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最も厄介?な、この大家。
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しおりを挟むこれはこれで『階段から落ちるってアホか』と
また馬鹿にされるんじゃないかと。
「い、急いでいたから仕方ないでしょ!
早く電気を復旧させなきゃと思ったんだよ!」
「だからぁ
こっちはまだ何も言ってねぇぞ」
これまた必死な誤魔化しをしてみるが
彼は今度は迷惑そうに
眉間に皺を寄せている。
必死のあまり1を聞かれて10で返してしまうなんて…。
「理由は
だいたいわかった。
とにかく服を着てこい、風邪ひく」
壱琉はそう言い残し
何事もなかったようにリビングに戻って行ってしまった。
「あ、うん…」
意外にも普通の返しに
逆にこっちが唖然。
まぁもちろん
それならそれで越した事はない。
少しだけ恥ずかしさが半減するし。
彼の姿が見えなくなった事を確認した私は
階段の手すりを掴みながら
タオルが落ちないように気を付けつつ立ち上がってみたけれど…
「いったぁ…」
思った以上に足首が痛み
床に着かないように浮かせるだけで
前に進むのに苦労していた。
そんな私の声が
壱琉の耳に届いていたのかもしれない。
「なんだよ、どうかしたのか?」
リビングに消えたはずなのに
またこっちに戻ってきたらしく
背後から声がした。
「えッ!?
あ!!ちょ…ッ
いったぁぁぁぁぁぁい!!」
私1人、もう大騒ぎだ。
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