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第03章 初めてのダンジョン攻略

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 異世界生活に必要不可欠の冒険者ギルドが存在しないと知り私は途方に暮れた。

「困ったわ。仕事がないと今晩の宿代もありゃしない」
『そもそもステラは娯楽を広めるために人里に来たのじゃろうが!それを小銭稼ぎにばかり執着しおって!』
「イルマ様がちゃんとしたお金を渡してくれてたらこんな苦労しなくてすんだんですよ!」
『そうじゃ!獅子亭の酒場でステラが落語を演じたらどうじゃ?きっと酔客が喜んでおひねりを投げてくれるぞ』
「無理!無理!人前に立つなんてできません!なんせ私、対人恐怖症のコミュ障ですから」
『厄介な奴じゃな!』

 そんな風にイルマ様と脳内通信をしていると、突然一人の町娘に話しかけられた。

「あらっ!?エルフさん!また会ったわね!」
「あなたは?」

 彼女は昨日私と自撮りした町娘だった。
 その町娘は屈託のない笑顔を浮かべながら親し気に私に近づいてきた。

「あたしね、ヴィヴィって言うの」
「ヴィヴィちゃんね。おはよう!」
「おはようございます!」
「……………」

 こんな時コミュ障の私は話が続かない。 

「エルフさんの名前を教えて」
「あっ!ステラよ。朝比奈ステラ!」
「へぇー!変わった名前ね。ステラさんか。ステラさんは何してるの?」
「私?私は仕事を探してるのよ」
「ウッソ~!?エルフさんでも働くの?」
「でないと今夜の宿代もないのよ」
「へぇー!エルフって貴族様みたいに優雅に暮らしている種族だと思ってたわ」

(確かに本物のエルフ様ならお屋敷で優雅に暮らしているけどね。あいにくと私はまがい物のエルフなのよね…)

「ヴィヴィちゃんは仕事しているの?」
「もちろんよ!この先にある『ウィステリア』と言う雑貨屋で売り子をしてるわ。そうだわ!うちのおかみさんに何か仕事がないか聞いてみてあげよっか!」
「えっ!?本当!?あ、ありがとう!」

 私は心を弾ませてヴィヴィの後をついて歩いて行った。

「でもね、あんまり期待しないでね。この街も最近は不景気で就職難なのよ」
「ふーん…。不景気なんだ」
「この街、何の特産品もないし観光名所もないしとにかく魅力がないのよね。だから住民がみんな他所の街に出て行っちゃうのよ」

 やがて私とヴィヴィは古ぼけているが立派な店構えの雑貨屋ウィステリアに着いた。
 清潔で整頓された店内に入るとヴィヴィは店の奥で品出しをしている中年の婦人に声をかけた。

「この人が店主のミハイさんよ」

 開店の準備をしていたエプロン姿の婦人は私を見て少し驚いた顔をした。

「おや!珍しい!エルフ様じゃないか!」
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