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聖女受胎
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〇慈愛の母本部。教祖の部屋。
杏奈と千晶がソファーに座って待っている。
育人がドアを開けて入って来る。
育人「内密の話って何だ?」
杏奈「まあ、座ってちょうだい」
育人「俺は忙しいんだぞ!」
育人、杏奈と千晶の対面に座る。
杏奈「単刀直入に言うわ。千晶様は妊娠している。育人の子供よ」
育人、驚愕の表情。
うつむく千晶。
育人「そんなバカな…!?」
杏奈「何よ?身に覚えがないとでも?あなたたちがそんな関係だと言うことはみんな気づいていたわよ」
育人「………子供なんか要らない。殺せ!」
千晶「酷い!!」
杏奈「ちょっと育人!別に教祖様が子供を産んだっていいじゃないの」
育人「………子供が出来るはずがないんだ!」
千晶「育人。何を言っているの?私、あなたが喜んでくれると思っていたのに」
育人、千晶を無視して机の上のパソコンを操作する。
モニターに一見ハチのように見える1cm足らずのハエの写真を映し出す。
育人「ウリミバエだ。東南アジア原産で、南西諸島に外来種として侵入して農作物に深刻な被害を発生させた害虫だ」
千秋、怪訝な顔で話しを聞いている。
育人「ウリミバエは不妊虫放飼法により根絶された。人工的に不妊化した害虫を大量に放す。野外にいる害虫が交尾相手に放飼した個体を選んだ場合、子孫が生まれず害虫個体は減少し、いずれ絶滅するというわけだ」
千晶「育人。どうして今、そんな話をしているの?」
杏奈「そ、そういうことなの……!?」
千晶「えっ!?先生?」
杏奈「この五年間、この島では一人も子供が産まれていないわ!単に男性がいなくなったからだと気にもとめなかったけれど、島外の信者で子供が出来たという話も聞いたことがないわ。育人のガーディアンになった女性は、みんな不妊になるのね!」
育人「その通りだ!それが俺の血の本当の力だと気が付いたのさ」
杏奈「素晴らしい!」
杏奈、恍惚の表情。
杏奈「このまま子供が産まれなければ、いずれこの国は老人ばかりになり、やがて滅ぶわ。今までだって出生率がどんどん下がっているのをみんな知っているのに、誰も何もしなかったわ。こんな国、滅んでしまえばいいのよ!」
育人「だが、千晶は妊娠した!この子供は俺の力の外にある存在だ。俺の力の及ばない生き物だ」
千晶を指さす育人。
育人「あるいは、俺の力が弱ってきたのかもしれない。ともかく、こいつは将来必ず俺の敵になるだろう!こいつは殺さねばならない!!」
千晶「い、嫌です!」
杏奈、千晶の肩を抑える。
杏奈「千晶様。育人の言うことを聞きなさい。いつだってそうしてきたでしょ」
杏奈と千晶がソファーに座って待っている。
育人がドアを開けて入って来る。
育人「内密の話って何だ?」
杏奈「まあ、座ってちょうだい」
育人「俺は忙しいんだぞ!」
育人、杏奈と千晶の対面に座る。
杏奈「単刀直入に言うわ。千晶様は妊娠している。育人の子供よ」
育人、驚愕の表情。
うつむく千晶。
育人「そんなバカな…!?」
杏奈「何よ?身に覚えがないとでも?あなたたちがそんな関係だと言うことはみんな気づいていたわよ」
育人「………子供なんか要らない。殺せ!」
千晶「酷い!!」
杏奈「ちょっと育人!別に教祖様が子供を産んだっていいじゃないの」
育人「………子供が出来るはずがないんだ!」
千晶「育人。何を言っているの?私、あなたが喜んでくれると思っていたのに」
育人、千晶を無視して机の上のパソコンを操作する。
モニターに一見ハチのように見える1cm足らずのハエの写真を映し出す。
育人「ウリミバエだ。東南アジア原産で、南西諸島に外来種として侵入して農作物に深刻な被害を発生させた害虫だ」
千秋、怪訝な顔で話しを聞いている。
育人「ウリミバエは不妊虫放飼法により根絶された。人工的に不妊化した害虫を大量に放す。野外にいる害虫が交尾相手に放飼した個体を選んだ場合、子孫が生まれず害虫個体は減少し、いずれ絶滅するというわけだ」
千晶「育人。どうして今、そんな話をしているの?」
杏奈「そ、そういうことなの……!?」
千晶「えっ!?先生?」
杏奈「この五年間、この島では一人も子供が産まれていないわ!単に男性がいなくなったからだと気にもとめなかったけれど、島外の信者で子供が出来たという話も聞いたことがないわ。育人のガーディアンになった女性は、みんな不妊になるのね!」
育人「その通りだ!それが俺の血の本当の力だと気が付いたのさ」
杏奈「素晴らしい!」
杏奈、恍惚の表情。
杏奈「このまま子供が産まれなければ、いずれこの国は老人ばかりになり、やがて滅ぶわ。今までだって出生率がどんどん下がっているのをみんな知っているのに、誰も何もしなかったわ。こんな国、滅んでしまえばいいのよ!」
育人「だが、千晶は妊娠した!この子供は俺の力の外にある存在だ。俺の力の及ばない生き物だ」
千晶を指さす育人。
育人「あるいは、俺の力が弱ってきたのかもしれない。ともかく、こいつは将来必ず俺の敵になるだろう!こいつは殺さねばならない!!」
千晶「い、嫌です!」
杏奈、千晶の肩を抑える。
杏奈「千晶様。育人の言うことを聞きなさい。いつだってそうしてきたでしょ」
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