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繋がれた鎖、閉ざす心。

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「そ、そうでしたよね!
 すみませんッ
 それがまだ帰ってきてなくて―――」

ちょうど言い切ったタイミングで。

「何してんのッ!?」

彼のお父さんの背後から焦りに近い声が聞こえてきて、私達はその声の主に顔を向けた。

そこに立っていたのは
待ち人・氷彗。

“カッ”と目を見開いて
その表情は『驚いている』なんて簡単じゃない。
恐ろしいモノを見るかのような凄まじい憎悪だ。

「どうしてここに来てんのッ!!」

こんなにも威嚇するような目つきで
大きく声を張る氷彗は初めて。
なんか、全身から拒絶しているみたい。

「外で大声を出すな。
 恥じらいを持て。
 父親が息子に会いに来て何が悪いんだ」

「今頃になって父親づらする気?
 普段ここになんて来ないくせに
 いきなり何の用だよ」

これが男の親子喧嘩?
様子がおかしいって。
完全な戦闘モードじゃん。

氷彗の低くドスの効いた声が
威圧的な雰囲気を醸し出しているし
父親の方は他人事。
さすが息子相手だからか動じていない。

「とりあえず中に…」

「入れないで!!」

私が中へと通そうとすると
すかさず氷彗にストップを掛けられてしまい
下手に口が出せない。

「氷彗、いいかげん大人になれ。
 そんなだから私が恥ずかしい思いをする。
 病院長としても
 お前が医者にならなかった事で世間に顔向けが出来ない」

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