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5章:疑惑の目、不穏な空気。
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しおりを挟むどういう風の吹き回し? 気まぐれで考えが変わるような人とは思えないけど―――
「そうと決まればさっそく行きましょ! 場所は―――」
茫然とする私に仁菜は隣で『やったね』とウィンクを向け、張り切って桐葉さんに現地の場所と時間を伝えている。
***
21:00――
仁菜と後輩達に連れられるまま予約してくれたという職場から程近い居酒屋に到着すると、案内された奥の座敷の部屋には既に他のスタッフ十数人が勢ぞろいしていた。
この時間からだというのに、よくみんな集まったな……それも桐葉さんまで。
通された部屋は長テーブルが2つに座布団が敷かれていて、まだ集まったばかりのせいか誰も何も頼んでいないらしい。
「瑠歌、こっちこっち!」
全員それぞれ席についていて、どうやら残る最後は私だけのよう。腕を引かれて空いていた席について……体が硬直した。
長方形のテーブルの端の中央、いわゆる誕生席に座る桐葉さんを正面に、向かって右隣には茉莉愛ちゃんの姿が……。そしてその隣には凪。
「お疲れ様です、棗さん」
ニコニコと優しく微笑みながらお辞儀をする茉莉愛ちゃんに、どう反応していいのか困ってしまい軽く頭を下げるしか出来ず。
私の席は桐葉さんの左隣。それはつまり、目の前に茉莉愛ちゃんがいるという現実。よりによってこのメンツでお酒を飲むなんて……
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