隣人はクールな同期でした。

氷萌

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*隣人は優しい男でした。

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それから―――


本当は
まず先に陽向さんに返事をしないといけなかったのに
彼に自分の気持ちを伝えたのは
その後だった。


「やっぱそうだったか…
 まぁ…そんな気はしてたけどな」

「え…」


アタシの気持ちを
すでにわかっていたのか
思っていたよりも意外な反応だった。


「知っていたんですか…?」

「そりゃぁ毎日見ていればな。
 ただの“隣人の同期”ってだけには思えないって」


自分では気づかなかったのに
まわりからはそんな風に見えていたんだろうか…


「だけどセツナは
 最後まで俺と真剣に向き合ってくれた。
 俺がツライ思いをさせたのに
 それでもアメリカ行きの話
 ちゃんと考えてくれていたのは嬉しかった」

「いえ…」


もう1度やり直す事を
真剣に考えて向き合った…けど
結局その気持ちには応えられなくて
煌月への気持ちに気付く結果になってしまったのは
少し複雑だけどね。


「手術の日程は決まったんだっけ?」

「はい…
体調見ての判断ですが
来週の初めを予定しています」

「そっか…もうすぐだな…。
俺も、アメリカ行きが早まったんだ」



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