないわたくしを義姉として扱って下さってます・・・・その・・・」と言った先を泣いてしまったカザリンは続ける事ができなかった。
しばらくして一人の令嬢が、
「わたくしたち、応援してもいいのでは、ないでしょうか?」と小さな声で言った。声は小さかったが、皆それを聞いた。
「そうですわね」と呟いた声は一つではなかった。
少しずつ、ギルバードとエリザベートに国の舵取りをして貰いたいと言う声が大きくなって来た。
最初、反対していた貴族は多かったが、いつのまにか賛成に回っていた。
「だって、妻にも娘にも無視されるのは・・・・応えるんだよ」そう呟いたのは、どこの誰だったのか?
174
お気に入りに追加
4,654
あなたにおすすめの小説
王女殿下を優先する婚約者に愛想が尽きました もう貴方に未練はありません!
灰銀猫
恋愛
6歳で幼馴染の侯爵家の次男と婚約したヴィオラ。
互いにいい関係を築いていると思っていたが、1年前に婚約者が王女の護衛に抜擢されてから雲行きが怪しくなった。儚げで可憐な王女殿下と、穏やかで見目麗しい近衛騎士が恋仲で、婚約者のヴィオラは二人の仲を邪魔するとの噂が流れていたのだ。
その噂を肯定するように、この一年、婚約者からの手紙は途絶え、この半年ほどは完全に絶縁状態だった。
それでも婚約者の両親とその兄はヴィオラの味方をしてくれ、いい関係を続けていた。
しかし17歳の誕生パーティーの日、婚約者は必ず出席するようにと言われていたパーティーを欠席し、王女の隣国訪問に護衛としてついて行ってしまった。
さすがに両親も婚約者の両親も激怒し、ヴィオラももう無理だと婚約解消を望み、程なくして婚約者有責での破棄となった。
そんな彼女に親友が、紹介したい男性がいると持ち掛けてきて…
3/23 HOTランキング女性向けで1位になれました。皆様のお陰です。ありがとうございます。
24.3.28 書籍化に伴い番外編をアップしました。
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
元王妃は時間をさかのぼったため、今度は愛してもらえる様に、(殿下は論外)頑張るらしい。
あはははは
恋愛
本日わたくし、ユリア アーベントロートは、処刑されるそうです。
願わくは、来世は愛されて生きてみたいですね。
王妃になるために生まれ、王妃になるための血を吐くような教育にも耐えた、ユリアの真意はなんであっただろう。
わあああぁ 人々の歓声が上がる。そして王は言った。
「皆の者、悪女 ユリア アーベントロートは、処刑された!」
誰も知らない。知っていても誰も理解しない。しようとしない。彼女、ユリアの最後の言葉を。
「わたくしはただ、愛されたかっただけなのです。愛されたいと、思うことは、罪なのですか?愛されているのを見て、うらやましいと思うことは、いけないのですか?」
彼女が求めていたのは、権力でも地位でもなかった。彼女が本当に欲しかったのは、愛だった。
【本編完結】婚約を解消したいんじゃないの?!
as
恋愛
伯爵令嬢アーシアは公爵子息カルゼの婚約者。
しかし学園の食堂でカルゼが「アーシアのような性格悪い女とは結婚したくない。」と言っているのを聞き、その場に乗り込んで婚約を解消したつもりだったけどーーー
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
私を「ウザイ」と言った婚約者。ならば、婚約破棄しましょう。
夢草 蝶
恋愛
子爵令嬢のエレインにはライという婚約者がいる。
しかし、ライからは疎んじられ、その取り巻きの少女たちからは嫌がらせを受ける日々。
心がすり減っていくエレインは、ある日思った。
──もう、いいのではないでしょうか。
とうとう限界を迎えたエレインは、とある決心をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる