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29 顔合わせのお茶会
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フレデリックは帰国前に慌ただしくギルバードと会って、話をした。道造りの研修は、流れた。その原因となったお茶会の事件は詳しくは誰も言わないが、かなりの傷をイライザに残した事がわかった。ただし、公に出来ない事件に謝罪は出来ない。
ギルバードの橋渡しでクリントに頭を下げるのが精一杯だった。
帰りの馬車でロザモンドは機嫌がよかった。生意気な女を凹ませたと言うのだ。
フレデリックは、怒鳴りつけたいのを我慢した。
その上
「ねぇ、実家の侯爵家が養子をとったのよ。帰ったら呼びつけていろいろ教えてあげないとね。わたしの実家として恥ずかしい事をされると困るもの」
「そういうものかい?」
「そうよ・・・・わたしはわかるのよ」
城に戻った日、フレデリックはロザモンドに話をした。
それは、ロザモンドが泣きながら、エリザベートのもとに急ぎ、ガーベラとジャスミンがそれを追いかけるという終りを迎えた。
「お姉様、お姉様が余計な事を教えるから、道を造って貰えなくなりました。どうしてくれるんですか!もう古代ギリー語なんて使いません。全部お姉様が悪いんです。お姉様がお母様に注意してくれてたらわたしはもっと賢かったのです」
そういいながら、エリザベートの部屋の花瓶を投げたりペンやインクを投げたが、ガーベラとジャスミン。ちょうど
部屋にいた文官が取り押さえ、落ち着いた所で、ガーベラとジャスミンが連れて帰って行った。
その夜、ガーベラが訪ねて来て、お茶会の次第と今回、道造りが出来なくなった事を話した。
エリザベートはロザモンドと会わない事にして、連絡係としてメアリーの部下のローラをロザモンドの部屋つきにすることにした。
ガーベラが帰った後、エミリーがお茶とお菓子を持って来てくれた。
それを飲みながら、ここまで来たなとエリザベートは息をついた。
その後、エリザベートと、ロザモンドが仲違いした事が広まった。大抵の者は、今まで妹を見捨てなかったエリザベートに好意的だった。
王妃は執務で会った時に、
「まぁエリザベートもたいへんね、あの妹なら」と労った。
セントクレア侯爵から、養子を紹介したいと連絡が来た。エリザベートはメアリーをロザモンドの所へ使わして日程を調整した。
エリザベートの所を会場として、家族の顔合わせの形を取ることになった。
当日、時間になってもロザモンドがやって来ない為、エリザベートは会場で待ち、侯爵一家は控え室で待った。
さんざん遅れたロザモンドがやって来て、お茶を持って来るように言い、一口飲んだ所でエリザベートの合図でタバサが動き、侯爵一家を案内して来た。
侯爵と養子とその妻が正式の礼を取るなか、侯爵夫人は
「ロザモンド、会いたかったわ。忙しくて来れなかったの」とロザモンドの隣に座り、話しだした。
ロザモンドは冷たい目で母親を見たが、
「そのようですね」と返した。そして
「楽になさい」と一家に声をかけた。
「お父様、お久しぶりです」とロザモンドが、声をかけるとタバサが彼らを、奥に案内した。
「わたしのお義兄様になるのですね」と声をかけられた青年は
「はい、わたしは、ライリー・セントクレアとなりました」と言った。
「ライリー義兄様、奥様を紹介して下さいな」
「はい、妻の、カザリン・セントクレアと申します」と言うライリーの声に合わせてカザリンが礼を取った。
エリザベートの目からみてもきれいな礼だった。
すぐロザモンドが楽にと言うとタバサが二人に椅子をすすめた。
お茶が各自に行き渡るまで、しばし無言だったが、エリザベートが
「お父様、素晴らしい方を見つけられましたね。ただライリー義兄様はお母様のほうの親戚だとうかがっておりますが、他の方たちのご意見はどうでしたの?」
「あぁ、そのことも含めて話をして置きたいと思いまして・・・わたしは貴族に向いてないのです。わたしの両親と兄のことはご存知ですね。わたしは、いきなり跡取りとなりました。それなりにやって来ましたが、たよりになる跡取りに妻のキルメニィを頼んで、田舎に引っ込もうと思っておりまして・・・・キルメニィもこの事は承知しております。そうしたら、自分の身内が養子の方がこころ強いかと思いまして」
「お父様、それはお母様もこころ強いですね」とエリザベートがにっこり笑うとキルメニィは
「ねぇロザモンドもそう思うでしょ」と微笑みかけた。
「そうですわね」とロザモンドは答えると
「侯爵家の社交はお義姉様がなさるのですね」とカザリンに声をかけた。
カザリンは一瞬、目を泳がせたが
「お義母様に教えて頂きながら」と答えた。
「カザリンは、ほんとよくやってくれるのよ。娘二人を手放して寂しいけど、カザリンが優しいから・・・・カザリンがいれば大丈夫」とキルメニィは答えた。
「二人は実の母娘のように仲良しです。妃殿下がた、安心なさって下さい」とライリーが軽く頭を下げた。
その後もなごやかに会話がはずんだ。最後にエリザベートが父親に
「お父様、こちらへは、いつまでいらっしゃるの?」と訪ねた。
「はい、来週には引っ越します。当主交代の挨拶は、ライリーとカザリンに任せます。わたしは挨拶なしで消えようと思います」と返事をした。
「そうですか?落ち着いたら連絡を・・・・」とエリザベートが言うのに黙って頭を下げた。
その夜、ロザモンドは、ガーベラとジャスミン相手に
「ほんとに気楽よね。面倒なことは全部他人にやらせて、こんどはあの二人にやらせて自分は気楽なお茶会開いて遊んで暮らすのよ」と愚痴った。
