隣人はクールな同期でした。

氷萌

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第6章 想う方向性。

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「お前の事情も
新しい生活にも慣れず不安だった事は知っていたのに
俺はお前を両親に託して出て行った…
それに対して後ろめたい気持ちもあったのに
帰って来なかった」


俺は
自分のワガママだけを通してきたんだ。


「ジンくん…」


年数が経つにつれて
その生活が当たり前みたいになり
余計に実家に帰る事を考えなくなって
気が付けば5年以上。


「両親が死んで俺達2人だけになって初めて
ようやく俺は戻ってきた…」


今度こそ本当に
独りになってしまうヒナコの傍にいるって…


「俺が守るって…」


決めたはずだったのに。


「それなのに…」


俺は…

七星の傍にいたい。



アイツはいつだって
無理も無茶もして
こっちはいつもハラハラさせられてんのに
本人は何も気にしてなくて
それどころか
まるで他人事みたいに笑ってる。

自分の体が悲鳴をあげてんのに
他人の事ばっか気にしていて
本当に
救いようのないバカだって…

だけど
そんなアイツを守ってやりたいって
いつからか思っていて…


その気持ちに
やっと気づいた――――


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