上 下
79 / 115
繋がれた鎖、閉ざす心。

15

しおりを挟む

近くで見ても
難しいタイトルばかりで私にはチンプンカンプン。

次に驚いたのは部屋の正面の大きな窓。
確かこの部屋が続いている先は…

「バルコニー
 やっぱ広ッ!」

”ガラガラ”と勝手に開けさせてもらうと
自動でライトが点灯。
外用にと置いてあったクロッグサンダルに履き替え
これまた勝手にお邪魔させてもらった。

どうやらここはルーフバルコニーらしい。
木製のテーブルと椅子が3脚だけあってシンプルな造り。

この家に最初に来た時も外から見て驚いたけど
氷彗の部屋からしか入れないため
一度も足を踏み入れた事がなかった場所。

今は暗くて外の景色は見えないけれど
日中はきっと凄いんだろうなとか想像しながら歩き回っていると―――

「楽しそうだね」

背後から聞こえた氷彗の声に
『ヤバい、調子に乗りすぎた』と後悔。

「あはは…ごめん」

謝りながら室内へと戻ろうとすると
なぜか氷彗は靴に履き替えて一緒にバルコニーへ…。
右手には私が握ったオニギリを持っている。

「風が気持ち良いから
 ここで食べるよ」

なんて言いながら手すり壁部分に背中を預けて
こんな場所で食事を始めてしまった。
『せめて椅子に…』と思ったけれど

「…美味しい」

そう言われてしまい
『まぁいっか』と私も手すりに寄り掛かった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

運命の歯車が壊れるとき

和泉鷹央
恋愛
 戦争に行くから、君とは結婚できない。  恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。    他の投稿サイトでも掲載しております。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

形だけの正妃

杉本凪咲
恋愛
第二王子の正妃に選ばれた伯爵令嬢ローズ。 しかし数日後、側妃として王宮にやってきたオレンダに、王子は夢中になってしまう。 ローズは形だけの正妃となるが……

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...