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さよならの理由を知らないまま…
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しおりを挟む盗み聞きしていたことを怒られる…
ううん、それは仕方ない。
それよりもさっき話していた内容を伝えられる方がドキドキする…
張り詰めた空気が支配する感覚に
足取りが重くなりながらも燈冴くんの後を追うと
わたしの部屋の前で足を止め『はぁ…』と溜め息を1回吐き出し、ゆっくりとこちらを振り返った。
「お恥ずかしいところを…聞かれてしまいました」
注意されると思っていたのにそういうわけではなく
それどころか『すみません…』と逆に頭を下げられてしまい、こちらが焦る。
「わ、わたしこそッ
盗み聞きして…ごめん」
また深々と頭を下げ謝罪すると
彼は頷いた上で『さっきの話ですが…』と言いづらそうに切り出した。
「今はまだあまり詳しくは話せませんが…
事が済んだら説明します…」
曖昧ながらも彼なりに精一杯の答え…なんだと思う。
正直、納得出来るかと問われたら微妙だけど…。
”事が済んだら”って意味深すぎるワードに
いつになるかもハッキリ言ってくれなくてやり切れない気持ちは残るけれど、『はい…』って返事してしまうわたしは弱い。
「今日はもう遅いので
緋奈星さまは休んでください」
軽く会釈し背を向ける燈冴くんに
もう2度と会えない気がして
不安な胸騒ぎに襲われた。
「燈冴くん!」
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