隣人はクールな同期でした。

氷萌

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*ボロボロなんだと思います。

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「こんな時間にどうしたの?」


聞こえていないのか
それとも聞いていないのか
問い掛けても
顔を上げようとする気配すらない。


スーパーの袋を持ってココにいるくらいだから
きっと煌月のところに来たのは
間違いないんだろうけど…
会えた様子もなさそうだし
どうなってんの?


「煌月と、なんかあった?」


聞き方を変えてみると
その質問にピクッと反応を示し
ついさっきまでは沈んだ表情で俯いていたが
今度はゆっくりと顔を上げて
アタシと目を合わせてくれた。

たぶん相当泣いていたんだろう。
目が真っ赤になってる。
それでもまだ
今にも溢れ出しそうな涙を浮かべていて
少し可哀想にも思えた。


「会いに来たんだね。
 部屋にいなかったの?
 会えなかった?」


ゆっくりと静かに尋ねると
彼女もまたゆっくりと
首を横に振って答えてくれた。


「まさかアイツ
 また早乙女さんにヒドイ事したんだね。
 ったく、本当に女心とかわからんヤツだ。
 アタシがガツンと言ってくるよ」

「ま、待ってよッッ」


やっと彼女の声が聞けた。
 
 
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