エリザベートは
「メアリー、お父様の落ち着き先を調べて報告して・・・・・」
父親のこれからの人生が平穏なものであるようにと祈った。
ギルバードの橋渡しでクリントに頭を下げるのが精一杯だった。
帰りの馬車でロザモンドは機嫌がよかった。生意気な女を凹ませたと言うのだ。
フレデリックは、怒鳴りつけたいのを我慢した。
その上
「ねぇ、実家の侯爵家が養子をとったのよ。帰ったら呼びつけていろいろ教えてあげないとね。わたしの実家として恥ずかしい事をされると困るもの」
「そういうものかい?」
「そうよ・・・・わたしはわかるのよ」
城に戻った日、フレデリックはロザモンドに話をした。
それは、ロザモンドが泣きながら、エリザベートのもとに急ぎ、ガーベラとジャスミンがそれを追いかけるという終りを迎えた。
「お姉様、お姉様が余計な事を教えるから、道を造って貰えなくなりました。どうしてくれるんですか!もう古代ギリー語なんて使いません。全部お姉様が悪いんです。お姉様がお母様に注意してくれてたらわたしはもっと賢かったのです」
そういいながら、エリザベートの部屋の花瓶を投げたりペンやインクを投げたが、ガーベラとジャスミン。ちょうど
部屋にいた文官が取り押さえ、落ち着いた所で、ガーベラとジャスミンが連れて帰って行った。
その夜、ガーベラが訪ねて来て、お茶会の次第と今回、道造りが出来なくなった事を話した。
エリザベートはロザモンドと会わない事にして、連絡係としてメアリーの部下のローラをロザモンドの部屋つきにすることにした。
ガーベラが帰った後、エミリーがお茶とお菓子を持って来てくれた。
それを飲みながら、ここまで来たなとエリザベートは息をついた。
その後、エリザベートと、ロザモンドが仲違いした事が広まった。大抵の者は、今まで妹を見捨てなかったエリザベートに好意的だった。
王妃は執務で会った時に、
「まぁエリザベートもたいへんね、あの妹なら」と労った。
セントクレア侯爵から、養子を紹介したいと連絡が来た。エリザベートはメアリーをロザモンドの所へ使わして日程を調整した。
エリザベートの所を会場として、家族の顔合わせの形を取ることになった。
当日、時間になってもロザモンドがやって来ない為、エリザベートは会場で待ち、侯爵一家は控え室で待った。
さんざん遅れたロザモンドがやって来て、お茶を持って来るように言い、一口飲んだ所でエリザベートの合図でタバサが動き、侯爵一家を案内して来た。
侯爵と養子とその妻が正式の礼を取るなか、侯爵夫人は
「ロザモンド、会いたかったわ。忙しくて来れなかったの」とロザモンドの隣に座り、話しだした。
ロザモンドは冷たい目で母親を見たが、
「そのようですね」と返した。そして
「楽になさい」と一家に声をかけた。
「お父様、お久しぶりです」とロザモンドが、声をかけるとタバサが彼らを、奥に案内した。
「わたしのお義兄様になるのですね」と声をかけられた青年は
「はい、わたしは、ライリー・セントクレアとなりました」と言った。
「ライリー義兄様、奥様を紹介して下さいな」
「はい、妻の、カザリン・セントクレアと申します」と言うライリーの声に合わせてカザリンが礼を取った。
エリザベートの目からみてもきれいな礼だった。
すぐロザモンドが楽にと言うとタバサが二人に椅子をすすめた。
お茶が各自に行き渡るまで、しばし無言だったが、エリザベートが
「お父様、素晴らしい方を見つけられましたね。ただライリー義兄様はお母様のほうの親戚だとうかがっておりますが、他の方たちのご意見はどうでしたの?」
「あぁ、そのことも含めて話をして置きたいと思いまして・・・わたしは貴族に向いてないのです。わたしの両親と兄のことはご存知ですね。わたしは、いきなり跡取りとなりました。それなりにやって来ましたが、たよりになる跡取りに妻のキルメニィを頼んで、田舎に引っ込もうと思っておりまして・・・・キルメニィもこの事は承知しております。そうしたら、自分の身内が養子の方がこころ強いかと思いまして」
「お父様、それはお母様もこころ強いですね」とエリザベートがにっこり笑うとキルメニィは
「ねぇロザモンドもそう思うでしょ」と微笑みかけた。
「そうですわね」とロザモンドは答えると
「侯爵家の社交はお義姉様がなさるのですね」とカザリンに声をかけた。
カザリンは一瞬、目を泳がせたが
「お義母様に教えて頂きながら」と答えた。
「カザリンは、ほんとよくやってくれるのよ。娘二人を手放して寂しいけど、カザリンが優しいから・・・・カザリンがいれば大丈夫」とキルメニィは答えた。
「二人は実の母娘のように仲良しです。妃殿下がた、安心なさって下さい」とライリーが軽く頭を下げた。
その後もなごやかに会話がはずんだ。最後にエリザベートが父親に
「お父様、こちらへは、いつまでいらっしゃるの?」と訪ねた。
「はい、来週には引っ越します。当主交代の挨拶は、ライリーとカザリンに任せます。わたしは挨拶なしで消えようと思います」と返事をした。
「そうですか?落ち着いたら連絡を・・・・」とエリザベートが言うのに黙って頭を下げた。
その夜、ロザモンドは、ガーベラとジャスミン相手に
「ほんとに気楽よね。面倒なことは全部他人にやらせて、こんどはあの二人にやらせて自分は気楽なお茶会開いて遊んで暮らすのよ」と愚痴った。
エリザベートは
「メアリー、お父様の落ち着き先を調べて報告して・・・・・」
父親のこれからの人生が平穏なものであるようにと祈った。
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