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4章:誕生日プレゼントは2人きり?

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 ”普通の定義”はともかくとして、『プライベートは1人がいい』って……じゃぁどうして交際するんだ、この男は?
 その前に私も一応女なんだけど……わかっているのかな。
 
 本人を目の前に、これ以上掘り下げる事も出来ずに心の中で消化してみるも、当人からは悪気など一切感じない。それどころか――

「付き合っていようがだ。中に入れる必要はないからな」

 拗らせてるな……。

 必要性で決めているなんて、あー……だから私は室内に招いたわけか。”寝床を貸す必要”があったからねぇ。
 そう考えると呆れて溜め息しか出ない。

「支配人のテリトリーは邪魔されたくないってわけですね」
「当たり前だ」

 胸を張って言う事なのかな。まぁいいんだけど。

 桐葉さんと深夜に謎の珈琲タイムをまったり過ごしていると、お風呂が沸いたであろうメロディが静かな部屋に聞こえてきた。

「風呂の場所を案内する」
「あ、はい」

 ちょうど飲み終わった珈琲カップをキッチンへ戻そうと持ったまま立ち上がると、桐葉さんに『俺が片付けるからいい』と奪い取られてしまう。

「タオルは洗面所にあるから使え。それと洗濯するから脱いだものは籠に入れておけ」

 案内されながら淡々と説明され、こっちは言われるままに頷くだけ。

 そうしてお風呂を借りることに―――――

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