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静かなバー
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兄が言う通り
さくらは
それ以来、家に来ることが無くなった
それから半年が過ぎ
俺は
さくらに会いたくて
会いたくて
だって
もう彼女は
兄の恋人ではない
だったら
俺が彼女を正々堂々と愛する資格があるのだから
以前聞いていた
さくらの実家の前まで行った
時計を見ると21時
3時間は待っていた
仕事が何時に終わるかも知らない
今日、帰るかも聞いていない
約束なしにこんなところで待っていたりしたら
ストーカーみたいだよな
”俺、キモッ”
そう思い
帰ることにした
近くの駅に着いた時
「健太郎くん」
呼び止められる
振り返るとさくら
「どうしたの?」
小さな駅だから
周辺にはフラフラするような場所は無く
主に住宅街に囲まれているから
友達でもいないと
この駅に居ることが不自然で
俺は赤面する
その表情を見て
さくらはニコリとほほ笑んで
「会いに来てくれたの?」
そう言うから
俺は小さく頷いた
俺たちは
三駅先まで移動し
駅周辺の繁華街にある静かなバーに入って話をすることにした
彼女はラムハイ
俺はジントニックを注文した
「さくら・・・飲むんだね」
「飲むよ
イメージなかった?」
「うん
飲んだとしても
もっと可愛いの飲むかと思ってた」
「可愛く思ってくれてありがとう
君だって
この間まで子供だったのに
お酒、飲むほどに大人になったんだね」
まるで先生みたいな口調
ま、先生だったんだけど・・・
さくらはグラスに唇をつけ
やはり
その姿も綺麗な人で
俺は会いに来てよかった!!
と再会を素直に喜び
終始
顔がほころんでいた
「あの日、以来だね」
さくらは昔の事を思い出すように宙を見て言う
俺はグラスをゆっくり置いて頷いた
「私、情けないよね
正直、君が駅に居るのが見えて
気が付かない振りをしようかと思った」
ニコリと笑って
寂しげに言うから
俺は彼女の手を握った
「気が付かないふりなんかすんなよ
会いたかったんだから…
色々、聞く気はない
今日は俺の話聞いて!」
そう言って
さくらを真っすぐに見つめる
「好きだよ
さくらの事が好き」
そう言うとさくらは目を逸らし
「ありがとう」
そう言って微妙な笑顔を作り
俺から手をほどいた
「俺じゃダメなの?」
彼女と向き合えるのは
これが最後かもしれない
そう思うから俺は
必死に彼女に訴えた
「だめだよ」
「嫌いなの?」
「・・・嫌いではない」
「じゃ、何で?」
「何でって・・・分かるでしょ?」
「兄さんの事?」
「お兄さんの元彼女よ
どんな顔して君の彼女になればいいか分からない」
「別にどんな顔でもいいだろ!
俺がさくらが好きで
さくらが俺を好きなら
それでいいだろ」
「君はまだ学生だけど
私はもう子供ではない
世間って簡単じゃないよ
私と恭一さんの付き合っていた事実は消えない
それを知っている人たちは
良い目で見ないよ
何より
ご両親や恭一さんに合わせる顔がない」
「じゃ、俺、家を出る
大学の近くに部屋借りる
親や兄さん、その周りに合わない所に行くよ
俺たちの事を誰にも言う必要はないし
そしたら
さくら、俺と会ってても気にならないだろ?」
さくらは黙り込む
俺はまた
彼女の手を握る
しばらくして
彼女は困ったような笑顔でこちらを見る
「本当にいいの?
