21 / 50
不信
しおりを挟む
栞への”信じていたい”という気持ちをまだ持っていたくて
あの日
しばらく悩んだあげく
早川の誘いを受けることはできなかった
だけど単純な私は
寂しさを隠しきれずに
これまでとは違い適当なメールを返すのではなく
彼に電話をした
別に何を話したわけでもない
彼も確実に落ち込んだような声の私に気が付かない人ではないけど
彼からは何も聞くことも無く
ただ、私がどうでも良いことを話すのを聞いてくれた
電話は苦手だった
だけど
顔が見えないから表情を見られなくて
誰かの優しさを気軽に感じるには都合がよいと初めておもった
彼は今までとの違いに何か感づいただろうか?
あんなにあからさまに避けるような態度をとっていたのに
こちらが苦しくなったら
こちらに甘える
私は酷い女だ・・・
栞が一ヵ月と一週間ぶりに部屋へ来た
先週の事をまだ整理できていない私は
何も変わらない彼に不信感を持ってしまう
一週間
私はずっと考えていた
栞の気持ち
彼女の事
あの状況
だけど分からない
全く想像もつかない・・・
本人に聞かなくちゃ
だけどどういう風に聞けばよいのか分からない
真実に傷つきたくない
目を逸らせるものならこのままでも・・・
栞は何ていうのか?想像つかなかった
私は思う
栞は真実を言うのだろうか?
言うとしてもどんな顔で
どんな風に言うのだろうか?
本当の事を言うのだろうか?
もしも適当にごまかされたりしたら
私は嘘だと気が付きながらも信用したふりをするのかもしれない
だって
この人を簡単には嫌いになんてなれない
だけど
彼という人をもう信じれなくなる
一応作った夕食には手も付けられなくて
私は栞の食べたあとを片付ける
いつになく無口な私を栞は気遣う
白いソファーに腰かけていた彼はスッと立ち上がりこちらへ来て
私の背後から抱きつく
「悠ちゃん、今日はどうしたの?何かずっと考えてるね」栞
猫なで声
私はその態度が不愉快で
振り返りながら
そっと離れる
「ごめん
今日は朝から体調がすぐれなくって」悠
栞は私のひたいに手を当て
「熱は?」栞
心配して顔を覗きこむ
私は彼のその優しさを簡単にあしらう事は出来なくて
私のひたいにあてた彼の手をそっと握って
そこから離すと
ほほ笑むことを意識しながら
「大丈夫・・・今日は一人で寝たいから
もしつまらなかったら帰って」悠
そう言って私は寝室へ行った
栞は私の事を寂しそうな目で見ていたけど
しばらくしたら何も言わずに自分の家に帰っていった
一緒に寝れないなら意味がないと思われたのか?
普段なら栞の行動を想像するときに
こんな意地悪なこと思いもしないけど
今は私の心に優しく考える余裕はない
久しぶりに会えたのに嫌な雰囲気になったかな?
理由も言わないであんな態度とるなんて・・・大人げなかったかな?
落ち込んだかな?
少しして玄関に鍵を閉めに行った
”ぴぴっ”
メールの着信音
栞から?
少し冷たい態度をとってしまったようで
気になって・・・
私は急いで寝室に置いたスマホを覗く
栞ではない
早川だ
”次の休み来週の水曜って言ってたでしょ?
たまには昼間に誘ってもいい?
ドライブ行こう”
何でだろう
栞からではなくがっかりした気持ちよりもホッとした
何だろう・・・安心感
そう言えば私、デートなんてまともにしたことないな・・・
ちゃんと付き合ったことないから
以前だって初めてデートって時に行けなかったし
栞とは隠れるような交際だから誰かに会わないようにひっそり
外でなんて会えないし
栞と一緒に居た子はいいな・・・
あんな風にみんなの前で彼とひっついて笑いあって
どう見ても恋人同士だった
お似合いだった
私がもし栞とそうできても
兄弟のように思われるだろうな・・・
変な目で見られるだろうな・・・
だって栞は高校生だもん
早川とだったらどう見えるのかな?
服を選んで
楽しみにして
待ち合わせして
いつもと違う場所に行って
美味しいもの食べて
綺麗なもの見て
私が少し可愛いふりをしても許される・・・
彼は大人だから
行こうかな・・・
私は早川からのデートの誘いを受けることにした
あの日
しばらく悩んだあげく
早川の誘いを受けることはできなかった
だけど単純な私は
寂しさを隠しきれずに
これまでとは違い適当なメールを返すのではなく
彼に電話をした
別に何を話したわけでもない
彼も確実に落ち込んだような声の私に気が付かない人ではないけど
彼からは何も聞くことも無く
ただ、私がどうでも良いことを話すのを聞いてくれた
電話は苦手だった
だけど
顔が見えないから表情を見られなくて
誰かの優しさを気軽に感じるには都合がよいと初めておもった
彼は今までとの違いに何か感づいただろうか?
