29 / 38
30 いけないことをやりましょう
しおりを挟む
「やめますわ。やはりわたくしの才能を活かす場所じゃ、なかった」こうバーバラ・ジェーンが言った時
「そう来ましたか?ですが、もう少し官僚の身分を維持したほうが、それも王妃殿下の情けにすがった方が」とバージルが言った。
「馬鹿にしないで下さい。能力の評価も出来ない所で働きたくありません。わたくしにあんな雑用ばかりさせて・・・でもやめると困るでしょうね。困ればいいのです。王妃殿下の所もあんなお茶会。子供の遊びですか?相手は大司教だそうですが、貧しい生まれの貧乏臭い老人が繰り言を言うのをありがたく聞いて・・・」
「困りましたね。自信がない人間も困るが、勘違いを正すのは・・・難しいな。理解させるのではなく、力で抑えることしか出来ないな」とバージルはバーバラ・ジェーンを無視して話しだした。
「その娘は所詮届かない。理解できる所まで来れない。今後の楽しみに」と王妃は言ったが、最後の呟きはバージルにしか聞こえなかった。
「バーバラ・ジェーン。やめるということですね」とバージルが言うと
「そうよ」
「荷物はこちらで人を使ってすぐに届けます。侍女さんがまとめるでしょうから、あなたはすぐに退城して下さい。馬車乗り場まで送ります」とバージルはエスコートの手をバーバラ・ジェーンに差し出した。
二人の後ろ姿を見ながら、王妃はこらえきれずに笑った。
「さて、バーバラ・ジェーンの横領をどう処理するか?」とバージルが言った。
バーバラ・ジェーンの持ち込んだ机がなくなって広く感じる執務室だった。
「王妃殿下の予算というより、教会へ寄付するものを横取りしたって大きいですよ」とミックが言うと
「モルフィ侯爵家も追い落としたい所でしたし、侯爵家の意向ってことで押しましょう。残念ながらモルフィ家のほうは、証拠が抑えられなくて、あの娘がやっていた馬車同士の言いがかりくらいですね」とライリーが書類を見ながら言った。
「なんていうか喧嘩売って、言い負かして、勝ったぞ。すごいぞってやってるんだろ。なんか凄い背景があると思ったら子供じみたアホだよな。今回、王妃とぶつけてみて王妃がねじ伏せたが・・・なんか物足りないなぁ」
「考えてみたが、バージル。この娘がやっていたのと同じことをしてやればいいんだ。だがどうやればいいのか、考えつかない」
「寄付するのを横取りしたって言うのを大げさに言い立てれるってことだよな」
そこにジュディがやって来た。
「もう、殿下が怒って首切るって言ってるんですよ。本当に切る方です。合法的に、いちゃもんつけろって。いちゃもんって・・・要は冤罪ってことですよね。もう、なにやらせたいのでしょう。せいぜい出来ることって、王妃と教会の間に不信の種を蒔こうとした。とかそんな罪ですね」
「なるほど、その線で行くなら人のいい王妃が寄付しようとしたお金でドレスを作ったって言い立てる?」とミックが言うとジュディが言い出した。
「皆さん、わたくしが勘違いしているかも知れないので、確認します。モルフィ侯爵家を潰そうと思ってますか?
冤罪でもかまわない。潰すって思ってますか?バーバラ・ジェーンも一緒に」
「その通り。だが、冤罪じゃないんだ。ただ、証拠が揃わない。揃わないが犯罪者たちだ。ちっぽけな虚栄心を満たすために・・・誰かを踏みにじった。善意につけこんだ。心情的に許せない」とライリーが答えると
「わかりました。わたくしもやります」
「おぉやってくれるか」
「はい」
「衣装については、衣装を公開すればいいと思います。庶民の入れる場所で昼間でも照明がいる所に展示しましょう。装身具も靴も。高価なものだから護衛をつけて」
「なるほど、王妃の予算に手をつけて、教会との関係を悪化させようとしたバーバラ・ジェーンだったが」とライリーが芝居がかって言うと
「賢明な王妃が誠意を見せた。また機知に富んだ会話で堅物の大司教の心を開かせたってことで行くか」とバージルが言った。
ジュディが拍手して
「それで行きましょう」と言った。
「そう来ましたか?ですが、もう少し官僚の身分を維持したほうが、それも王妃殿下の情けにすがった方が」とバージルが言った。
「馬鹿にしないで下さい。能力の評価も出来ない所で働きたくありません。わたくしにあんな雑用ばかりさせて・・・でもやめると困るでしょうね。困ればいいのです。王妃殿下の所もあんなお茶会。子供の遊びですか?相手は大司教だそうですが、貧しい生まれの貧乏臭い老人が繰り言を言うのをありがたく聞いて・・・」
「困りましたね。自信がない人間も困るが、勘違いを正すのは・・・難しいな。理解させるのではなく、力で抑えることしか出来ないな」とバージルはバーバラ・ジェーンを無視して話しだした。
