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泣いてる
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山田の家はカラオケ店から20分ほど歩いた場所にあるマンション
オートロックではないから
玄関前まで行った
灯りがついている
”ピンポン”
「はい」
インターフォンから声
山田ではない・・・女
片瀬は驚いた表情になる
俺は覚悟を決める
「仲山と言います
山田先生いますか?」
玄関ドアが開く
あの人だ
部屋からする匂いと
エプロン姿で
山田の留守中に料理をしていたことが分かる
それだけで
ただの友達ではない雰囲気を出している
「生徒さん?」
あの時とは違って見えるほど
柔らかい話し方
「はい・・・」
だけど
気の強さは顔つきと冷たい口調で分かる
「まだ帰っていないのよ
約束かしら?」
片瀬は何も言わずに背を向けエレベーターの方へ行く
俺はペコリと頭を下げて片瀬を追った
「待って!!」
エレベーターに滑り込む
「セーフ!間に合った!!」
片瀬は下を向いていて
髪の毛で顔が見えない
泣いてるかも
俺は何も言えなかった
一階について
扉が開く
直ぐに歩き出した
俺は片瀬の後をついていく
何も声をかけられない
だって
こんなにしっかり傷ついている彼女に
何て声をかければいいか分からなかったから
しばらく歩いて
片瀬は立ち止まった
「いつまでついて来るの?」
機嫌が悪い声
八つ当たりか?
「片瀬が・・・
片瀬が笑うまで」
こんな時
もてる奴は、気の利いた事が言えるんだろうな
俺にはそんな才能は無い
片瀬は顔を上げる
目に涙がたまっている
やっぱり泣いてた
「馬鹿だって思ってる?」
鼻声
声も裏返っている
「いや」
俺に近づく
「思ってるでしょ?」
俺は彼女の目を見て
「思ってないって」
強めに言う
彼女は涙をこぼしながら
「なんとなくそんな気がしてた
洗面所に女性用の洗顔があったし
よくヘアピン落ちてたし
寂しくて呼んだら来てくれてたけど
絶対に来てくれていたけど
”今日は部屋には入れられない”
っていう時あったし
”急に来ちゃダメ”
って言ってたし
あの人
彼女かな?」
泣いている
泣いている
俺の好きな子が
泣いている
俺は・・・悔しい
悔しいんだ
オートロックではないから
玄関前まで行った
灯りがついている
”ピンポン”
「はい」
インターフォンから声
山田ではない・・・女
片瀬は驚いた表情になる
俺は覚悟を決める
「仲山と言います
山田先生いますか?」
玄関ドアが開く
あの人だ
部屋からする匂いと
エプロン姿で
山田の留守中に料理をしていたことが分かる
それだけで
ただの友達ではない雰囲気を出している
「生徒さん?」
あの時とは違って見えるほど
柔らかい話し方
「はい・・・」
だけど
気の強さは顔つきと冷たい口調で分かる
「まだ帰っていないのよ
約束かしら?」
片瀬は何も言わずに背を向けエレベーターの方へ行く
俺はペコリと頭を下げて片瀬を追った
「待って!!」
エレベーターに滑り込む
「セーフ!間に合った!!」
片瀬は下を向いていて
髪の毛で顔が見えない
泣いてるかも
俺は何も言えなかった
一階について
扉が開く
直ぐに歩き出した
俺は片瀬の後をついていく
何も声をかけられない
だって
こんなにしっかり傷ついている彼女に
何て声をかければいいか分からなかったから
しばらく歩いて
片瀬は立ち止まった
「いつまでついて来るの?」
機嫌が悪い声
八つ当たりか?
「片瀬が・・・
片瀬が笑うまで」
こんな時
もてる奴は、気の利いた事が言えるんだろうな
俺にはそんな才能は無い
片瀬は顔を上げる
目に涙がたまっている
やっぱり泣いてた
「馬鹿だって思ってる?」
鼻声
声も裏返っている
「いや」
俺に近づく
「思ってるでしょ?」
俺は彼女の目を見て
「思ってないって」
強めに言う
彼女は涙をこぼしながら
「なんとなくそんな気がしてた
洗面所に女性用の洗顔があったし
よくヘアピン落ちてたし
寂しくて呼んだら来てくれてたけど
絶対に来てくれていたけど
”今日は部屋には入れられない”
っていう時あったし
”急に来ちゃダメ”
って言ってたし
あの人
彼女かな?」
泣いている
泣いている
俺の好きな子が
泣いている
俺は・・・悔しい
悔しいんだ
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