75 / 128
トキワ荘物語 その7
しおりを挟む
「それでは横山さんは『鉄人28号』を描いて下さい。次は金子さん!藤子不二雄の最初のアニメ化作品はなんですか?」
「昭和38年の『シスコン王子』という人形アニメです」
「シスコン?妹を溺愛してる王子の話ですか?」
「そのシスコンじゃありません。コーンフレークの商品名であるシスコーンとタイアップした作品です。インディアンみたいな恰好をしたシスコン王子が、シスコーンを食べてピンチを切り抜けるってお話です。手塚先生、ご存じないですか?」
治美は無言で首を横に振った。
レトロ漫画に強い治美だったが、さすがに平成生まれなので昭和生まれの金子にはかなわなかった。
「もっとも『シスコン王子』は人気がなくてすぐに打ち切りになりましたがね」
「その次のアニメ化作品は何ですか?」
「そりゃあ、あれですよ、『オバケのQ太郎』!」
「ああ!オバQですか!それなら知ってます!」
「昭和40年8月29日から昭和42年6月28日まで放映されました。その後『パーマン』『怪物くん』『ウメ星デンカ』と続けざまに大ヒットしてゆきます」
「なるほど。それでは金子さん、いえ藤子不二雄さん!これから『オバケのQ太郎』を描いて下さい」
「でもオバQは昭和39年から『週刊少年サンデー』誌上連載開始ですよ。今の世の中、月刊誌ばかりでまだ週刊誌が現れていませんよ」
金子がそう言うと、横山も手を挙げて発言した。
「そうですよ。週刊誌が生まれて世間のリズムが月刊から週刊に変わったからこそ、テレビアニメが毎週放映されるようになったのですよ。今の世の中、まだまだテレビも普及していないし、時期尚早ではないですか?」
「いーえ!わたしたちのマンガの力で世の中を動かすのです!」
治美がそう力強く言うと、横山も金子もそれ以上は何も言わなかった。
早くアニメを作ったらそれだけ早く元の世界に戻れるかもしれない。
全員がそう思い込んでいたからだった。
「それで玲奈ちゃんだけど、石森章太郎で最初のアニメになったのは何って漫画なの?」
「『レインボー戦隊ロビン』」
玲奈がそうポツリとつぶやくと、みんな首を傾げた。
「知ってます、金子さん?」
「うーん、名前だけは聞いたことがあるような…」
「これが主人公のロビン」
玲奈はコミックグラスを使って、白いヘルメットを被ってスカーフを巻いたロビンの絵を模写してみせた。
「ガンマンロボットのウルフ、看護ロボットのリリ、力持ちのベンケイ、ロケットになるペガサス、老人型ロボットの教授…」
続けてサングラス姿のガンマンやナース帽をかぶったスカートの女性の絵を玲奈は描いていった。
「ロビン、リリ、教授のキャラクターデザインは石森章太郎。ペガサスのキャラクターデザインは藤子・F・不二雄、ウルフとベンケイは藤子不二雄Aって書いてる」
「えっ?どうして石森章太郎の漫画のキャラデザに藤子不二雄がいるのかしら?」
治美が尋ねたが玲奈は首を横に振るだけだった。
「そうか!『レインボー戦隊ロビン』はスタジオゼロの制作なんですよ」
金子がポンと手を打った。
「スタジオゼロ?」
「はい。手塚先生がアニメ会社の虫プロダクションを設立した後に、トキワ荘のメンバーでアニメを作る会社スタジオゼロを結成したのです。藤子不二雄の二人、石森章太郎、赤塚不二夫、つのだじろう、鈴木伸一、つのだじろうが参加しました」
「へぇ。要はみんなで手塚先生のマネをしたのね。やっぱり手塚先生は偉大だわ!」
治美は両手を握りしめて天を仰いだ。
「昭和38年の『シスコン王子』という人形アニメです」
「シスコン?妹を溺愛してる王子の話ですか?」
「そのシスコンじゃありません。コーンフレークの商品名であるシスコーンとタイアップした作品です。インディアンみたいな恰好をしたシスコン王子が、シスコーンを食べてピンチを切り抜けるってお話です。手塚先生、ご存じないですか?」
治美は無言で首を横に振った。
レトロ漫画に強い治美だったが、さすがに平成生まれなので昭和生まれの金子にはかなわなかった。
「もっとも『シスコン王子』は人気がなくてすぐに打ち切りになりましたがね」
「その次のアニメ化作品は何ですか?」
「そりゃあ、あれですよ、『オバケのQ太郎』!」
「ああ!オバQですか!それなら知ってます!」
「昭和40年8月29日から昭和42年6月28日まで放映されました。その後『パーマン』『怪物くん』『ウメ星デンカ』と続けざまに大ヒットしてゆきます」
