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37 考えなしめ!
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「お姉さま!」我が妹の声だ。
なぜ、ここにいるのだ?確か、卒業生と両親。婚約者・・・ロバート様ってこと?ロバート様は逃げられなかった?
鈍くない?
ロバート様の婚約者として来てるのか。わたしは急いで立ち上がったると、二人に
「失礼します」と言って、アナベルのそばに行き
「あら、アナベル。綺麗ね」と取り敢えず言った。
ちょっと、卒業おめでとうくらい言ってよ。
アナベルの後ろに両親が並んでいるが、ロバート様はいない。誰かと話をしに行っているのかな?
「お姉さまの気が利かなくて紹介がありませんので、わたしが名乗りますね。わたしはアナベ」と言い出した所でわたしは慌ててアナベルを遮った。
「やめなさい。アナベル。ここは学院ではありません。お黙りなさい」
するとアナベルが
「もう、だから、お姉さまは考えなしなんですって。わたしが話しかけるてるのよ。それで充分です」と言いだした。
わたしは早口で
「やめなさい。アナベル。お父様もお母様もアナベルを止めて」と二人に言った。
そこに、ハリソン様が来て、楽しそうに
「先輩! 間違えた。リリーなんだい?この騒ぎは」と言った。
事情がわかってて、わざと来たわね。
「ハリソン様、探してましたのよ。それをお姉さまが邪魔して」とアナベルは得意げに行った。
テーブルの二人が吹き出した。同級生ってもっとこう・・・助け合うのでは!!
ハリソン様は
「アナベル嬢、学院じゃないから言葉使いに気をつけて。今日はどうやって入ったの?」
アナベルは怒ってるぞポーズで
「それが受付がひどいんですよ。ねぇお父様」と父に振った。
父は、何様かって口調で
「えぇ終いには怒鳴りつけてやりました」と言った。
ハリソン様が真面目くさった顔で
「それはそれは。でどうやって入ったの?」と言うと
父が
「魔法士の家族として入りました。リリーが受付になにも連絡して置かないから、遅くなった」
「そうよ。ほんとにお姉さまは」
ハリソン様は
「それは受付が気の毒だね。入れるのは両親と婚約者だけだよ。卒業生の両親と婚約者。例外はない」と言った。
そして、父に向き直ると
「アナベルを連れてお帰り下さい」と言った。
父は
「なんですって。ほんとにリリーは」と言い
それを聞いた母がわたしに向かって
「いつも言ってるでしょ。ほんとに」と言った。教わったことはあまりないけど・・・
するとハリソン様が、顎をひょいとしゃくった。
すると客に紛れていた騎士団らしき男たちがさっと近寄って来て三人を取り囲むと連れて行った。
「わたしも働こう。リリーの前で初仕事だ」と言うとフェルナンド様様様も、一団に混じって両親を連れて行った。
主席さんは
「なんとも・・・」と言うと肩をすくめた。それから
「ちょっと席を変わろう」と言ってわたしに手を差し出した。
主席さんと一緒に行ったのはまぁ予想通り、宰相の所だった。
紹介されて、渾身のカーテシーをやった。
「リリー嬢。会いたいと思っていた。息子と仲良くしてやってくれ」
「はい」とだけ答えた。
主席さんが
「リリー疲れたんじゃない?」と聞いてくれた。はーーー疲れてます。
「えぇ、疲れました」と答えると
主席さんは
「送って行くよ。今日は部外者も多いから、城内とはいえ、一人で行動はよくない」と気軽に立ち上がった。
「お願いします」
「リリーは宿舎にいるんだね」
「はい。いい所ですよ」
気楽に喋れる相手とのんびり歩くのは楽しい。
「みたいだね。わたしも引っ越したいと考えているんだ」
わたしは
「おすすめですよ。職場も近いし」と答えた。
主席さんはきんきら笑顔で
「結婚のこと。考えてみて、わたしはいい夫になるつもりだ」と言った。
それでわたしは
「見守って下さるってことですか?」
主席さんが
「あぁ、隣りでね。生きたまんまで」と答えたので、わざと「チッ」と舌打ちをしてみた。
主席さんは舌打ちを無視して
「ゆっくり待つから、じっくり考えて。どこかで会ったら話くらいしよう」と言った。
しばらく歩いてから
「少し、事務的な話をするよ。家族の面倒を見る?」主席さんお仕事モードですね。
わたしは、考えていたことを遠慮なく言った。この人には言ってもいいかなって思ったから。
「面倒!面倒?別に・・・家族って・・・そっとしてあげて欲しいですね」
ほんとにもう、関わりたくない。
主席さんは
「あぁ、じゃあ、任せて貰うよ。わたし個人とかじゃなく。騎士団とか。その・・・そっとだね」
とわたしを見下ろしながら言った。
わたしは、見上げながら
「はい、そうして貰えると」と答えた。
「わかった。そう報告する」
部屋の前に着いた。裏庭のほうだ。
珍しくサンデーがお出迎えをして来た。
「それでは、これで」と主席さんは帰ろうとしたが、振り向いて
「忘れてた。リリー。綺麗だ」と言うと足早に去って行った。
ふいを打たれてしまった。わたしは急いで家に入ると鏡を見た。
予想通り、顔が赤くなっている。だってわかるよ! 頬が熱いから・・・
わたしは気を落ち着ける為に、お茶を入れるとあずまやに座ってゆっくりと飲んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リリーは後ろめたいあまり、フェルナンドに対して言葉使いがおかしくなっています。
心の声でもフェルナンドにたくさん敬称をつけています。
なぜ、ここにいるのだ?確か、卒業生と両親。婚約者・・・ロバート様ってこと?ロバート様は逃げられなかった?
