隣人はクールな同期でした。

氷萌

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*ボロボロなんだと思います。

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明日の活力のために
今日は一杯飲んで寝ようかな。
…いや、そんな事したら
確実に明日は起きられない自信がある…


「今日は大人しく早く寝よ…」


誰もいないエレベーターの中で
そんな呟きと溜め息を零していると
ちょうど部屋の階に到着。


扉が開き
出ようとした瞬間――


「わッ!?」


思わず廊下に響き渡るほどの
大きな声が出てしまった。

エレベーターの脇で
無言のまま俯き加減に立っている
真っ白なワンピースを着た人の姿に驚いたからだ。


「ビッ…クリした…」


ゆ、幽霊かと思った…
もし仮に本物のホンモノだったとしても
そんなにハッキリは見えないだろうけどさぁ。
心臓に悪いって。


「あれ…?
 もしかして…早乙女さん?」


一呼吸入れてから
ちょっと落ち着いてその人物を見ると
間違いなく早乙女さんだった。

アタシが呼び掛けても
彼女は何も反応を示さず
両手にはスーパーの袋を握りしめ
暗い顔でジッとその場に立ったまま微動だにしない。


真っ白なワンピースも相まって
正直、だいぶ不気味だ。

 
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