君は間違った妄想を私にしている
私って
そんなに魅力的ではないよ」
そんなこと言うから
俺は彼女の手をまた更に強く握って
「俺の好きな人を
あんまり悪く言わないでよ」
そう言うと
さくらはにこりと笑って
「君はやっぱり優しいね
ごめん
ごめんね
ありがとう」
さくらは目を潤ませた
その夜から俺とさくらと付き合うことになった
翌朝
彼女の出勤時刻に間に合うように
けっこう早めにホテルから出た
まだ夜が明けたばかりで
薄く青い空
朝ってこんなに清々しいんだと
肌で感じた
彼女の家の近くまで徒歩で送って
照れ笑いの彼女は
立ち止まり
少し背伸びをして
俺の頬にキスをした
その表情が可愛らしくて
やっとさくらが俺の手の内側に入ったように思えた
さくらは
それ以来、家に来ることが無くなった
それから半年が過ぎ
俺は
さくらに会いたくて
会いたくて
だって
もう彼女は
兄の恋人ではない
だったら
俺が彼女を正々堂々と愛する資格があるのだから
以前聞いていた
さくらの実家の前まで行った
時計を見ると21時
3時間は待っていた
仕事が何時に終わるかも知らない
今日、帰るかも聞いていない
約束なしにこんなところで待っていたりしたら
ストーカーみたいだよな
”俺、キモッ”
そう思い
帰ることにした
近くの駅に着いた時
「健太郎くん」
呼び止められる
振り返るとさくら
「どうしたの?」
小さな駅だから
周辺にはフラフラするような場所は無く
主に住宅街に囲まれているから
友達でもいないと
この駅に居ることが不自然で
俺は赤面する
その表情を見て
さくらはニコリとほほ笑んで
「会いに来てくれたの?」
そう言うから
俺は小さく頷いた
俺たちは
三駅先まで移動し
駅周辺の繁華街にある静かなバーに入って話をすることにした
彼女はラムハイ
俺はジントニックを注文した
「さくら・・・飲むんだね」
「飲むよ
イメージなかった?」
「うん
飲んだとしても
もっと可愛いの飲むかと思ってた」
「可愛く思ってくれてありがとう
君だって
この間まで子供だったのに
お酒、飲むほどに大人になったんだね」
まるで先生みたいな口調
ま、先生だったんだけど・・・
さくらはグラスに唇をつけ
やはり
その姿も綺麗な人で
俺は会いに来てよかった!!
と再会を素直に喜び
終始
顔がほころんでいた
「あの日、以来だね」
さくらは昔の事を思い出すように宙を見て言う
俺はグラスをゆっくり置いて頷いた
「私、情けないよね
正直、君が駅に居るのが見えて
気が付かない振りをしようかと思った」
ニコリと笑って
寂しげに言うから
俺は彼女の手を握った
「気が付かないふりなんかすんなよ
会いたかったんだから…
色々、聞く気はない
今日は俺の話聞いて!」
そう言って
さくらを真っすぐに見つめる
「好きだよ
さくらの事が好き」
そう言うとさくらは目を逸らし
「ありがとう」
そう言って微妙な笑顔を作り
俺から手をほどいた
「俺じゃダメなの?」
彼女と向き合えるのは
これが最後かもしれない
そう思うから俺は
必死に彼女に訴えた
「だめだよ」
「嫌いなの?」
「・・・嫌いではない」
「じゃ、何で?」
「何でって・・・分かるでしょ?」
「兄さんの事?」
「お兄さんの元彼女よ
どんな顔して君の彼女になればいいか分からない」
「別にどんな顔でもいいだろ!
俺がさくらが好きで
さくらが俺を好きなら
それでいいだろ」
「君はまだ学生だけど
私はもう子供ではない
世間って簡単じゃないよ
私と恭一さんの付き合っていた事実は消えない
それを知っている人たちは
良い目で見ないよ
何より
ご両親や恭一さんに合わせる顔がない」
「じゃ、俺、家を出る
大学の近くに部屋借りる
親や兄さん、その周りに合わない所に行くよ
俺たちの事を誰にも言う必要はないし
そしたら
さくら、俺と会ってても気にならないだろ?」
さくらは黙り込む
俺はまた
彼女の手を握る
しばらくして
彼女は困ったような笑顔でこちらを見る
「本当にいいの?
君は間違った妄想を私にしている
私って
そんなに魅力的ではないよ」
そんなこと言うから
俺は彼女の手をまた更に強く握って
「俺の好きな人を
あんまり悪く言わないでよ」
そう言うと
さくらはにこりと笑って
「君はやっぱり優しいね
ごめん
ごめんね
ありがとう」
さくらは目を潤ませた
その夜から俺とさくらと付き合うことになった
翌朝
彼女の出勤時刻に間に合うように
けっこう早めにホテルから出た
まだ夜が明けたばかりで
薄く青い空
朝ってこんなに清々しいんだと
肌で感じた
彼女の家の近くまで徒歩で送って
照れ笑いの彼女は
立ち止まり
少し背伸びをして
俺の頬にキスをした
その表情が可愛らしくて
やっとさくらが俺の手の内側に入ったように思えた
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