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第03章 初めてのダンジョン攻略
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私はヴィヴィに紹介されて雑貨屋店主のミハイに挨拶をした。
「朝比奈ステラと申します」
「わたしゃ本物のエルフなんて生まれて初めて見たよ!写真よりもずっと美人だね」
「えっ?写真って…?」
「ああ、これだよ!」
ミハイはエプロンのポケットからジャスターを取り出して画面を私に示した。
そこにはヴィヴィが昨日撮った私の写真が映し出されていた。
写真の下には
「エルフ様発見!お美しい!気軽に写真を撮らせてくれました。ヴィヴィ」
と説明文が添えられていた。
「ヴィヴィが昨日の写真を情報網にアップしたの。ちょっとバズってるのよ」
ヴィヴィが得意げに言った。
「この写真の下の『207』って数字はなあに?」
「この写真を見てくれた人の数よ」
「随分少ないのね」
「ヴィヴィにしたら多い方なの!」
ヴィヴィは唇をとがらせた。
「ねぇ、ミハイさん!ステラさんは仕事を探しているのよ。ここで働かせてあげない?」
「うーん!うちも人手が足りてるからねぇ。代わりにヴィヴィが辞めるのなら考えなくもないけど。エルフが売り子をしている雑貨店なら評判になるだろうしね。ハハハハッ!」
ミハイがそう言って豪快に笑った。
「私クビですかあ!?」
ヴィヴィの顔が青ざめた。
「い、いえ!そんなことしないで下さい!」
私は大慌てで手を横に振った。
「ワッハハハ!冗談だよ。ヴィヴィはよく働いてくれるからね」
店主のミハイは大らかに笑い声をあげた。
「今はうちではあんたを雇う余裕はないよ。すまないね」
「わかりました。私、別の仕事を探してみます」
「ごめんね、ステラさん。お役に立てなくて…」
店を出て行こうとした私の手を取り、ヴィヴィが申し訳なさそうに言った。
「そうだ!ステラさんみたいな美少女エルフなら情報網に動画をアップしたら儲かるかも」
「写真だけでなく情報網に動画もアップできるの?」
「もちろん!ほら、これ見て!」
ヴィヴィがジャスパーを操作して画面を見せてくれた。
どう見てもただの素人の少女が笑顔で手を振ったり投げキッスをしているだけの動画の一覧が表示された。
「視聴者はあらかじめ情報網上でコインを購入して、自分が気に入った女の子の動画があったらお礼や応援の気持ちを込めて投げ銭をするのよ」
この世界の情報網界隈、かなり進んでいて私の想像の斜め上を行っている。
「こんなのはどうも………。でもアップしてもらいたい動画ならあるわ」
「だったらステラさんの名前で動画配信用のチャンネルを作ってあげるわ。自分のジャスパーを使ってそこに動画をアップしたらいいわ」
「ありがとう!お願いするわ!」
ヴィヴィはジャスパーの表面で人差し指を忙しく動かし何やら操作をしてくれている。
「チャンネルの名前は何にする?」
「えっ!?ス、ステラチャンネルでどうかしら?」
「んーとね………『美少女エルフのステラチャンネル』にしとくね!」
「自分で自分のこと美少女はちょっと……!」
「それでアップするのはどんな動画なの?」
「私が落語をしているところ!」
「ラクゴ?ラクゴってなあに?」
「お客を笑わせるための一人芝居よ」
「ふーん………」
予想通りヴィヴィは落語には全く興味がなさそうだった。
落語をアップしてもどうせ異世界の人たちは誰も見てくれないだろうが、とにかく地道に頑張るしかない。
「朝比奈ステラと申します」
「わたしゃ本物のエルフなんて生まれて初めて見たよ!写真よりもずっと美人だね」
「えっ?写真って…?」
「ああ、これだよ!」
ミハイはエプロンのポケットからジャスターを取り出して画面を私に示した。
そこにはヴィヴィが昨日撮った私の写真が映し出されていた。
写真の下には
「エルフ様発見!お美しい!気軽に写真を撮らせてくれました。ヴィヴィ」
と説明文が添えられていた。
「ヴィヴィが昨日の写真を情報網にアップしたの。ちょっとバズってるのよ」
ヴィヴィが得意げに言った。
「この写真の下の『207』って数字はなあに?」
「この写真を見てくれた人の数よ」
「随分少ないのね」
「ヴィヴィにしたら多い方なの!」
ヴィヴィは唇をとがらせた。
「ねぇ、ミハイさん!ステラさんは仕事を探しているのよ。ここで働かせてあげない?」
「うーん!うちも人手が足りてるからねぇ。代わりにヴィヴィが辞めるのなら考えなくもないけど。エルフが売り子をしている雑貨店なら評判になるだろうしね。ハハハハッ!」
ミハイがそう言って豪快に笑った。
「私クビですかあ!?」
ヴィヴィの顔が青ざめた。
「い、いえ!そんなことしないで下さい!」
私は大慌てで手を横に振った。
「ワッハハハ!冗談だよ。ヴィヴィはよく働いてくれるからね」
店主のミハイは大らかに笑い声をあげた。
「今はうちではあんたを雇う余裕はないよ。すまないね」
「わかりました。私、別の仕事を探してみます」
「ごめんね、ステラさん。お役に立てなくて…」
店を出て行こうとした私の手を取り、ヴィヴィが申し訳なさそうに言った。
「そうだ!ステラさんみたいな美少女エルフなら情報網に動画をアップしたら儲かるかも」
「写真だけでなく情報網に動画もアップできるの?」
「もちろん!ほら、これ見て!」
ヴィヴィがジャスパーを操作して画面を見せてくれた。
どう見てもただの素人の少女が笑顔で手を振ったり投げキッスをしているだけの動画の一覧が表示された。
「視聴者はあらかじめ情報網上でコインを購入して、自分が気に入った女の子の動画があったらお礼や応援の気持ちを込めて投げ銭をするのよ」
この世界の情報網界隈、かなり進んでいて私の想像の斜め上を行っている。
「こんなのはどうも………。でもアップしてもらいたい動画ならあるわ」
「だったらステラさんの名前で動画配信用のチャンネルを作ってあげるわ。自分のジャスパーを使ってそこに動画をアップしたらいいわ」
「ありがとう!お願いするわ!」
ヴィヴィはジャスパーの表面で人差し指を忙しく動かし何やら操作をしてくれている。
「チャンネルの名前は何にする?」
「えっ!?ス、ステラチャンネルでどうかしら?」
「んーとね………『美少女エルフのステラチャンネル』にしとくね!」
「自分で自分のこと美少女はちょっと……!」
「それでアップするのはどんな動画なの?」
「私が落語をしているところ!」
「ラクゴ?ラクゴってなあに?」
「お客を笑わせるための一人芝居よ」
「ふーん………」
予想通りヴィヴィは落語には全く興味がなさそうだった。
落語をアップしてもどうせ異世界の人たちは誰も見てくれないだろうが、とにかく地道に頑張るしかない。
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