隣人はクールな同期でした。

氷萌

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第3章 姫の心は囚われていました。

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「母親が亡くなってからも
イヤな思いはしていたんだ。
親戚には拒絶され
学校は同情と好奇の目で見られて行けなくなったし」

「じゃぁ住む家はどうしたの?」

「施設には入らせず
俺の両親が引き取ったんだ。
 養子の話も出たけど本人が
『母親との繋がりを断ちたくない』って拒んだから
そのままにして今も一緒に住んでる」


早乙女さん
そんな状況に置かれながらも
それでもお母さんとの関係を大事にしたかったんだ…
スゴイよ、彼女。


「それじゃぁ尚更
 アンタが大事にしてやんないとじゃん」

「…あぁ。
 だけどもう子供じゃねぇんだし
 俺がこれ以上関わっていたら
アイツ自身が成長出来ない気はしてる。
 1人で強くなる勇気も必要だからな」


そうは言ってもねぇ…
子供の頃からずっと彼女は煌月を必要としてる。
独りぼっちになってしまって
寄り添ってくれたのはアンタだから。
それを手放すなんて酷な話
本人が知ったら本当にまたバカな事を考える気がする。

だけどこのままってワケにも…ねぇ。
 
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