あんなにあからさまに避けるような態度をとっていたのに
こちらが苦しくなったら
こちらに甘える
私は酷い女だ・・・
栞が一ヵ月と一週間ぶりに部屋へ来た
先週の事をまだ整理できていない私は
何も変わらない彼に不信感を持ってしまう
一週間
私はずっと考えていた
栞の気持ち
彼女の事
あの状況
だけど分からない
全く想像もつかない・・・
本人に聞かなくちゃ
だけどどういう風に聞けばよいのか分からない
真実に傷つきたくない
目を逸らせるものならこのままでも・・・
栞は何ていうのか?想像つかなかった
私は思う
栞は真実を言うのだろうか?
言うとしてもどんな顔で
どんな風に言うのだろうか?
本当の事を言うのだろうか?
もしも適当にごまかされたりしたら
私は嘘だと気が付きながらも信用したふりをするのかもしれない
だって
この人を簡単には嫌いになんてなれない
だけど
彼という人をもう信じれなくなる
一応作った夕食には手も付けられなくて
私は栞の食べたあとを片付ける
いつになく無口な私を栞は気遣う
白いソファーに腰かけていた彼はスッと立ち上がりこちらへ来て
私の背後から抱きつく
「悠ちゃん、今日はどうしたの?何かずっと考えてるね」栞
猫なで声
私はその態度が不愉快で
振り返りながら
そっと離れる
「ごめん
今日は朝から体調がすぐれなくって」悠
栞は私のひたいに手を当て
「熱は?」栞
心配して顔を覗きこむ
私は彼のその優しさを簡単にあしらう事は出来なくて
私のひたいにあてた彼の手をそっと握って
そこから離すと
ほほ笑むことを意識しながら
「大丈夫・・・今日は一人で寝たいから
もしつまらなかったら帰って」悠
そう言って私は寝室へ行った
栞は私の事を寂しそうな目で見ていたけど
しばらくしたら何も言わずに自分の家に帰っていった
一緒に寝れないなら意味がないと思われたのか?
普段なら栞の行動を想像するときに
こんな意地悪なこと思いもしないけど
今は私の心に優しく考える余裕はない
久しぶりに会えたのに嫌な雰囲気になったかな?
理由も言わないであんな態度とるなんて・・・大人げなかったかな?
落ち込んだかな?
少しして玄関に鍵を閉めに行った
”ぴぴっ”
メールの着信音
栞から?
少し冷たい態度をとってしまったようで
気になって・・・
私は急いで寝室に置いたスマホを覗く
栞ではない
早川だ
”次の休み来週の水曜って言ってたでしょ?
たまには昼間に誘ってもいい?
ドライブ行こう”
何でだろう
栞からではなくがっかりした気持ちよりもホッとした
何だろう・・・安心感
そう言えば私、デートなんてまともにしたことないな・・・
ちゃんと付き合ったことないから
以前だって初めてデートって時に行けなかったし
栞とは隠れるような交際だから誰かに会わないようにひっそり
外でなんて会えないし
栞と一緒に居た子はいいな・・・
あんな風にみんなの前で彼とひっついて笑いあって
どう見ても恋人同士だった
お似合いだった
私がもし栞とそうできても
兄弟のように思われるだろうな・・・
変な目で見られるだろうな・・・
だって栞は高校生だもん
早川とだったらどう見えるのかな?
服を選んで
楽しみにして
待ち合わせして
いつもと違う場所に行って
美味しいもの食べて
綺麗なもの見て
私が少し可愛いふりをしても許される・・・
彼は大人だから
行こうかな・・・
私は早川からのデートの誘いを受けることにした
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編
タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。
私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが……
予定にはなかった大問題が起こってしまった。
本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。
15分あれば読めると思います。
この作品の続編あります♪
『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』
【完結】後輩くんは、キツネ顔
楠結衣
恋愛
キツネ顔の後輩くんと先輩の私のおはなし。
「先輩、大切な話があるので二人で会えませんか?」
キツネ顔の後輩くんとラインでやりとりする内に……。
私視点とキツネ顔の後輩くん視点のお話です。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
鬼上司は間抜けな私がお好きです
碧井夢夏
恋愛
れいわ紡績に就職した新入社員、花森沙穂(はなもりさほ)は社内でも評判の鬼上司、東御八雲(とうみやくも)のサポートに配属させられる。
ドジな花森は何度も東御の前で失敗ばかり。ところが、人造人間と噂されていた東御が初めて楽しそうにしたのは花森がやらかした時で・・。
孤高の人、東御八雲はなんと間抜けフェチだった?!
その上、育ちが特殊らしい雰囲気で・・。
ハイスペック超人と口だけの間抜け女子による上司と部下のラブコメ。
久しぶりにコメディ×溺愛を書きたくなりましたので、ゆるーく連載します。
会話劇ベースに、コミカル、ときどき、たっぷりと甘く深い愛のお話。
「めちゃコミック恋愛漫画原作賞」優秀作品に選んでいただきました。
※大人ラブです。R15相当。
表紙画像はMidjourneyで生成しました。
今更だけど、もう離さない〜再会した元カレは大会社のCEO〜
瀬崎由美
恋愛
1才半の息子のいる瑞希は携帯電話のキャリアショップに勤めるシングルマザー。
いつものように保育園に迎えに行くと、2年前に音信不通となっていた元彼が。
帰国したばかりの彼は亡き祖父の後継者となって、大会社のCEOに就任していた。
ずっと連絡出来なかったことを謝罪され、これからは守らせて下さいと求婚され戸惑う瑞希。
★第17回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる