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4章:誕生日プレゼントは2人きり?
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しおりを挟むあのあと私は、桐葉さんの謎の優しさ(?)に対して違和感を持ちながらも帰宅。翌朝その本人はどんな態度なんだろ? と思ったけれど――――
「おい。例の資料はもう出来ているのか? 早くしろと言っただろ」
「あ、はい……」
朝の10時から顔を合わせるなり『おはよう』の挨拶もなく、あいかわらずのふてぶてしい態度でいつも通り”鬼”は絶好調だ。昨日のあの優しさは夢だったんじゃないかってくらいの違い。
ううん、あれは絶対に夢か幻聴だったと思う。
事務所の自分のデスクでスマホや名刺入れ、それに筆記用具や持ち帰っていたデータ資料のファイルを取り出して席につくと、そのタイミングで仁菜も今出社。
「瑠歌、おはよ」
「おはよう」
彼女のデスクは私の右斜め前。普段は資料やら電話やらでで遮られていて話せるほどの距離はないけれど、席が近いのもあって忘れ物をしたときなんかは貸し借り出来て便利だったりする。確か、前にその話を凪にしたら『小学生みたいだな』って笑われたっけ。
「昨日はあれから大丈夫だった?」
私の横でまわりを気にしながら小声で耳打ちする仁菜は、どうやら私に気を使ってくれているらしい。
「全然平気。……って言いたいところだけど、ちょっと複雑」
「その様子だと結構絞られたね」
「……だね」
笑顔なんて到底無理。苦笑いしながら意気消沈しているのは、彼女にも伝わったみたい。
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