「その娘は所詮届かない。理解できる所まで来れない。今後の楽しみに」と王妃は言ったが、最後の呟きはバージルにしか聞こえなかった。
「バーバラ・ジェーン。やめるということですね」とバージルが言うと
「そうよ」
「荷物はこちらで人を使ってすぐに届けます。侍女さんがまとめるでしょうから、あなたはすぐに退城して下さい。馬車乗り場まで送ります」とバージルはエスコートの手をバーバラ・ジェーンに差し出した。
二人の後ろ姿を見ながら、王妃はこらえきれずに笑った。
「さて、バーバラ・ジェーンの横領をどう処理するか?」とバージルが言った。
バーバラ・ジェーンの持ち込んだ机がなくなって広く感じる執務室だった。
「王妃殿下の予算というより、教会へ寄付するものを横取りしたって大きいですよ」とミックが言うと
「モルフィ侯爵家も追い落としたい所でしたし、侯爵家の意向ってことで押しましょう。残念ながらモルフィ家のほうは、証拠が抑えられなくて、あの娘がやっていた馬車同士の言いがかりくらいですね」とライリーが書類を見ながら言った。
「なんていうか喧嘩売って、言い負かして、勝ったぞ。すごいぞってやってるんだろ。なんか凄い背景があると思ったら子供じみたアホだよな。今回、王妃とぶつけてみて王妃がねじ伏せたが・・・なんか物足りないなぁ」
「考えてみたが、バージル。この娘がやっていたのと同じことをしてやればいいんだ。だがどうやればいいのか、考えつかない」
「寄付するのを横取りしたって言うのを大げさに言い立てれるってことだよな」
そこにジュディがやって来た。
「もう、殿下が怒って首切るって言ってるんですよ。本当に切る方です。合法的に、いちゃもんつけろって。いちゃもんって・・・要は冤罪ってことですよね。もう、なにやらせたいのでしょう。せいぜい出来ることって、王妃と教会の間に不信の種を蒔こうとした。とかそんな罪ですね」
「なるほど、その線で行くなら人のいい王妃が寄付しようとしたお金でドレスを作ったって言い立てる?」とミックが言うとジュディが言い出した。
「皆さん、わたくしが勘違いしているかも知れないので、確認します。モルフィ侯爵家を潰そうと思ってますか?
冤罪でもかまわない。潰すって思ってますか?バーバラ・ジェーンも一緒に」
「その通り。だが、冤罪じゃないんだ。ただ、証拠が揃わない。揃わないが犯罪者たちだ。ちっぽけな虚栄心を満たすために・・・誰かを踏みにじった。善意につけこんだ。心情的に許せない」とライリーが答えると
「わかりました。わたくしもやります」
「おぉやってくれるか」
「はい」
「衣装については、衣装を公開すればいいと思います。庶民の入れる場所で昼間でも照明がいる所に展示しましょう。装身具も靴も。高価なものだから護衛をつけて」
「なるほど、王妃の予算に手をつけて、教会との関係を悪化させようとしたバーバラ・ジェーンだったが」とライリーが芝居がかって言うと
「賢明な王妃が誠意を見せた。また機知に富んだ会話で堅物の大司教の心を開かせたってことで行くか」とバージルが言った。
ジュディが拍手して
「それで行きましょう」と言った。
283
お気に入りに追加
1,146
あなたにおすすめの小説
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
もう彼女でいいじゃないですか
キムラましゅろう
恋愛
ある日わたしは婚約者に婚約解消を申し出た。
常にわたし以外の女を腕に絡ませている事に耐えられなくなったからだ。
幼い頃からわたしを溺愛する婚約者は婚約解消を絶対に認めないが、わたしの心は限界だった。
だからわたしは行動する。
わたしから婚約者を自由にするために。
わたしが自由を手にするために。
残酷な表現はありませんが、
性的なワードが幾つが出てきます。
苦手な方は回れ右をお願いします。
小説家になろうさんの方では
ifストーリーを投稿しております。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
幼馴染みとの間に子どもをつくった夫に、離縁を言い渡されました。
ふまさ
恋愛
「シンディーのことは、恋愛対象としては見てないよ。それだけは信じてくれ」
夫のランドルは、そう言って笑った。けれどある日、ランドルの幼馴染みであるシンディーが、ランドルの子を妊娠したと知ってしまうセシリア。それを問うと、ランドルは急に激怒した。そして、離縁を言い渡されると同時に、屋敷を追い出されてしまう。
──数年後。
ランドルの一言にぷつんとキレてしまったセシリアは、殺意を宿した双眸で、ランドルにこう言いはなった。
「あなたの息の根は、わたしが止めます」
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる