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02 婚約解消
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一回目です
エリザベートは王太子妃教育が終わると実践教育として王太子の執務の手伝いを始めた。いまでは、ほとんどの仕事をこなしている。
それどころか、王妃殿下の仕事が混ぜられるようになった。
そして、結婚式の準備を始めたある日、王宮に家族が呼ばれた。父親の侯爵も領地から戻ってきた。
ロザモンドが自分を意味ありげに見てくるし、届けられたドレスを着ているのを見ると呼ばれた理由もおのずと察せられる。
絶対に動揺をみせてはならないと、覚悟を決めて馬車に乗った。
ロザモンドのドレスは丈が少し長く、胸が窮屈そうだが、王太子殿下の色が鮮やかだ。
奥の家族の居住エリアに案内された。やがて国王夫妻と王太子が入って来た。
王太子はエリザベートを見ると一瞬、顔を歪めた。
侯爵一家は侍従に先導されて、中庭に用意された席についた。案内されるままに席につくと国王夫妻が並んで座り、向かいの席にエリザベートが一人、王太子殿下とロザモンドが並んで座り、両親が座った。
当然、ここは婚約破棄。いや、婚約解消ってとこね。
婚約は解消されたが、エリザベートは第二妃として嫁ぐと決められた。王太子妃と王太子を支えるための妃。
王太子はこう言った。
「第二妃はお飾りでいい。だから今まで候補者で行くところもないお前を拾ってやる」
利用されるとわかっても、エリザベートは嬉しかった。
放り出されると思っていたのに、投げ与えられた施しに胸がときめいたのだ。
愛されていないのはよくわかっている。でもそばにいられるなら・・・少しでも視界にはいるなら・・・
「かしこまりました」彼女は答えた。
「それではお姉さま、わたしたちこれから家族として式の計画を立てるの」
エリザベートは、その言葉を機に立ち上がった。
カッテシーをして部屋をでようとする彼女に王太子殿下が
「最後の贈り物も気に食わなかったのか」と呟くように言った。
「贈り物ですか?」
「そのドレスだ」
「ロザモンド様によくお似合いですね」
久しぶりに殿下と言葉をかわしたエリザベートは、涙がこぼれる前に部屋を出た。
新顔の侍従が侮蔑の表情で見送っていた。
エリザベートは王太子妃教育が終わると実践教育として王太子の執務の手伝いを始めた。いまでは、ほとんどの仕事をこなしている。
それどころか、王妃殿下の仕事が混ぜられるようになった。
そして、結婚式の準備を始めたある日、王宮に家族が呼ばれた。父親の侯爵も領地から戻ってきた。
ロザモンドが自分を意味ありげに見てくるし、届けられたドレスを着ているのを見ると呼ばれた理由もおのずと察せられる。
絶対に動揺をみせてはならないと、覚悟を決めて馬車に乗った。
ロザモンドのドレスは丈が少し長く、胸が窮屈そうだが、王太子殿下の色が鮮やかだ。
奥の家族の居住エリアに案内された。やがて国王夫妻と王太子が入って来た。
王太子はエリザベートを見ると一瞬、顔を歪めた。
侯爵一家は侍従に先導されて、中庭に用意された席についた。案内されるままに席につくと国王夫妻が並んで座り、向かいの席にエリザベートが一人、王太子殿下とロザモンドが並んで座り、両親が座った。
当然、ここは婚約破棄。いや、婚約解消ってとこね。
婚約は解消されたが、エリザベートは第二妃として嫁ぐと決められた。王太子妃と王太子を支えるための妃。
王太子はこう言った。
「第二妃はお飾りでいい。だから今まで候補者で行くところもないお前を拾ってやる」
利用されるとわかっても、エリザベートは嬉しかった。
放り出されると思っていたのに、投げ与えられた施しに胸がときめいたのだ。
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「最後の贈り物も気に食わなかったのか」と呟くように言った。
「贈り物ですか?」
「そのドレスだ」
「ロザモンド様によくお似合いですね」
久しぶりに殿下と言葉をかわしたエリザベートは、涙がこぼれる前に部屋を出た。
新顔の侍従が侮蔑の表情で見送っていた。
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