「なるほど。それでは金子さん、いえ藤子不二雄さん!これから『オバケのQ太郎』を描いて下さい」
「でもオバQは昭和39年から『週刊少年サンデー』誌上連載開始ですよ。今の世の中、月刊誌ばかりでまだ週刊誌が現れていませんよ」
金子がそう言うと、横山も手を挙げて発言した。
「そうですよ。週刊誌が生まれて世間のリズムが月刊から週刊に変わったからこそ、テレビアニメが毎週放映されるようになったのですよ。今の世の中、まだまだテレビも普及していないし、時期尚早ではないですか?」
「いーえ!わたしたちのマンガの力で世の中を動かすのです!」
治美がそう力強く言うと、横山も金子もそれ以上は何も言わなかった。
早くアニメを作ったらそれだけ早く元の世界に戻れるかもしれない。
全員がそう思い込んでいたからだった。
「それで玲奈ちゃんだけど、石森章太郎で最初のアニメになったのは何って漫画なの?」
「『レインボー戦隊ロビン』」
玲奈がそうポツリとつぶやくと、みんな首を傾げた。
「知ってます、金子さん?」
「うーん、名前だけは聞いたことがあるような…」
「これが主人公のロビン」
玲奈はコミックグラスを使って、白いヘルメットを被ってスカーフを巻いたロビンの絵を模写してみせた。
「ガンマンロボットのウルフ、看護ロボットのリリ、力持ちのベンケイ、ロケットになるペガサス、老人型ロボットの教授…」
続けてサングラス姿のガンマンやナース帽をかぶったスカートの女性の絵を玲奈は描いていった。
「ロビン、リリ、教授のキャラクターデザインは石森章太郎。ペガサスのキャラクターデザインは藤子・F・不二雄、ウルフとベンケイは藤子不二雄Aって書いてる」
「えっ?どうして石森章太郎の漫画のキャラデザに藤子不二雄がいるのかしら?」
治美が尋ねたが玲奈は首を横に振るだけだった。
「そうか!『レインボー戦隊ロビン』はスタジオゼロの制作なんですよ」
金子がポンと手を打った。
「スタジオゼロ?」
「はい。手塚先生がアニメ会社の虫プロダクションを設立した後に、トキワ荘のメンバーでアニメを作る会社スタジオゼロを結成したのです。藤子不二雄の二人、石森章太郎、赤塚不二夫、つのだじろう、鈴木伸一、つのだじろうが参加しました」
「へぇ。要はみんなで手塚先生のマネをしたのね。やっぱり手塚先生は偉大だわ!」
治美は両手を握りしめて天を仰いだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
借景 -profiles of a life -
黒井羊太
ライト文芸
人生は、至る所にある。そこにも、ここにも、あそこにも。
いつだったかの群像・新人文学賞一次通過作。
ライト文芸大賞に参加してます。
僕らの10パーセントは無限大
華子
青春
10%の確率でしか未来を生きられない少女と
過去に辛い経験をしたことがある幼ななじみと
やたらとポジティブなホームレス
「あり得ない今を生きてるんだったら、あり得ない未来だってあるんじゃねえの?」
「そうやって、信じたいものを信じて生きる人生って、楽しいもんだよ」
もし、あたなら。
10パーセントの確率で訪れる幸せな未来と
90パーセントの確率で訪れる悲惨な未来。
そのどちらを信じますか。
***
心臓に病を患う和子(わこ)は、医者からアメリカでの手術を勧められるが、成功率10パーセントというあまりにも酷な現実に打ちひしがれ、渡米する勇気が出ずにいる。しかしこのまま日本にいても、死を待つだけ。
追い詰められた和子は、誰に何をされても気に食わない日々が続くが、そんな時出逢ったやたらとポジティブなホームレスに、段々と影響を受けていく。
幼ななじみの裕一にも支えられながら、彼女が前を向くまでの物語。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―
kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。
しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。
帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。
帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる