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長い長い手紙だった
物語りを読んでいるような手紙
こんなに傷ついていたなんて…
俺はハルの文字を見ながら
・・・泣いた・・・
俺は彼女の事を好きになったくせに
じぶんの話ばかりして
何にも気が付いてあげられなかった
それどころか
告白の答えを不満に感じ
ふて腐れた態度で
最後の最後
彼女が帰っていく時ですら
手を振ることもできなかった
小さな男だ
頭をぐしゃぐしゃにかきながら
ベッドの上をのたうち回る様に身体をよじらせながら
俺は
ハルの傷を受け止めようともがいていた
だけど
過ぎた俺たちの時間には
彼女に寄り添う事が出来なかった
不甲斐ない自分がいて
頭によみがえるたびに
”お前は馬鹿か!!”
”自分の事ばかりで、頼りにもならない奴だ”
と過去の自分を罵った
俺はその日から
毎日毎日
ハルからの手紙を読み返し
彼女がどんな気持ちでいたかを
今更になって
分かろうとしていた
季節は流れ
長い寒い冬が過ぎ
俺はコートを脱いだ
桜の蕾が
暖かい風を待ちわびている
もうすぐ、春が来る
あと8つ駅を過ぎたら
彼女の街に着く
駅を過ぎるたびに
胸が高鳴る
今日、俺はハルに会いに行く
終わり
駅に着くと
スマホを見ながら改札へ向かう
遠くから声
「尚!」
その声に顔を上げる
目の前には
あの日、見た笑顔がいた
髪の毛、切ったんだ…以前より幼く見える
可愛らしい
俺は口元が緩む
そして、少し走って駆け寄り
ハルの前に立つ
「久しぶり」
ハルは頬をピンク色にして
「久しぶり・・・だね」
そう言って彼女が
しっかりこちらを見て微笑むから
俺も照れ笑いを浮かべる
「会いたかった・・・
会って謝りたかった」
俺が柄にもなく真顔で、そう言うと
「何を?」
彼女は不安気に尋ねる
「辛い時、一緒に居たのに
気が付いてあげられなくてごめん」
そう言うと
彼女は首を横に振って
涙ぐむ
俺は右手で
彼女の頬にこぼれた涙を拭く
ハルは初めて見た時よりも
明るい笑顔でこちらを見た
俺は、大きく深呼吸し
ハルの手を握った
「お腹すいた
どっかで飯食おう!!」
そう言って
歩き始めた
ハルは俺の手を
優しいく握り返した
俺とハルは、これから始まる
完
物語りを読んでいるような手紙
こんなに傷ついていたなんて…
俺はハルの文字を見ながら
・・・泣いた・・・
俺は彼女の事を好きになったくせに
じぶんの話ばかりして
何にも気が付いてあげられなかった
それどころか
告白の答えを不満に感じ
ふて腐れた態度で
最後の最後
彼女が帰っていく時ですら
手を振ることもできなかった
小さな男だ
頭をぐしゃぐしゃにかきながら
ベッドの上をのたうち回る様に身体をよじらせながら
俺は
ハルの傷を受け止めようともがいていた
だけど
過ぎた俺たちの時間には
彼女に寄り添う事が出来なかった
不甲斐ない自分がいて
頭によみがえるたびに
”お前は馬鹿か!!”
”自分の事ばかりで、頼りにもならない奴だ”
と過去の自分を罵った
俺はその日から
毎日毎日
ハルからの手紙を読み返し
彼女がどんな気持ちでいたかを
今更になって
分かろうとしていた
季節は流れ
長い寒い冬が過ぎ
俺はコートを脱いだ
桜の蕾が
暖かい風を待ちわびている
もうすぐ、春が来る
あと8つ駅を過ぎたら
彼女の街に着く
駅を過ぎるたびに
胸が高鳴る
今日、俺はハルに会いに行く
終わり
駅に着くと
スマホを見ながら改札へ向かう
遠くから声
「尚!」
その声に顔を上げる
目の前には
あの日、見た笑顔がいた
髪の毛、切ったんだ…以前より幼く見える
可愛らしい
俺は口元が緩む
そして、少し走って駆け寄り
ハルの前に立つ
「久しぶり」
ハルは頬をピンク色にして
「久しぶり・・・だね」
そう言って彼女が
しっかりこちらを見て微笑むから
俺も照れ笑いを浮かべる
「会いたかった・・・
会って謝りたかった」
俺が柄にもなく真顔で、そう言うと
「何を?」
彼女は不安気に尋ねる
「辛い時、一緒に居たのに
気が付いてあげられなくてごめん」
そう言うと
彼女は首を横に振って
涙ぐむ
俺は右手で
彼女の頬にこぼれた涙を拭く
ハルは初めて見た時よりも
明るい笑顔でこちらを見た
俺は、大きく深呼吸し
ハルの手を握った
「お腹すいた
どっかで飯食おう!!」
そう言って
歩き始めた
ハルは俺の手を
優しいく握り返した
俺とハルは、これから始まる
完
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