鈍くない?
ロバート様の婚約者として来てるのか。わたしは急いで立ち上がったると、二人に
「失礼します」と言って、アナベルのそばに行き
「あら、アナベル。綺麗ね」と取り敢えず言った。
ちょっと、卒業おめでとうくらい言ってよ。
アナベルの後ろに両親が並んでいるが、ロバート様はいない。誰かと話をしに行っているのかな?
「お姉さまの気が利かなくて紹介がありませんので、わたしが名乗りますね。わたしはアナベ」と言い出した所でわたしは慌ててアナベルを遮った。
「やめなさい。アナベル。ここは学院ではありません。お黙りなさい」
するとアナベルが
「もう、だから、お姉さまは考えなしなんですって。わたしが話しかけるてるのよ。それで充分です」と言いだした。
わたしは早口で
「やめなさい。アナベル。お父様もお母様もアナベルを止めて」と二人に言った。
そこに、ハリソン様が来て、楽しそうに
「先輩! 間違えた。リリーなんだい?この騒ぎは」と言った。
事情がわかってて、わざと来たわね。
「ハリソン様、探してましたのよ。それをお姉さまが邪魔して」とアナベルは得意げに行った。
テーブルの二人が吹き出した。同級生ってもっとこう・・・助け合うのでは!!
ハリソン様は
「アナベル嬢、学院じゃないから言葉使いに気をつけて。今日はどうやって入ったの?」
アナベルは怒ってるぞポーズで
「それが受付がひどいんですよ。ねぇお父様」と父に振った。
父は、何様かって口調で
「えぇ終いには怒鳴りつけてやりました」と言った。
ハリソン様が真面目くさった顔で
「それはそれは。でどうやって入ったの?」と言うと
父が
「魔法士の家族として入りました。リリーが受付になにも連絡して置かないから、遅くなった」
「そうよ。ほんとにお姉さまは」
ハリソン様は
「それは受付が気の毒だね。入れるのは両親と婚約者だけだよ。卒業生の両親と婚約者。例外はない」と言った。
そして、父に向き直ると
「アナベルを連れてお帰り下さい」と言った。
父は
「なんですって。ほんとにリリーは」と言い
それを聞いた母がわたしに向かって
「いつも言ってるでしょ。ほんとに」と言った。教わったことはあまりないけど・・・
するとハリソン様が、顎をひょいとしゃくった。
すると客に紛れていた騎士団らしき男たちがさっと近寄って来て三人を取り囲むと連れて行った。
「わたしも働こう。リリーの前で初仕事だ」と言うとフェルナンド様様様も、一団に混じって両親を連れて行った。
主席さんは
「なんとも・・・」と言うと肩をすくめた。それから
「ちょっと席を変わろう」と言ってわたしに手を差し出した。
主席さんと一緒に行ったのはまぁ予想通り、宰相の所だった。
紹介されて、渾身のカーテシーをやった。
「リリー嬢。会いたいと思っていた。息子と仲良くしてやってくれ」
「はい」とだけ答えた。
主席さんが
「リリー疲れたんじゃない?」と聞いてくれた。はーーー疲れてます。
「えぇ、疲れました」と答えると
主席さんは
「送って行くよ。今日は部外者も多いから、城内とはいえ、一人で行動はよくない」と気軽に立ち上がった。
「お願いします」
「リリーは宿舎にいるんだね」
「はい。いい所ですよ」
気楽に喋れる相手とのんびり歩くのは楽しい。
「みたいだね。わたしも引っ越したいと考えているんだ」
わたしは
「おすすめですよ。職場も近いし」と答えた。
主席さんはきんきら笑顔で
「結婚のこと。考えてみて、わたしはいい夫になるつもりだ」と言った。
それでわたしは
「見守って下さるってことですか?」
主席さんが
「あぁ、隣りでね。生きたまんまで」と答えたので、わざと「チッ」と舌打ちをしてみた。
主席さんは舌打ちを無視して
「ゆっくり待つから、じっくり考えて。どこかで会ったら話くらいしよう」と言った。
しばらく歩いてから
「少し、事務的な話をするよ。家族の面倒を見る?」主席さんお仕事モードですね。
わたしは、考えていたことを遠慮なく言った。この人には言ってもいいかなって思ったから。
「面倒!面倒?別に・・・家族って・・・そっとしてあげて欲しいですね」
ほんとにもう、関わりたくない。
主席さんは
「あぁ、じゃあ、任せて貰うよ。わたし個人とかじゃなく。騎士団とか。その・・・そっとだね」
とわたしを見下ろしながら言った。
わたしは、見上げながら
「はい、そうして貰えると」と答えた。
「わかった。そう報告する」
部屋の前に着いた。裏庭のほうだ。
珍しくサンデーがお出迎えをして来た。
「それでは、これで」と主席さんは帰ろうとしたが、振り向いて
「忘れてた。リリー。綺麗だ」と言うと足早に去って行った。
ふいを打たれてしまった。わたしは急いで家に入ると鏡を見た。
予想通り、顔が赤くなっている。だってわかるよ! 頬が熱いから・・・
わたしは気を落ち着ける為に、お茶を入れるとあずまやに座ってゆっくりと飲んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リリーは後ろめたいあまり、フェルナンドに対して言葉使いがおかしくなっています。
心の声でもフェルナンドにたくさん敬称をつけています。
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