隣人はクールな同期でした。

氷萌

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*傍にいたいと思いました。

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窓の外に目線を移し
ポツリと呟く彼女には
さっきまでの明るさはなく
暗く深い悲しみに包まれていた。


「それは…違いますよ」


思わずハッキリと否定してしまったので
煌月のお母さんは
ちょっと驚いたみたいで
こちらを向いてくれた。


「上手くは言えないんですけどね…
 でも、誰のせいでもないです。
 そんな事を考えないでください。
 そんなの…2人が悲しみます」


誰も望んでない。
母親が自分を責めるなんて、そんな事…


「七星さん…
 ありがとう、優しいのね」


涙を浮かべて微笑む彼女が
とても印象的だった。

この人を見ていると
自然と親子3人が一緒にいる姿が頭に浮かぶ。
やっぱり母親なんだなとも思う。

でも1人の女性だから。
父親であり旦那さんを失った事は
本当は凄くツライはず。


「昔ね…
 幼馴染であり親友だったコがいてね。
 そのコと約束したのよ。
 夫であるミライと
 一生、幸せになるって…。
 そのコはね、病気で死んでしまったけど
 その約束だけは…守りたかった」

「煌月さん…」

「それなのに…守れなかった。
 トワとの約束…」


きっと大切にしてきたんだと思う。
大切な親友との約束。

 
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